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【小説】SNSの悪夢
SNSには住人がいて、それが話題の人間を叩きに来る、自分が関りが無いにも関わらずだ。
電話が通じないので何もできない、SNSで書かれているのを見るだけだ、こんな時にはいい話は出てこない。
そう思っていても見たくなるのが人の性、自分も例に漏れず自分を叩く言葉を見る。
案の定ひどいものだ、何にも知らない、何にも関係ない奴がその権利があると思って人を非難する。
SNSが荒れるのは通常運行と言っても、不倫扱いはトンデモナイ、こっちは何にもしていないのに。
自分のSNSを見てみる。
「ひどい、爽やかな印象で応援していたのに、不倫なんて汚い。」
おいおい誰がそれを決めたんだ、状況証拠で有罪になるのか、何もしていないんだ。
次には。
「テレビ見てそんな人だとは思っていたけど、本当にひどい、奥様の事を考えなさい。」
どんな人だと思っていたんだよ、何言われても不倫なんてしていないし、妻の事はあんた達には関係無いだろ。
言いたい事はある、ここで言ってしまってもいいと考えていた。
SNSは自分の領分で他人に言われる筋合いはない、だけどだ仕事を考えるとここは炎上をさせない方がいい。
社長に良いか聞いて良ければ反論しよう、どう考えても間違った報道なんだから。
考えている内にも非難の波が押し寄せてくる。
「付き合いたいなら離婚してからでしょ。」
「今は良いけどきっと後悔するに決まっている。」
誰もが他人を非難したくて堪らないみたいだ、雨粒がぽつりぽつりと降っていたのが大雨になって来て嵐が来たぐらいのコメントの数。
暇なのか、ここに住んでいるのか解らないけど、今は大雨に傘もささずに当たっている。
「どうしたの、何か在った?」と妻が恐る恐る聞いてくる。
「俺のSNSだよ、酷い事が書かれている、不倫だって噂で事実じゃ無いのに、酷い奴だの、奥さんがかわいそうだの、余計なお世話だ。」怒りに任せて大声が出る。
「皆、火の無い所に煙は立たないと思っているから、真実だと思っているのよ。」と冷静な妻の声。
「君も俺の事疑っているの?」冷静な声で返す。
「疑っている訳じゃ無いけど、本当の事は解らないから、信じるのはあなたの気持ちだけ、もし週刊誌が証拠を出してきたら・・・・」
「何、証拠が出ると思っているの。」詰め寄ってしまう、信じてくれると思っていた人の言葉が刺さっているのだ。
「私には何も解らない、だからここに居るのよ、信じるだけの証拠を頂戴。」
行った事実の証明は出来ても、しなかった証明が難しいのを知らないのだろうか、そんなのは出来やしないのに。
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