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個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 厚生労働省が新設

厚生労働省は、労働者以外の者(雇用関係にないフリーランスなど個人事業主)も含めた業務上の災害防止を図るため、有識者と労使関係者による「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を新設。

個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 開催目的

厚生労働省が公開した「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」開催要綱によると、この新たな検討会の趣旨・目的は「労働者以外の者(雇用関係にないフリーランスなど個人事業主等)も含めた業務上の災害防止を図るため、学識経験者、労使関係者による検討会を開催し、個人事業者等に関する業務上の災害の実態把握、実態を踏まえ災害防止のために有効と考えられる安全衛生対策のあり方について検討すること」とされている。

趣旨・目的
労働安全衛生法は、「職場における労働者の安全と健康を確保する」(同法第 1 条)ことを一義的な目的としており、これまで労働安全衛生行政は、労使関係の下での労働者の安全衛生の確保を目的として様々な施策を講じてきた。
なお、個人事業者等の安全衛生対策については、これまで関係省庁との連携の下でのデリバリーサービスにおける交通事故防止対策についての周知啓発等の個別分野対策に取り組んできたところである。
一方、令和3年5月に出された石綿作業従事者による国賠訴訟の最高裁判決においては、有害物等による健康障害の防止措置を事業者に義務付ける労働安全衛生法第 22 条の規定について、労働者と同じ場所で働く労働者以外の者も保護する趣旨との判断がされた。これを踏まえて、同規定に係る 11 の省令について、請負人や同じ場所で作業を行う労働者以外の者に対しても労働者と同等の保護措置を講じることを事業者に義務付ける改正を行い、令和4年4月に公布されたところである。
この省令改正について検討を行った労働政策審議会安全衛生分科会では、労働安全衛生法第 22 条以外の規定について労働者以外の者に対する保護措置をどうするべきか、注文者による保護措置のあり方、個人事業者自身による事業者としての保護措置のあり方などについて、別途検討の場を設けて検討することとされた。
また、これまで労働安全衛生法の対象としてきていない個人事業者、中小企業事業主等についても業務上の災害が多く発生している状況にある。
こうしたことから、労働者以外の者も含めた業務上の災害防止を図るため、学識経験者、労使関係者による検討会を開催し、個人事業者等に関する業務上の災害の実態把握、実態を踏まえ災害防止のために有効と考えられる安全衛生対策のあり方について検討することとする。

個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 検討事項

また「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」開催要綱によると、新設された検討会の検討事項は「個人事業者等(フリーランスなど)に関する業務上の災害の実態に関すること」「個人事業者等(フリーランスなど)の災害の実態を踏まえた災害防止対策のあり方に関すること」「個人事業者(フリーランスなど)自らによる安全衛生確保措置の必要性及びその促進に関すること」「労働者以外の者(雇用関係にないフリーランスなど個人事業主等)に関する業務上の災害の把握・報告等に関すること」「個人事業者(フリーランスなど)や中小企業の安全衛生水準の向上のための支援等に関すること」などとされている。

検討事項
(1)個人事業者等に関する業務上の災害の実態に関すること
(2)個人事業者等の災害の実態を踏まえた災害防止対策のあり方に関すること
(3)個人事業者自らによる安全衛生確保措置の必要性及びその促進に関すること
(4)労働者以外の者に関する業務上の災害の把握・報告等に関すること。
(5)個人事業者や中小企業の安全衛生水準の向上のための支援等に関すること。
(6)その他

個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 委員名簿

「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」の参集者(委員)は、青木富三雄(住宅生産団体連合会環境・安全部長)、大木勇雄(建設産業専門団体連合会副会長)、小野秀昭(運輸・物流研究室取締役フェロー)、鹿野菜穂子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)、日下部治(東京工業大学名誉教授)、小菅元生(日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長)、清水英次(陸上貨物運送事業労働災害防止協会埼玉県支部朝霞分会長)、鈴木重也(日本経済団体連合会労働法制本部長)、高山典久(IT フリーランス支援機構代表理事)、田久悟(全国建設労働組合総連合労働対策部長)、出口和則(全国建設業協会労働委員会委員)、土橋律(東京大学大学院工学系研究科教授)、中村昌允(東京工業大学環境・社会理工学院特任教授)、本多敦郎(日本建設業連合会安全委員会安全対策部会長)、三柴丈典(近畿大学法学部教授)、森晃爾(産業医科大学産業生態科学研究所教授)各氏。

