小説|カラフル パールピンクの桜川
それは最初に服を脱いでベッドに戻った時に起きた。
「何それ。お前の爪、ヤバくね?」
その男とはすぐに別れたが、今でもあの言葉が胸に刺さっている。どうして機微を読めない男というのは、女が傷つくことを平気で口にするのだろうか。
私の爪は生まれつき、ずんぐりむっくりだ。父親譲りの指が幼い頃は嬉しかった。だが今はそれを半ば呪っている。
あの時もそれがコンプレックスだったから、きっちりネイルチップ……つけ爪を使っていた。たまたまテープが剥がれて左手の人差し指の爪本体が露