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どうして体重って勝手に増えるのでしょうか【エッセイ】

我が家に新しい体重計がきた。
タニタ製の体脂肪が測れるやつ。

さっそく自分の身長やら年齢やらをせっせと登録して上に乗ってみました。
67.5㎏、BMI24、体脂肪率やや高め、骨格筋率ふつう、体年齢40才、との託宣が出ました。まあ健康な範囲なんでしょう。

ぼくは30才まで47.5㎏しかなくて、その細さがコンプレックスになっていました。その頃はもっと太りたい、肉をつけたいと本気で思っていました。
今は年を重ねるにつれて、勝手に体重が漸増しています。どうやらぼくは十字路で悪魔と取引をしてしまったようです。

結婚した時や、仕事を変えた時などに体重が増えたのは分かります。
夫婦でちゃんとご飯を食べるようになったり、通勤や客先での打ち合わせがなくなったりと、生活が変化したのでぜい肉も増えるでしょう。
でもコロナ禍以降は生活スタイルが変わっていないのに、やっぱり徐々に徐々に太っています。
いや、むしろ通販で有機野菜を定期購入し、大量に摂取するようになったので、低カロリーな食生活になっているはず。
さらに娘が生まれてからは、夜中にミルクをあげなければならず、起きれないと困るのでアルコールもかなり控えめになっています。週に缶ビール1本くらいです。
なのに体重が増えているということは、ここにはまだ科学で解明されていない未知の物質が存在するということでしょう。
ぼくの体は段々と、そういったダークマターに置き換わっているのだと思います。いつまで人間としての正気を保っていられるのか分かりません。
というのはつまらない冗談ですが、いや本当に、何によって自分の体重が増加しているのかまったくの謎です。

体重が増えると他の数値にも影響が出てきます。
去年の健康診断では悪玉コレステロール値が高い域にあるという結果が出ました。といっても、高い域の中での最低ラインなのですが、今までそんなこと言われたことがなかったので、少しビビっています。
幸いにしてこれまで大怪我も大病もしたことがないのですが、健康面ではどちらかというと心配性。
自分の父親が医者嫌いだったのが、理由のひとつです。
がんの発見が遅れてしまい、分かった時には打つ手なしで亡くなってしまったので、それが無意識の教訓となっているのだと思います。

生前の父親は今のぼくよりも全然太っていたのですが、亡くなる直前には昔のぼくよりも体重が落ちてしまっていました。
食事もまったく食べられなくなっていて、あの頃の父の姿を思い出すと、今でもいたたまれなくなります。
しかし父はご飯が食べられなくなった代わりに、『美味しんぼ』全巻を買いそろえて、病院のベッドの上で毎日読んでいました。
あんまりそんながん患者はいないと思いますが、何というか強靱な精神の人だったなと思います。
余談ですが、父がぼくに1万円を渡して、「ヒマだから、何かお前の好きなマンガを買ってきて読ませろ」と言ってきたので、星里もちるの『りびんぐげーむ』を全巻買って渡してしまいました。
絶対に父の趣味ではないことが分かっていたのに、買ってしまった。
ふだんはあまりそんなホンワカした漫画は読まないのですが、その時は部室に『りびんぐげーむ』が途中まで置いてあってどうしても続きが気になったのです。今でも申し訳なく思います。『賭博黙示録カイジ』とか渡しておけばよかった。

あらためてこう考えると(どう考えると?)、やはり体重は健康を測るバロメーターなのですね。
こまめに体重計に乗り、曇りのないまなこで現実を見つめていきたいと思います。


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