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エジプトのラマダンを現地リポート

2024年は、3月10日の夕方から(11日の朝から断食)4月9日の夕方まで(10日の朝から飲食可)ラマダンとなり、4月10日から13日までラマダン明けのお祭り「イード・アル・フィトル」でした。

具体的には、ヒジュラ暦の8月「シャバアーン」日没後に新月が確認された時から始まり、29日後ヒジュラ暦の9月「シャウワール」の新月が見えると終わります。


以前イスラム教についての記事を投稿しましたが、今回は実際に現地で一か月のラマダンとイードを経験して見たことや感じたことをシェアしていきたいと思います!

まずはラマダンについて前回の記事を元に簡潔に説明すると…

ラマダンは、イスラム歴であるヒジュラ暦の第9の月にあたります。

ヒジュラ暦は一ヶ月が29日と30日の月を交互に繰り返すので1年が354日になります。太陽暦にすると、1年ごとに11日ほどずれていきます。

およそ33年で季節が一巡するため、ムスリムは同じ季節のラマダンを人生で2度経験すると言われています。

涼しい時期のラマダンはまだしも、40℃を超える夏場のラマダンは想像しただけで恐ろしいですが…(笑)



ヒジュラ暦の9月は、イスラム教の聖典であるコーラン(クルアーン)が、預言者ムハンマドに初めて啓示された「聖なる月」です。

ラマダンはクルアーンに示された五行の義務のうちの一つですが、世界中のムスリムが同じ試練を同じ時期に共有することで「より信仰を深める」目的があります。

お金持ちも貧乏な人も等しく空腹や渇きの辛さを味わうことで、恵まれない人々を思いやり、改めて平安のありがたさに感謝し、より自身を清めようとする心を養う期間でもあります。

また、ラマダン月には多くの不用品やお金の寄付などの施しも行われており、「サダカ」と呼ばれる恵まれない人々への寄付をラマダン中に行うと普段より更によい行為と見なされます。

ムスリムにとって、ラマダンは欲望や悪を遠ざける神聖な実践の期間です。


ムスリムはこの約1ヶ月間は日の出前から日没まで、水を飲む事や一切の飲食が禁じられています。
※重病人や高齢者、妊婦や授乳中、生理中の女性も断食をおこなわなくても構いません。ただし、体調が回復しだいおこなう必要があります。子どもについては年齢は特に定められていないものの、最初は短い時間だけ断食を経験して、10歳を目安に大人と同じようにすることが多いようです。

※スポーツジムでは水分補給している方もいたので一部例外や、それぞれでの基準があるようです。


イスラム教のことを学ぶ前までは、断食と聞いて完全断食を想像していましたが、日没から日の出までは自由に飲んだり食べたりしてOKです。

日没後に初めて口にする食事は「イフタール」と呼ばれ朝食の意味です。

ラマダン中以外でも、1日5回のお祈りの時間になるとモスクから「アザーン」(呼びかけの声)が流れてくるため、それが合図になります。この時期の日の入りは18時頃で、少しずつ日が長くなるので最終的には18時20分頃になっていました。

ラマダン中は多くのモスクやお店で、ムスリムやノンムスリムにもイフタールが振る舞われます。

街を歩いていると、4時過ぎ頃から用意された椅子に座っている人もいて、1時間前くらいに既に目の前に飲み物も置かれたりしていて我慢できるのすごいなと思っていました(笑)

4時過ぎ頃からは、どのお店もテイクアウトやデリバリーの注文で大忙しです。


他にも道端で、無料でお弁当を配っている団体も見かけました。毎日同じ時間、同じ場所に大行列ができていました。

各家庭で食事を楽しむ人もいれば、町に出て友人や知らない人とでも一緒になって食事を楽しむので、一見辛そうに見えるラマダンですが、みんなとても楽しんでいます。

ただ、ラマダン最終日にエジプト人に聞くと「終わるの嬉しい」と喜んでいました(笑)

