矢本悠馬に、私はなりたい(ドラマ「舟を編む」感想)
「長田さんって、こんなにお金のこと好きだったんですね」
先日会社の同僚に、そんなことを言われました。このメルマガコラムをまとめた私のnoteを読んでくれた上での感想です。
「いや、これは仕事、仕事……。あくまで立場上の体裁ですよ」
なんだか“守銭奴”のような言われように、思わずそう取り繕ってしまいました。実際、自分はお金周りのズブの素人ですから。社命でMoney Insiderの担当となっただけ。
ですが、そのあとすぐに思い直すことにしたのです。「これは編集者として、最高の褒め言葉なのかもしれない」と。
——君がそれを好きなのはそれのために時間を使ったからだよ。
これは、NHKBSで放送中のドラマ「舟を編む ~私、辞書つくります~」における重要なセリフのひとつ。矢本悠馬演じる製紙会社社員・宮本慎一郎が、池田エライザ演じる“情熱(血潮)”を失いかけていた編集者・岸辺みどりにかけた言葉です。
三浦しおんの『舟を編む』を原作にした、辞書編集部が舞台のこのドラマ。一介の編集者である私にとって、生涯ベストの作品のひとつと言えるかもしれません。
なにしろ舞台が舞台だけに、言葉が主役のドラマです。辞書の語釈のように、ひとつひとつの言葉に幾重もの意味が込められ、まさに物語全体が丁寧に編み込まれているのです。
矢本悠馬のセリフもそのいい例。これが、結果的にそういう方面(恋愛)にも結びつくのですが、いろんな含みを持って、物語のキール(竜骨)のひとつとなる。これが実に、私の編集者魂を奮い立たせるわけですよ!
全10話の「舟が編む」は、今度の日曜が最終回。予告を見る限り、まさにいま描かれるべき内容となっている様子。楽しみです。
ちなみに、未見の方は、U-NEXTでも配信中(無料トライアルあり)。もちろん、編集者じゃなくともおすすめですよ。
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