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【枕草子】こころときめきするもの

【現代語訳】

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胸がどきどきするもの。
スズメの子を飼う。赤ちゃんを遊ばせているところの前を通る。
良いお香を焚いて一人で寝ている時。唐の鏡で、少し暗いのを見た時。
貴公子が牛車を止めて、何かを尋ねている。
髪を洗い化粧をして、良い香りを染み込ませた着物を着る。
特に見る人がいなくても、とても良い気持ち。人を待っている夜。雨の音や風が吹き荒ぶのも、驚いてしまう。

【意訳】

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胸がどぎまぎするもの。
スズメのヒナを飼う。かわいいけど、色々心配でやきもきする。赤ちゃんを遊ばせて、いい感じに機嫌が良くなって来ているところの前を通る。ひやひやする。
ちょっと上等なお香を焚いて、一人で横になっている。中国製の鏡が何だか少し暗いのを見た時も。身分の高い、いい感じの男がふと牛車を止めて、従者に何かを尋ねさせている。何かしら、とそわそわする。
髪を洗ってお化粧をして、香り付けした着物を身につける。デートの予定がなくて一人で過ごす時でも、何だか胸が高鳴る。
でも恋しい人が来るのを待っている夜は、急な雨音や風がびゅうびゅう言うちょっとした物音にも、いちいちドキっとしてしまう。

【雑感】

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デートの予定なんてなくても、きちんと身支度しておしゃれするとドキドキする。男性に見せるためでなく、ひそかに好きなものを身に着けるのって、いいものです。太宰治「女生徒」の世界。
ちょっといいオイルか何かでヘアケアしながら、お気に入りの柔軟剤で手入れをしたシルクの下着を身につける、みたいな感じでしょうか。
でもそれでいて、大好きな人を待っているとちょっとした物音にいちいち反応してしまう。これもすごくかわいいと思います。


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