『パンと雨』:4.挨拶と、引越し前の気持ち
彼と同棲することが決まったので、「せいかつ」について書くことにしました。
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<過去エントリ>
1.『パンと雨』:家が決まった日
2.『パンと雨』:親への報告
3.『パンと雨』:思考ばかりが忙しい
今回は、
“引越し前の気持ちと、挨拶に来たときのこと”。
3月17日〜3月27日のことと、だいぶ前のことです。よかったら嗜好品としてどうぞ。
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家から最寄り駅に向かう途中、遠くのほうに大きな桜の木が立っているのを見つけた。いつも歩く道よりも、一本か二本奥のあたり。おそらく満開。あまりの綺麗さにつられて、ふらふらと二・三歩吸い寄せられた。時計をみれば、まだ打ち合わせまではほんのわずかに余裕がある。桜を見てから駅へ行こうか、…いや、やっぱり。
体をしゃきっと立て直し、桜から目をそらす。
そうしてLINEに、すぐに打ち込む。
「ねえ、いつも歩く道の一本奥か二本奥に、大きな桜が見えるから今度見に行こう」
すぐに既読がついて、返信があった。
「いいね、見ようね」
自分の顔がパッ!と明るくなるのがわかった。一緒に見てくれるなら、今日一人で堪能しなくてよかった。桜を見つけた時よりもちょっと明るい足取りで、わたしは桜からどんどん遠ざかる。
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