生魚と文旦

生魚が苦手なのは苦手なのだ。それはあの独特な魚の生臭い感じと、もう一方は食あたりを懸念してである。しかし、最近はお寿司も食べるようになり、凄く美味しいとさえ感じていた。近いうちに回転寿司屋に行きたいとも思っていたのだ。
そんな矢先の出来事だった。
今日の夕御飯に食べた鯵の刺身を食べた瞬間、何か嫌だなと感じてしまった。生魚独特の臭いというか、ぬめっとした感触というか、何とも言えない不快感だ。もしやこれは流水で洗ってから食べるべきものなのか、とも考えた。しかしそんなはずはない。それはスーパーの刺身で、中にはちゃんとツマ、ショウガ、シソ、そしてレモンまで添えて合ったのだ。そのパックのなかに直接さしみ醤油をかけて食べたのが悪かったんだろうか。折り重なる小さな刺身1枚1枚を剥がしながら、小皿にとって、さしみ醤油に浸して食べるべきだったのだろうか。これはもしや、お腹壊してしまう恐れありかと懸念し、ショウガだけでなくワサビを追加してわさびしょうが醤油にして食べた。
しかしやはり不安が拭えない。
5切れほど食べた後、もう無理だと思った私は、その残りをすべてフライパンのなかに。そして、充分炒めて焼いて身をほぐしてご飯にかけて食べた。かなり食べやすくはなったが、第一印象が悪かったせいか、そこまでしても美味しいとは感じられなかった。
皆さんは鯵の刺身だと信じていると思うが、たぶんあれは鯵ではないと思う。私が鯵の刺身と言ったのだから、私が悪い。しかし、たぶんあれはキビナゴの刺身だったんじゃないかと思う。だって、たとえ小アジであってもあんなに身が小さいはずがないのだ。あれはキビナゴだ。そう思う事にする。あぁ、キビナゴの刺身はあんな感じなのか。前々から一度食べたいと思っていたので、何かショックだ。やっぱりキビナゴはフライに限るな。
夕御飯食べた後、まだ口の中が気持ち悪い感じがしたので、私は救いを求めて文旦を食べた。あの爽やかな柑橘の文旦を食べれば、生魚の嫌な感じが払拭できるんじゃないかと思ったのだ。
しかし、その文旦は味があまりにあっさりしすぎていて、酸味もあまり感じない淡白すぎる味だった。払拭するには柑橘感が足りなすぎた。
あぁ、レモンを丸かじりしたい気分だ。
しばらくして歯磨きしたが、未だ不快感は払拭しきれていない。
一体、どうすれば良かったのだろう。
酢に漬けて食べたら良かったんだろうか。
今さら後悔しても遅いのだが、これだけは願いたい。
回転寿司に行ってお寿司をちゃんと美味しく食べたい。
その夢だけは壊さないでくれと、切に願う。

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