ラマダン中は、1日5回の礼拝(①早朝 ②昼 ③午後 ④日没後 ⑤夜)に加えて、「タラウィーの礼拝」という特別礼拝が、通常イフタールの後に毎日行われます。

そして就寝後、3時頃に起床しにて「スフール」と呼ばれる夜明け前の食事を摂ります。


飲食のほかにも、喫煙や性行為、けんか、不適切な言動も日の出から日没の間は禁止されています。悪口や不適切な言動も慎まなければいけません。

ただ、ラマダン中の日中でも道端で喧嘩をしている人をよく見かけました。みんな空腹でイライラが増しているのかもしれません。実際にラマダン期間中は交通事故が増える傾向にあるようです。



非イスラム教徒も断食中は、イスラム教徒の目の前で飲食・喫煙を控えるのが礼儀とされています。ただ飲食店は日中閉まっているところも多かったり、カフェなどはカーテンがかかり外から見えないように配慮しているところも多かったです。

大半の商店、銀行、企業の営業時間が短縮され基本的に9時から14時までとなります。

ラマダン期間中は収入下がりそうなイメージですが、エジプト人曰く通常の一ヶ月の生活費が10,000EGPで、ラマダン中はお菓子やご馳走を毎日たくさん買うので倍の20,000EGPほど出費するそうです。

なので、日中は閉めていたとしてもイフタールのために多くの人がいつもより多くの物を買うので採算はとれそうですね!


営業時間、就業時間の短縮に合わせて、14時過ぎると、道路は渋滞し始めます。14時に帰れるなんてなんてホワイト(笑)JICA事務所でも、日本人スタッフは通常の勤務時間で、エジプト人スタッフは短縮されて早く退勤できるようです。なんてホワイト(笑)

ただ、やはり飲食していないので仕事の効率も下がり、ラマダン期間中の業務は中々難しい部分もあるようです。仕方ないですね。

特に女性は早く帰ってイフタールの準備をしなければいけません。母はやっぱり、偉大です。

そして日没後のイフタールの時間帯(18時から19時30頃まで)は町中は静まり返り、20時頃になるとまた活気を取り戻します。

ラマダン中は夜の方が人通りが多かったり、開いている店も多くなります。


ラマダンが明けにはイードと呼ばれる盛大なお祭りが催されます。

家族・親族・友人・知人とご馳走を食べたり、お出かけをしたり帰省する人も多いようです。

子どもたちは学校もお休みになり、お小遣いやお菓子、おもちゃなどがもらえます。日本のお正月のような感覚ですね。

実際にイード期間中は、ほぼ全てのシャッターは下りていて、市場や町中はゴーストタウン化していました。

スーパーは開いているものの、仕入れがストップしているせいか日に日にどの食材も品薄になっていきました。
また、お肉や総菜など人の手が必要なものは休止しているようでした。


一方で、公園に行ってみると多くの家族連れや若者たちで溢れかえっていました。みんなレジャーシートを広げて、ピクニックをしたり子どもたちが走り回って遊んでいたりなんとも平和な景色が広がっていました。

イード期間中は、ピラミッドや商業施設はかなり込み合うので観光は避けた方が良いかもしれません。語学学校の先生も、イード期間中は家にいた方が良いよとアドバイスをくれました(笑)


4日間(4月10日から13日)のイードも終わり、昨日14日から日常に戻ると聞いていましたが、街を歩いてみるとまだシャッターが閉まっているお店も多くスーパーも品薄の状態が続いていました。

本日15日はだいぶ元の活気が戻ってきたかなという印象です。


私がエジプトに到着して1週間も経たないうちにラマダンになり、一ヶ月は首都の隊員ドミトリーで生活しながらJICA事務所でオリエンテーションや現地語学訓練を受けていたので、ラマダンを実体験することは殆どありませんでした。


来年のラマダンは、一ヶ月ムスリムと全く同じ生活をしたいなと意気込んでいますが、どうでしょうか(笑)
食べ物はまだしも、日中に水を一滴も飲まずして生きていく自信がありませんが(笑)

イスラム教のことをもっと知りたいなと思うし、イスラム教を理解すればするほど、現地の人と良い関係を築くヒントも沢山見つけられると思うので引き続き、がめつく直感のままにここで生きていこうと思います!

また現地での実体験を色々書いていきたいと思うのでお楽しみに!

今回は文章ばかりの記事でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは!

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