見出し画像

2019年に出会えた景色4 (一年を振り返る花画像〜晩夏の花編)

 最近続々と投稿しているこのコーナー、バラバラの記事をひとまとめにして、マガジンを作成しておきました 👆

 ところで、同コーナーの前回の記事2019年に出会えた景色3の最後に、向日葵の画像を一枚掲載した上で、この日に撮影してきた他の花画像については、「次の記事『秋の花画像編』に掲載させていただきます」と書いていたのですが、いざ残りの花画像をすべて秋の花として掲載すると、とんでもなく長い記事になりそうだったので、『晩夏の花画像編』と『秋の花画像編』の二回に分けることにしました m(_ _)m

 実際、開花時期からして『秋の花』とするには無理がある上に、体感温度的にも残暑が厳しくて「こりゃ、まだまだ夏だな ☀ 💦」と思いながら撮影していた憶えのある花々ですから。

画像1

リコリス・スプレンゲリー
(馬見丘陵公園 8月29日撮影)

 今年はアウトプットを前提とせずに、ただとにかくこの世に存在する美しいものや身近な空気を味わいたくて、あちこちの公園植物園で四季の花々を見てきた、という話を同コーナーの最初の記事で書きましたが、そんな中でも、何かに抗うように目的意識を持って見に行った花が、二種類だけありました。そのうちの一つが、このリコリス・スプレンゲリーです 👆

 昨年の夏から秋にかけて、私は取材目的であちこちのリコリスを見に行こうとしていたのですが、地震を皮切りに次から次へと自然災害(主に台風)に襲われて、私が行く予定を立てていた公園植物園が、壊滅的なダメージを受けました。ひどいところは半年近くも閉園状態に追い込まれ、復旧の目処がなかなか立たないまま、取材対象の花を見逃してしまうという不完全燃焼な一年の記憶……。

 ものを書く上で、はじめの一歩となる取材が満足にできず、出鼻をくじかれた私は、一年に一度だけ、それも僅か一週間程度しか咲かない花々との出会いを、来年以降の開花に期待して ただ無力に見送ることしかできず、おまけに災害の度に自宅待機を余儀なくされるという不自由さに、フラストレーションが溜まりまくりでした (-_-;)

 この約一年間、開花ラッシュの始まる頃からずっと外出三昧で公園植物園に入り浸っていたのは、その反動も大きかったと思います。元々リベンジ癖がある性分(笑)なので、アウトプットの目的意識を見失って尚、昨年見そびれた花々の開花を、憑かれたように待ち構えていたのです。

画像2

 それにしても、なかなかの麗姿でした ✨ 一年がかりで見に行った甲斐がありましたね。

 ただ、他のリコリスほど一斉に開花するタイプではないのか、同じ種類でも、綺麗に咲いている見ごろの花は、この記事の最初に載せた一株だけで、他はこんな風 👆 に、まだ開花しきっていなかったり、蕾のままだったり、逆に一足早く咲いて萎れてしまっているものもあったりで、かなりバラつきがありました。

 願わくば視界いっぱいの群生を見てみたいものですが、リコリスの中でもこのスプレンゲリーを植えている公園植物園は限られていて、一面の群生が見られるほどの本数(球数?)を扱っているところは、今のところなさそうです。

 とは言え、リコリスの球根は、分球し始めるとアッという間に増えていき、翌年には見事な花束状になっていたりするので、ここの分球の進み具合なら、いつかけっこうな規模の群生が見られるかもしれません。今後が楽しみですね ♬

画像3

リコリス・プミラ(コヒガンバナ)

 この日は、彼岸にはまだ早い8月29日。にもかかわらず、スプレンゲリーの近くで、すでに開花している彼岸花を発見して、驚きました!

 最近は異状気象のために、花の開花時期が大きくズレることが増えているとは言え、奈良のこのあたりは、そんなに極端に気温の下がった日があったのだろうか? と、このときには適当な想像を巡らせて自分を納得させていたのですが、あとで公園のHPで確かめてみたら、ここには、一般に私たちが彼岸花と呼んでいる日本の紅い曼珠沙華(学名:リコリス・ラディアータ)の他に、コヒガンバナとの異名を持つ中国産のリコリス・プミラという品種が混ざっているらしく、そのプミラが早咲き品種だということでした。

 外見上は、プミラとラディアータの区別はつけられないのだそうな。それでも、ちゃんと調べれば確かに別物であり、日本の彼岸花は基本的に種子から実が生らず、球根分化によってしか増えないのに対し、プミラは種子から実が生るという大きな違いもあります。日本の彼岸花自体、元々は中国原産の花なので、日本にわたってきてこちらの土壌に馴染むうち、変異していったのでしょうね。

 これはこれで、貴重なもの。お目にかかれて良かったです! プミラを見られるスポットというのも、探せどなかなかありませんからね。

画像4

 この時期は公園全体が閑散期というかシーズンオフに当たり、一部のリコリス以外には、これという見どころのない時期でしたが、ここ馬見丘陵公園は、敷地内にいくつもの古墳を持つ広大な公園で、あちこちにこんな 👆 絵本のような景色が見られる美しいスポットです。森林浴だけでも気持ちよく過ごせるオススメの公園ですよ (^_-)-☆

------------

※ この日のフォトアルバムはこちら▼

📷 馬見丘陵公園 2019年8月29日


画像5

リコリス・インカルナタ(服部緑地公園・都市緑化植物園 9月2日撮影)

 馬見の次は、またまた服部緑地(大阪・豊中)です。馬見丘陵公園では半分蕾の状態で、咲きはじめたばかりだったインカルナタという品種のリコリスが、こちらでは満開でした 👆