参集者(委員)名簿
青木富三雄(住宅生産団体連合会環境・安全部長)
大木勇雄(建設産業専門団体連合会副会長)
小野秀昭(運輸・物流研究室取締役フェロー)
鹿野菜穂子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
日下部治(東京工業大学名誉教授)
小菅元生(日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長)
清水英次(陸上貨物運送事業労働災害防止協会埼玉県支部朝霞分会長)
鈴木重也(日本経済団体連合会労働法制本部長)
高山典久(IT フリーランス支援機構代表理事)
田久 悟(全国建設労働組合総連合労働対策部長)
出口和則(全国建設業協会労働委員会委員)
土橋 律(東京大学大学院工学系研究科教授)
中村昌允(東京工業大学環境・社会理工学院特任教授)
本多敦郎(日本建設業連合会安全委員会安全対策部会長)
三柴丈典(近畿大学法学部教授)
森 晃爾(産業医科大学産業生態科学研究所教授)

個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 第1回

第1回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」は2022年(令和4年)5月13日、労働委員会会館講堂にて開催。

議題は「建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正について」「個人事業者等に対する安全衛生対策について」「今後の進め方について」など。

第1回検討会 議題
(1) 建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正について
(2) 個人事業者等に対する安全衛生対策について
(3) 今後の進め方について
(4) その他
第1回検討会 資料
検討の論点・ポイントについて(資料6)
○ 個人事業者等の災害について、整備された統計等は存在しないが、現状をどう評価するか。
○ 個人事業者等の災害を防ぐために、何らかの対策が必要だという認識で良いか。
○ 個人事業者等の安全衛生対策について、どのようなことが課題になっているか。
○ 個人事業者等の災害を防ぐためには、どのような対策が必要か。
(1)労働災害を防ぐため、現行の安衛法はどのような体系となっているか。その体系の中で、個人事業者等はどう位置付けるべきか。
(2)個人事業者自身による対策はどうあるべきか。
(3)労働者とは違う立場にある個人事業者等の保護のためには、どのような対策が必要か。
(4)経営基盤・体制が脆弱な個人事業者や中小企業に対する支援はどうあるべきか。
○ その他、労働者や個人事業者等の災害を防ぐ観点から、検討すべき事項はあるか。
○中村参集者
先ほど議論が出たのですが、個人事業主あるいは中小企業者の死亡災害発生率は、非常に高いということが出ています。やはり今回の調査の中で、どういう作業をしているから個人事業主や中小企業関係で事故が多いのかというのが要るような気がしたのです。例えば、建設業一つ取っても、建設業では個人事業主の6割ぐらいが死亡していますよね。しかし、全体から見ると、そこまでいってないと思うのです。これは昔からで、厚生労働者の調査で「元方事業者・関係請負人との安全衛生管理マニュアル」をまとめた時も、関係請負人の方が災害発生率が高かった。関係請負人がより危ない作業をしているから、その関係上で大きいということがあったので、実際にはどのような作業をしているので、こういうデータになったということを示せると、調査内容を説明するときに理解しやすいと思いますので、お願いしたい。(第1回 議事録 抜粋)

個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 第2回

第2回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」は2022年6月28日に開催。

議題は(1)検討を進めるに当たっての論点の整理及び今後の議論の進め方について、(2)個人事業者等に対する安全衛生対策について、(3)業界団体等ヒアリング、(4)その他。

議題「個人事業者等に対する安全衛生対策について」に関連して「自営業者の就労時間、健康管理等の実態について」「こころの耳に寄せられた電話相談の内容別の正社員・自営業比較」等が資料に。

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