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「昔から育児は母親の仕事」は危険では

男性育休の壁のひとつ。
「昔から子育ては母親がやってきた。大変でもみんなやってきたから出来る」

周りにこの考えを持っている方はいませんか?実は私も少し前まではこの考えがありました。

男性はもちろん、女性も潜在意識に根付いている方もいると思います。
しかし、このロジックは危険、だと私は思います。

危険なのは「昔からそうだった」という思考停止

これは産後の子育てだけではありません。

例えば家庭のあり方
昔は父親が家庭の長であり、父親の言うことは絶対。逆らうと叱られる、場合によっては体罰や暴力も。

ある程度年齢が上の方は、大きな声では言えないけど、昔はよく父親からよくぶたれた、悪いことをしたら体罰を受けた、などありますよね。妻や子供は、イヤだ、辛い、と思いながらも我慢していたのだと思います。
でも現在は ”体罰や暴力は良くない” に進化し、定着してきました。

例えば、学校でも昔は先生から体罰もありましたよね。
以前は教育にはそれも必要、と考えられていたのだと思います。そして当時はそれが普通でした。
でも、今はそれは良くない、に進化しました。

また、少し話は異なるかもしれませんが、
例えば、以前は会社は週休1日(日曜だけ休み)でした。学校も土曜は半日ありましたね。週休2日になる時には、仕事がまわらなくなる、そんな甘いこと、など様々な反対意見も出たでしょう。でも現在は週休2日がすっかり定着しました。

また、最近では長時間労働削減。
ここはまだ腑に落ちていない方や、理解は出来ても行動は伴っていない方もいるかと思います。
長時間労働により過労死に繋がる可能性があります。また、配偶者のキャリアが限定されたり、子どもが父親と過ごす時間が少なかったりと、家族を犠牲にしている可能性があります。
(企業にとっての長時間労働削減は生産性向上も目的です)

父親が仕事人間で母親が辛い思いをしているのを見て育った子どもたち(今の10~20代)は、そのような働き方をしたくない、ワークライフバランスを大切にしたい、と価値観は変わってきています。

他にも色々あると思いますが、このようなことを考える時、
「昔からそうだった。そういうもの。」という思考停止状態だと私たちの社会はよくなっていきません。


産後の赤ちゃんのお世話について考えてみると

赤ちゃんのお世話は大変です。

・母親の体は赤ちゃんを産んでまだ回復していません(3週間は安静が必要)
・産後はホルモンバランスが崩れ、精神的にも不安定(産後2週間〜1ヶ月が産後うつに一番なりやすい)
・赤ちゃんは3時間サイクルでまとまった睡眠がとれない

3時間サイクルを1人でお世話すると睡眠不足で意識も朦朧としてきます。
1~2日なら頑張れますが、1か月以上続くため、まるで出口の見えないトンネル状態です。

私も数日やってみただけでも大変で、これを1カ月以上、誰の助けもないまま続けていくと考えると本当に辛いと思いました。

1人で赤ちゃんのお世話をすると、大人と話す機会が少ない、わかってくれる人がいないのも辛いですね。
一緒に頑張ってくれる人がいないと孤独な戦いになり、うつや虐待になる方がいるのも納得です。

このような状態で母親1人で育児をするのは、母親にも赤ちゃんにも危険な状態と言えます。
「今までみんなやってきたから何とかなる」は本当でしょうか。

今までは親の支援があったり、ご近所の協力があったから何とかなった。または1人で無理やり何とかやってきた、というのが実態ではないでしょうか。
産後の大変な時期を、夫が一緒にやってくれなかったことをママは一生覚えている、というのはそれを表しているのだと思います

ではどうすればよいでしょう?

”3週間は安静に” と医師から言われているのに、退院後すぐに育児家事を殆ど母親ひとりでしている
このような環境を先ほどの例と同様に変えていく必要があると思います。

その方法のひとつが男性育休です。
男性育休を取る方も増えてきましたが、国の調査では取得率はまだ7.48%(2019年度)。また取得期間は8割が2週間未満と短いです。

”産後3週間は安静”を実現するためには、最低1カ月は取っていきたいですね。
(日本の法律は父親は最長1年2か月取ることが出来、半年間は育休給付金が67%も出て、社会保険料免除も加味すると、給与の約8割が保証されるという世界でも高水準です。)

今までのやり方や考え方が、良いとか悪いとかを議論するつもりはありません。
社会がよりよくなっていくために、ひとつずつ暮らしを進化していくことが大切と思います。

毎日たくさんの赤ちゃんが生まれて、ママたちが育児をしています。

家庭によって育児スタイルは様々ですので全員が同じようにする必要はありませんが、もし1人で大変な思いをしている家庭があるなら、育児を母親1人だけに任せない環境作りの大切さや男性育休の大切さを知ってもらい、数年後には”以前は1人でやっていたね、そんな時代もあったね”と過去のものにしていきたいです。

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