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健康保険証とマイナンバーカードの一本化 デメリット メリット

毎日新聞は「健康保険証を2024年秋に廃止」と報じた。だが骨太方針には「保険証の原則廃止(加入者から申請があれば保険証は交付される)」と。報道が正しいのなら保険証廃止となるが、骨太方針に記載されたように「加入者から申請があれば保険証は交付される」であろう保険証原則廃止が正確かもしれない。よくわからないが、もう少し丁寧に報道してほしい。

健康保険証がマイナンバーカードに一本化

毎日新聞(『健康保険証、マイナカードに一本化 河野氏が骨太方針を前倒しか』2022年10月14日配信)は「政府が現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針を明らかにした」「政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針『骨太の方針』で、現行の健康保険証を24年度以降に原則廃止する方針を盛り込んだ。国民の批判も想定される中、(10月)13日に骨太より前倒しする発表に踏み切ったことについて、霞が関の官僚たちは『極めて異例』(財務省幹部)」などと報じた。

政府が現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針を明らかにした。<略>対策の給付金10万円の支給時に現場が混乱するなど、日本はデジタル化の遅れが顕著だ。カードをテコに起死回生を図ろうとする政府側の意図が透けて見える。

政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」で、現行の健康保険証を24年度以降に原則廃止する方針を盛り込んだ。国民の批判も想定される中、13日に骨太より前倒しする発表に踏み切ったことについて、霞が関の官僚たちは「極めて異例」(財務省幹部)、「河野大臣が押し切った」(経済官庁幹部)と解説する。

マイナンバーカードと健康保険証を一体化させた「マイナ保険証」は、まだ5割弱の国民しか取得していないマイナンバーカードの普及を目指すものだ。それに合わせて難航する医療や官公庁などのデジタル化を後押しする狙いがある。

<略>政府の財政再生計画工程表によると、将来的にはカードを活用して有価証券などの金融資産を把握し、資産に応じた医療費負担などの施策を可能にしたい考えもある。

今後はマイナ保険証への切り替えによって個人情報流出の懸念をどう和らげるのかが課題となる。また、調剤薬局や病院などに設置するカードリーダーの普及率向上、高齢者や社会的弱者を取り残さない対策も急務だ。

マイナンバーカード利用促進と健康保険証廃止

(2022年)6月7日に(経済財政諮問会議での答申を経て)閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)の32頁には「患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す」「2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止(加入者から申請があれば保険証は交付される)を目指す」と記載されていた。

つまり、6月に閣議決定された骨太方針2022には2024年度中を目途に健康保険証の原則廃止としていた方針を健康保険証を2024年秋にするということではないか?

また、毎日新聞などの報道では保険証廃止しマイナンバーカードと一体化するといった旨の記事になっているが、「加入者から申請があれば保険証は交付される」といった保険証原則廃止が保険証廃止に変わるということなのだろうか?

もう少し丁寧な報道をしてもらいたい。国民が混乱するだけだ。

(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)
医療・介護費の適正化を進めるとともに、医療・介護分野でのDX140を含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図るため、デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による質の見える化やイノベーション等を進め、同時にデータヘルス改革に関する工程表にのっとりPHRの推進等改革を着実に実行する。オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、2023 年4月から導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す。2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止(142)を目指す。「全国医療情報プラットフォーム143の創設」、「電子カルテ情報の標準化等144」及び「診療報酬改定DX」145の取組を行政と関係業界146が一丸となって進めるとともに、医療情報
の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため、政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する。経営実態の透明化の観点から、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備する147とともに、処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講ずる。医療・介護サービスの生産性向上を図るため、タスク・シフティングや経営の大規模化・協働化
を推進する。加えて、医療DXの推進を図るため、オンライン診療の活用を促進するとともに、AIホスピタル148の推進及び実装に向け取り組む。

142 加入者から申請があれば保険証は交付される。

経済財政運営と改革の基本方針2022(PDF)

医療等分野における番号制度活用研究会 報告書

2015年(平成27年)12月に「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」報告書を厚生労働省が公表している。

医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会 報告書(概要)抜粋

○ 医療等分野の個人情報は、患者と医療・介護従事者が信頼関係に基づき共有しており、病歴や服薬の履歴、健診の結果など、第三者には知られたくない情報がある。個人情報の取得・利用に当たっては、本人の同意を得るとともに、患者個人の特定や目的外で使用されることのないよう、必要な個人情報保護の措置を講じる必要がある。

○ 一方、医療等分野の個人情報の適切な活用は、患者へのより安全で質の高い医療・介護の提供に不可欠である。日常の健康管理や災害時の対応などでも、国民自らが診療・服薬の履歴を把握するニーズも大きい。医療の高度化には医学研究の発展が不可欠だが、個人の医療データの蓄積を活用することで、医学研究の発展や医療の高度化など社会全体の利益にもつながる。

この報告書を読んで健康保険証・マイナンバーカード一本化時のメリットとデメリットについて推測することも可能だが、岸田政権は健康保険証とマイナンバーカードが一本化された時のメリットとデメリットを実証して説明すべき。

追記:マイナンバー不保持者に別の制度用意

共同通信は「岸田首相は、政府が進める健康保険証とマイナンバーカードの一体化に関し、カードを持っていない人には別の制度を用意すると表明した」(2022年10月24日配信)と報じた。

また毎日新聞も「岸田文雄首相は24日の衆院予算委員会で、健康保険証とマイナンバーカードの一体化について、カードを持たない人も保険診療を受けられるよう配慮する考えを示した。『保険料を納めている人が保険診療を受けられる制度を用意する』と述べた。政府は、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、保険証機能のある『マイナ保険証』に原則切り替える方針」(2022年10月24日配信)と報じた。

*ここまで読んでいただき感謝!