母、永遠の悩み

１９歳の二男がバイクの大型免許を取った

やりたいことはやりたいときにやるのがモットーな私
取りたい資格は取れるときに取るのがベスト

ドライビングスクールの費用は
私が管理している彼専用口座から出した

普通自動車免許はすでにあり
大学の夏休み、忙しいバイトの合間に
通い詰めて、１っか月ほどで取得

…とここまではよかった
よくはないかも

楽しげなにバイクのカタログを見ながら
これに乗りたいなぁ
「がんばってバイトして買いやー」

え？俺もうローン組めるし
買うけどいい？
とのたまう

マジ？１８歳で成人になってる…？！
お酒は飲めないけど
ローンは組めるとな？

しまった
応援してしまった…
私はバカだ

無理無理無理
無理無理無理
何度考えても無理だ
息子が乗るところを
想像していなかったと言えばウソになるが
プチパニックに落ちいる

そう、
３０年前の４月に
私の弟は車の運転ミスで
事故死している
20歳だった

弟はバイクにも乗っていて
亡くなる前年、バイク事故で
全治１か月の傷を負ったこと
新車バイクを盗まれたこともあった

たくさんたくさん
辛く苦しい日々を過ごした
この世に置いてきぼり
残された私達

交通事故被害者でもあったが
同乗者にケガを負わせた
加害者家族にもなった

一番つらかったのは
母が弟と交わした
最後の言葉だ

深夜、花見にいく弟は
実家の前で友達と待ち合わせ
大騒ぎをしていた

母がすっぴん寝巻姿で出てきたかと思ったら
鬼の形相
「近所迷惑、静かにしなさい！」

それを聞くか聞かないかで
シラーっと
車で行ってしまった

それが最後…

夜中の救急車
永遠のサイレン
飼い犬の遠吠え
祖母の不安げな顔
電話の呼び出し音
病院の人工呼吸器の音

ほぼ無傷の顔
頸椎損傷、骨折により
植物状態

１週間心臓は動いて
お別れの時間を用意してくれた

全ては永遠でなく
世界は反転した

それから30年の時が過ぎた

目の前にいる息子は
プンプン怒っている
じゃあ大型免許取る意味がないやろ！

そうかもしれない
免許は取ってもいいけど、
大型バイクは乗ったらダメって

しかし、20歳で亡くなった叔父さんのこと
君は知っているやんな
毎年、命日にはお参りしてるやろ

しばらく
バイクの話はしなかったが
恨めしい目でこちらを見る

大人気ないと思い
旦那に一任するとだけ言った
それが、精一杯
旦那も私を気遣い
息子の相談には慎重に対応してくれていた

購入を決めたと
背中で聞いた
そこまで動揺はしなかった(気がする)

noteを始めて
過去の思い出を色々探りながら
書き留めていた

ツライ事ばかりではなかった

弟、晃コウの部屋で
ピアスの穴を針で開けた事、
ガマン大会？？

もらいタバコで
部屋中煙だらけだったこと

竹薮で捕まえたうさぎを
ベランダで飼っていたこと

X Japanのポスターは
永遠に押入れに貼ってあること

母はずっと晃の骨を食べたいと
言っていたこと

バイクに乗ること、
車に乗ること(私は毎日運転する)
全てが終わりに向かってはいない
そんなことは百も承知だ

誰か大丈夫だと言ってほしいが、
責任はとれない

実際二男の車の運転は丁寧だ
兄弟の送迎も頼める

だとしても、私の不安は消える事はない
PTSDかと思う
パニック障害も持っているが
それだけではない

母は、母というのは
やっかいな生き物だ
自分より大事なものが
助かるなら
喜んで捧げる

重いとかでなく

カッコいいと
笑って言ってあげたい
自分で稼いで買うことを
(ローンでも)
えらいな頑張れと

この、noteを書きながら
沢山泣かせてもらった
ご飯の支度をしながら
次から次に雫が流れるのだ

毎日大切に悔いなく生きよう

この後、
旦那の車が先導で
新しいバイクで帰ってくる

お帰り

邪魔やなぁと言ってしまった