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マーケティング戦略設計の難しさ

目標とするリード獲得、そしてその後の購買につなげるまで、一人でも多くの人、会社を獲得したいというのが、全マーケターの願いであることに異論はないでしょう。
一方で、何をどうしたら顧客の心を動かせるのか、悩んでいないマーケターもいないと思います。

最新の高精度なツールが溢れ、優秀なマーケターがごまんといるにも関わらず、なぜ、マーケティング戦略を立てるのは難しいのでしょうか。

いくつかの理由を紐解きつつ、効果的な戦略立案について、ここでは考えていきたいと思います。

施策ごとの効果を可視化できていない


2年前に作ったLPと、3ヶ月前に作ったLPは、どちらが効果が高かったでしょうか。PVが多かったAのLPと、資料ダウンロードが多かったBのLPはどうですか。
LPに限らず、様々な施策が同時に行われている中で、施策ごとにさまざまな評価指標がありますが
「マーケティング戦略で」最も負うべき指標はMQLではないでしょうか。
MQLは、Marketing Qualified Leadの略で、「マーケティング施策を通じて創出された案件確度の高い見込み客」を指しますね。別に横文字なんて使わなくても、営業がアプローチしたり、直接購入してもらえたりするような見込み顧客をどれだけ獲得できたかが結局は一番大事だと思います。
しかし、多くの組織(特にオフライン主体の商品・サービス)にとっては、マーケティングー営業部の分断だったり、適切にリード管理が行われていなかったりして、その施策単体でのMQLへの貢献効果が見えづらくなっています。貴社では、ある施策からマーケティングリストがこのくらい増えて、リード、MQLは何件獲得想定していて、結果的にどうだったか、の振り返りまでできているでしょうか。

施策を単体で捉えてしまっている


例えばBtoB企業の実施施策として大きいものに、展示会への参加があります。展示会を実施するのであれば、その前行程に当たる既存ハウスリストからの集客、展示会製品ページの開設からアフターフォローに至るまで、しっかりセットで考えなければ、せっかく巨額の予算を投じた施策であっても、その効果は限定的なものになってしまいます。
全社で行うような大きな施策については、自分のチームや部だけではコントロールできない要素もあると思いますが、なるべく施策を点ではなく、線で捉え、より大きなプロジェクトとしてその成果を俯瞰する必要がありそうです。

シナリオが設計されていない

MAツールでのシナリオ活用というと、どうしてもステップメールを送って徐々に態度変容を促していくというこじんまりした施策に落ちがちです。しかし、どんなにその人が貴社の誠実な見込み顧客であっても、プロモーションメールを毎回開いて、メールに興味を持って、問い合わせして…なんて具合にうまく行動してくれるものでしょうか。MAツールとして設計できる狭義のシナリオはもちろん必要ですが、マーケティング活動全体を通してのアクションを考慮した広義のシナリオ、カスタマージャーニーレベルでの顧客フローの想定を持っておき、その上でMA上のシナリオを当てはめて考えるのが正しいように思います。

コンテンツ資産の不足

せっかくサイトを訪問したり、メールで連絡したりしても、適切な情報の受け皿が見つけられなければ興味関心を引き立てたり、競合他社よりも魅力的だと思ってもらうことができません。魅力的なキャンペーンLP、役に立つホワイトペーパー、シェアしてみたくなるおもしろ動画など、広告やDMで誘導する前にコンテンツ資産を制作し、定期的に整えておくことが必要です。コンテンツには大きく分けるとファンコンテンツまたは有益なコンテンツの2つのタイプがあります。有益なコンテンツの場合は、喫緊の顧客の課題とマッチする自社ソリューションを提案することで短期的にMQLに結びつけられる場合があります。一方のファンコンテンツについては直接的な購買行動と結びつけるのは難しいかもしれません。ただし、使い方によってはリストの獲得に大きく寄与する可能性
があり、プロダクトや会社のステージによっては大きな効果を発揮することがあります。

予算の把握ができていない

当然、部の責任者である部長クラスは、年間のマーケティング予算を把握しているはずですが、部としてどのくらいの予算があるのか、マネージャーや担当者レベルで周知できているでしょうか。
担当者である部下からベンダーの予算を聞かれても即答しない、いや、できないということも珍しくありません。限られたリソース(資金、人材)を有効に使うためにも、マーケティング責任者は予算とその配分、優先順位についての指針を示し、部内に共有しておくのが良いと思います。どの施策に注力するか現場レベルで把握していれば、適切なメンバーのアサインや個々の改善施策にどの程度労力をかけるべきかが判断しやすくなるのではないでしょうか。

おわりに

ここまで、なぜマーケティングの戦略設計が難しいかについて、いくつか理由を挙げてみました。
私自身も、BtoBマーケターとして現場にいる中で、日頃から戦略を立てることの難しさを感じていたのですが、なかなか言語化できずにいたのです。
そんな中、先日リードビジネスゲームというロールプレイングを会社で実施する機会があり、参加してきました。プレイしていく中で、なんとなく今まで言葉にできなかったモヤモヤ感が少しずつ言語化されていく気分でした。ルールを正確に把握するのに慣れは必要なものの、ゲームとしての設計がうまくできており、みんなで競い合って知恵を絞りながら、楽しくマーケティング 戦略を学ぶことができました。

弊社も提携パートナーの一社ですが、個人でもトレーナーになれますし、もし興味がある方は一度受けてみてはいかがでしょうか。

戦略を立てるにあたっては、まずは現状の施策をテーブルに乗せてみること。荒削りでも現在のファネルの状況を可視化し、施策ごとの貢献度を正確に把握するようにデータを整えつつ、継続する施策・やめる施策・新しい施策を改めて検討していくのが良いかと思います。

図解でコミュニケーションを変えることをミッションにここ3年くらい活動