【気になった新聞記事】デジタル給与払い開始~PayPay「インフラ」めざす
北海道在住の鶴木貞男@コンサポ登山社労士です。
北海道小樽市にある「つるき社会保険労務士事務所」で特定社会保険労務士として社労士業務を行っております。
先日の日本経済新聞で、「デジタル給与払い開始~PayPay「インフラ」めざす」という記事を読みました。
デジタル給与払い開始、PayPayの野望と未来
2023年9月25日、ソフトバンクグループ(SBG)の社員向けに初のデジタル給与払いが開始されました。
これは、政府が2023年4月にデジタル払いを解禁したことを受けての施策で、PayPayを通じた給与の支払いです。
PayPayは、給与をデジタルマネーで受け取るという新しい給与支払い形態の最前線に立ち、「社会的なインフラ」としての役割を目指しています。
PayPayが目指す「勝者総取り」の戦略は、給与のデジタル払いを通じて、決済のみならず資産運用や保険などの金融サービスへユーザーを誘導するものです。
同社は既に多くの企業から問い合わせを受けており、今後も導入企業が増えることが見込まれています。
例えば、サカイ引越センターは10月に労使協定の締結を予定しており、繁忙期に働く若年層のアルバイトに対して、PayPayを活用した給与支払いを行う計画です。
また、ニチガスも「社会の変化に対応する」ため、デジタル給与払いの導入を決定しました。
しかし、この新しい給与支払い形態には課題もあります。
銀行預金と異なり、PayPayは資金移動業者であるため利息がつかない点が一つの弱点です。
また、銀行と異なるため、利上げの影響を受けにくいという特性もあります。
その一方で、ポイント経済圏やキャッシュレス決済の普及により、デジタルマネーを使った利便性の高さが評価され、今後の拡大が期待されています。
一方、PayPay以外にもauペイメントなど3社が同様のサービスを申請しているものの、厚生労働省の厳しい基準を満たすことが難航しているようです。
特に、運営者が破綻した際の弁済対応が課題となっています。
この点で、PayPayは先行者利益を享受し、競争優位に立つ可能性があります。
しかし、デジタル給与払いが広く社会に浸透し、社会的インフラとして認知されるためには、1社だけの取り組みでは限界があります。
私の視点
デジタル給与払いの導入には、企業側の体制整備が重要です。特に、就業規則の改定や労務トラブルの予防が欠かせません。
このような新しい仕組みが導入される際には、制度の理解や従業員との合意形成が鍵となります。
デジタル給与払いをスムーズに導入するためにも、労使間の円滑なコミュニケーションがますます重要になるでしょう。
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