見出し画像

いったいアナタは何者!? 驚きの”なりすまし”映画5選!

『リプリー』

製作年/1999年 原作/パトリシア・ハイスミス 監督・脚本/アンソニー・ミンゲラ 出演/マット・デイモン、グウィネス・パルトロウ、ジュード・ロウ

憧れのお坊ちゃまになりすます!
貧しい青年トム・リプリー(マット・デイモン)は、ひょんなことから大富豪の放蕩息子であるディッキー(ロブ・ロウ)と意気投合。やがてリプリーは傲慢だが魅力あふれるディッキーに強い憧れと愛情を抱くが、ディッキーはリプリーの想いを冷淡に拒否。リプリーはディッキーを衝動的に殺し、彼になりすますことを思いつく……。

『太陽がいっぱい』の原作としても知られるパトリシア・ハイスミスの小説を、故アンソニー・ミンゲラ監督が映画化。憧れのお坊ちゃまになりすますトムの突発的な計画は初めこそ順調に行くものの、徐々に綻びを見せ、彼を怪しむ人の死体も増えていく。アラン・ドロンがリプリーに魅力を持たせた『太陽がいっぱい』とは異なり、滑稽な主人公を襲うシビアな展開が残酷。

『ジャック・サマースビー』

製作年/1993年 原案・脚本/ニコラス・メイヤー 監督/ジョン・アミエル 出演/リチャード・ギア、ジョディ・フォスター、ビル・プルマン

帰還した夫は本物……?
南北戦争終結直後の小さな村に、戦場に行っていた農園経営者のジャック・サマースビー(リチャード・ギア)が数年ぶりに帰還。ジャックの妻ローレル(ジョディ・フォスター)や村人たちは、戦死したはずの彼の帰還に戸惑う。しかも、嫌われ者だった以前のジャックとは違い、彼は思慮深い人物へと変貌していて……。

実際に起きた事件をベースにしたフランス映画を、設定を変えてハリウッドでリメイク。“なりすまし映画5選”ということでネタばらしすると、帰還したジャックは本物のジャックによく似た偽者。「なぜ彼はなりすましをするのか?」「彼はいったい何者なのか?」の謎が、物語を支配していく。そこへ妻ローレルと偽ジャックが新たに紡ぐ夫婦愛の物語が加わり、ラストは号泣必至。

『フェイス/オフ』

製作年/1997年 監督/ジョン・ウー 脚本/マイク・ワーブ、マイケル・コリアリー 出演/ジョン・トラヴォルタ、ニコラス・ケイジ、ジョーン・アレン

捜査官とテロリストが互いの顔を手に入れる!
FBI捜査官のショーン・アーチャー(ジョン・トラヴォルタ)は、激しい攻防の末にテロリストのキャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)を逮捕。だが、激戦で昏睡状態に陥ったトロイが街に細菌爆弾を仕掛けていたことが判明。アーチャーは医療技術でトロイの顔になり、彼の弟から爆弾の在り処を聞き出す。一方、目覚めたトロイは逆にアーチャーの顔を手に入れ、反撃に出ることに……。

FBI捜査官と犯罪者が壮絶な“なりすまし合戦”を繰り広げる、アクションの名匠ジョン・ウーのヒット作。激しい憎悪を抱き合う中、相手の顔になった状態で相手の人生を送ろうとする展開にハラハラ。相手の顔で相手の家族と交流していくなりすまし様もなかなかシュールで、対決の行方を知りたくなる。

『ガタカ』

製作年/1997年 監督・脚本/アンドリュー・ニコル 出演/イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ、ザンダー・バークレイ

適正者と偽り宇宙飛行士を目指す!
遺伝子操作によって優良な要素だけを持って生まれた“適正者”と、自然妊娠で生まれたことで能力や外見の劣る“不適正者”が存在する未来。ヴィンセント(イーサン・ホーク)は“不適正者”のハンデを抱えながらも宇宙飛行士になる夢を叶えるため、“適正者”であるジェローム(ジュード・ロウ)から生体IDを買い取る。こうしてジェロームになりすましながら、夢に向かう日々を送りはじめるヴィンセントだったが……。

公開から20年以上経った今も、大勢のファンに愛され続けるSFサスペンスの傑作。社会的な差別を受ける“不適正者”のヴィンセントが“適正者”になりすまし、苦闘を繰り広げる展開がスリリング。単なる“なりすまし”の枠を超え、生きることの意味や運命とは何かを考えさせる。

『テイキング・ライブス』

製作年/2004年 原作/マイケル・パイ 監督/D・J・カルーソ 脚本/ジョン・ボーケンキャンプ 出演/アンジェリーナ・ジョリー、イーサン・ホーク、キーファー・サザーランド

被害者になりすます猟奇殺人犯をアンジーが追う!
1983年のカナダで、10代の少年が家出。少年はその足で自分に似た背格好の少年を殺害し、身分証を奪って去っていく。19年後、ある工事現場で白骨死体が発見されたのを皮切りに、猟奇的な連続殺人事件が発生。捜査に協力するFBI捜査官のイリアナ(アンジェリーナ・ジョリー)はプロファイリング術を駆使し、犯人が殺人を繰り返しては、そのつど被害者になりすましていることを突き止めるが……。

長年にわたってなりすましを繰り返してきた猟奇殺人犯と、犯人を追うFBI捜査官の攻防がミステリアスに展開。「これほどまでに巧妙で残忍な犯人はいったい何者なのか?」にスポットが当たっていく。犯人がサイコパスのためなりすましの心情はなかなか理解しがたいが、変わり種サスペンスとして楽しめる。

文=渡邉ひかる text:Hikaru Watanabe
photo by AFLO

この記事が参加している募集

映画感想文

ご興味あれば、ぜひサポートのほどよろしくお願いします。今後の記事制作に役立たせていただきます。