食は楽しみになる

結婚して子供が出来るまでは、朝ごはんはパンとインスタントコーヒーで良いと思っていた。

実家の朝食はパンとコーヒーで、急いでいる日には、齧って走るという少女漫画さながらの事態に陥った時もある。

それで、誰かとぶつかって恋に落ちるなんて、少女漫画は展開しなくて、制服にパン粉をまき散らしていただけだったけどね。

その頃は小さい時に食べるのが嫌いだったのを、頭の何処かに引き摺っていて、口に入れば何でもいい状態になっていたのかも知れない。

短大時代に祖母の妹の所に一年下宿して、お料理をして（実家でもしていたがそれよりも丁寧）やっと美味しいものを食べるのは、喜びに繋がると解ってきた。

それが結婚して夫婦２人の時には、パンとコーヒーでいいやと考えていた、朝食は時間も気力も削られる。

夫は弁当も持って行っていたので、朝は割とハードになる、まあパンとコーヒーでも良いかなとなった。

それでも子供が生まれると、それで良いのかな～と思いだした、子供に何を食べさせるのが良いのだろう。

誰でも自分は大人だから、朝は何を食べても良いなんて思う、夫もそうで、甘いパンを食べれば良いじゃない、という方だった。

でもさ、子供にそれが良いとは思えない、だって育ち盛りだよ、そう言うと夫は面倒だからパンで良いと答えた。

ご飯が無けりゃパンで良いじゃないなんて、お前はマリーアントワネットか！！！！

そこで私は調べたね、教えてGoogleさんってね、本も有ったけど、手の込んだものは自分が辛いんだよね。

ネットで調べると、イタリアでは甘いペストリーとカプチーノだったりするし、次女がアメリカでホームステイした時は、パンケーキとソーセージをシロップに付けて食べたらしい。

フーン、身体に良い食事は穀類と蛋白質と野菜がバランス良く入って居る物と言う常識は日本だけなのかも知れない。

それでええんか、じゃあ何でもいいのかも知れない、だけど自分の体調が思わしくないから、他にも調べてみる。

調べるとやはり穀類と蛋白質と野菜は必要らしい、一日でバランスを取ればいいのだけど、やはり朝は大切なのだ。

当たり前のことだが、子供にはバランスよく食べさせたい、自分が子供の頃はパンとコーヒーの朝ごはんだったとか、そんなのは関係無い。

穀物、これは米でOK、蛋白質は卵にしよう、魚や肉も出せば良いのだが、我が家は６人家族、そこ迄朝食にお金を掛けられない。

卵であれば、ある程度安い、毎日食べてもお財布は痛まない、本当は旅館の朝食みたく鮭とか出したかったけどね。

後は野菜だ、野菜は安いものを買って置いてそれを使おう、安い物を買ってから何を作るか決めないと、とんでもなく高くつく。

始めて見ると、保存食を使えばそれほど大変では無い、その代わり週に１日は保存食作りに充てる必要があるが。

保存食はお弁当にも活躍するから、作って於いて損はない、朝の時間の短縮になった、何せ６人分の朝食とお弁当だ、並べるだけでも時間が掛かる。（給食の時には必要なかったので、有難かった。）

こうして、我が家は朝食に米と卵と野菜を出すようになった、夫は甘いパンを食べて行く時も有ったが、子供はそれが普通で、米が無いと「エ～、パンなの。」とブーイングが出たりする。

或る日の朝食

手抜きしたいと思って、パンを買っても、子供はご飯がいいらしい、両方食卓にある時もあった。

今は子供が大きくなって、本当は朝を用意する必要は無い、それでも朝食は有った方が良いと、早起きして用意していた。（白米を茶碗に付けて、保存食を並べるだけだが）

或る日の事である。

「お母さん、早起きせんでもええで、自分でするし。」と次娘が言う。

うんして貰ったら嬉しいが、これで出来なくて、お昼代が嵩むと、又お金貸しては嫌だ。

「起きてするよ。」気持ちを押し隠して言ってみる。

三女が次女と私の話を聞いて、こう言い放った。

「前日に用意して於いて、朝は食べるだけで良いんじゃない。」そうか、その手が有ったか、確かに作っておけばいいのだ。

それからは夕方に朝食用の入れ物に詰めて朝は出すだけ、気が抜ける程何もしなくていい。

しいて言うなら、味噌玉が作ってあるから、それをお湯で溶く位、確かに簡単だな。

簡単なのだから、寝ているかと言えばそうでもない、ヤッパリ出かける前には起きて挨拶はしたい方なのだ。

「おはよう、眠れた？」これを言いながら、冷蔵庫からセットしてある弁当みたいな朝食を出す。

出しても、調子悪そうな日は、次女がこう答える、「今日はプロティンだけにする。」

次女がそんな風に朝食を食べない日も、私は三女と味噌汁と朝食を食べている。

私自身は長年の習慣か、食べないと体が寒い、朝は白湯を飲んでから、朝食を食べないと動けやしない。

子供の頃には、薬を飲んだら、それで栄養が全て取れて、一日何も食べない生活にあこがれていたけど、そんな日は彼方に消えた。

食べる事は生きる事だから、それだけで楽しめると人生は豊かになる。

やっとこの年でそう考えだしたりもしている。

#私の朝ごはん