 幅広の白い花びらにピンクの筋が入るこの品種、かつてうちのバルコニーでも育てていたことがあるんですが、他のどの品種より真っ先に分球して、翌年には見事な群生を見せてくれました。見た目は可愛らしい印象ですが、けっこう逞しくて育てやすい品種なのかなと思います。そしてリコリス属の中では、比較的に早い時期に咲く夏のリコリスの代表格。

画像6

ナツズイセン
(学名:リコリス・スクアミゲラ

 ですが、夏に咲くリコリスと聞いて私が真っ先に思い浮かべるのは、こちらのピンク色のリコリス 👆 その名もナツズイセンです。個人的には、そんなにスイセンっぽいとは思わないんですが、スイセンに似た花を咲かせる夏咲きのリコリスということで、ナツズイセンと呼ばれるようになったのだとか。

 こちらは8月に咲くインカルナタより更に早く、7月後半頃から咲きはじめます。また、六甲のように標高が高くて、四季が一足早く訪れるところでは、7月上旬に見頃を迎えることもあり、まさに真夏の花です。

 ただ、ここ服部緑地のリコリスに関しては、近くに植えられていた他の品種のリコリスと自然交配していった、と見られる謎の新種も少なくないので、このピンクのリコリスも、ひょっとすると純粋なナツズイセンではないかもしれません。他の遅咲きの品種との交配種である可能性大。

 何しろ、この日はもう9月頭でしたからね。いくら気象条件によって毎年開花時期が前後するといっても、さすがにちょっと遅すぎるのでは???と……。

 このナツズイセンらしき淡いピンク系リコリスの後ろで、視界いっぱいに群生している濃いめのピンクのリコリスにいたっては、品種の見当もつきません 💧 おそらくこれも、この公園内で誕生した、ここだけの交配種でしょう。

 これはかえって貴重です!! 他では見られない新種のオンパレード!(笑)

画像7

 公園関係者の方たち(←ボランティアの案内人かもしれませんが)にとっても、品種不明なリコリスが続々登場しているらしく、この白いリコリス 👆 なども、「その種類の分からんやつ、写真に撮っておこう」とか言いながら、案内の人たちが撮影していました (^^;)

 私の知っている品種の中では、オフホワイトというリコリスに近い気がしますが、よく見ると薄っすらとピンクの筋が入っているので、インカルナタと他の何かが交配してできた、ここの公園ならではの新しいリコリスなのかもしれません。

画像8

 前回投稿した夏の花画像編で触れたように、品種名とかそんなものは、それ自体に何か重要な意味があるわけではなく、単なる呼び分けに過ぎないので、その美を堪能するだけであれば、このあたりの話(←種の同定とか生態の話)はどうでもいいことなんですけどね。

 ただやっぱり、公園で案内をする人とか、花を販売する立場の人とか、私のようにものを書くとかいう立場になると、ある程度まで突き詰めて調べたり追究したりして、知っておく必要があります。知ることで閃いたり広がったりする物語、というのもありますしね。半分職業病みたいなもんですね (;^_^A

 ちなみに、上の画像 ☝ の右端に写っている濃い黄色のリコリスは、ショウキズイセンと呼ばれるリコリスだと思います。以前うちのバルコニーで育てていた山の根ゴールドという品種にもよく似ているけれど、公園植物園で見かけるこの手の黄色系の代表格はショウキズイセンなので、たぶんそっちでしょう。

 対する色の薄い方の黄色 👇 はというと……、これまた品種不明な交配種と思われます。

画像9

 私の知るリコリスの中では、ゴールドフレームという品種か、オリエントフラベスケンスあたりに近い気がします。こういう黄色系の眩しいリコリス、個人的には好きなタイプです 👍 以前UPした自作の詩LYCORISの作中でも表現しているように、逆さシャンデリアが咲いているようで、煌びやかなんですよね ✨

 💡 ところで、ここまではリコリス一色な投稿になってしまっていますが、もちろん他にも色んな花との出会いがありました。中でもこの黄色い大輪の花は、写真を送った知人友人の間でも大いに話題になって、注目の的になったインパクトの強いものでした 👇

画像10

▲ チユウキンレン
(チャイニーズ・イエローバナナ)

 地湧金蓮というゴージャスな名を持つこの花、中国産の芭蕉の一種だそうです。(名前の通り蓮っぽいけど蓮ではないし、一見花びらに見える部分は、実は葉だそうな。)チャイニーズ・イエローバナナとの異名もある大変珍しい花。花にも見えないけどバナナにも見えませんね(笑)

 このときが一番綺麗に撮れたので、この『晩夏の花画像編』に載せていますが、実はこの花、春から秋にかけて長期にわたって咲き続けるという、開花期間の非常に長い花です。一年のうち一週間程度しか咲かないリコリスとは、対照的ですね。

 ただし、花が開花するまでには、3〜5年近い年月を要するのだそうな。しっかりと時間をかけてボン!と咲き、一度咲いたら長きにわたって咲き続ける。見た目通りに豪快な花なんですね! これは面白い!

 ── ということで、思わず写真を撮りまくってきました。馬見にも咲いていたんですが、何故だかあちらでは綺麗に撮れず、この服部緑地のチユウキンレンの方が鮮明に撮れていたので、こちらの画像を掲載させていただきました。

------------

※ この日のフォトアルバムはこちら ▼
 (天気が良かったからか、この日は我ながら、ものすごいクリアな写真がいっぱい撮れていました! 補正要らずの傑作ショットの数々を、どうぞご覧ください!!)

📷 服部緑地 リコリス 9月2日

📷 服部緑地 その他の花々 9月2日



この記事が参加している募集

404美術館

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?