愛す可き「アタリの女」
「モサいオタク」について書きたいのだけど、そのプロローグとして自分のことを整理しておいたほうがいいと思ったので、今回は「モサい私」について書いてみました。タイトルはある漫画へのリスペクトを込めて。「可愛い」とは「愛す可し」って書く。
自分の「可愛さ」を相対的・客観的に評価する苦痛
そもそも私は、家族の影響もあると思うけど「自分を着飾ること」にあまり関心がないどころか、罪悪感に近いものを抱いている。小学生の頃は姉のマニキュアを勝手に使って「色気づいてんじゃないわよ」って怒られたし(私が悪いですね)、大学生になって夕方から出かけようとすると母に「こんな時間からめかし込んだりして水商売じゃないんだから」とか言われたりもした。
なんとなくファッションもメイクも気恥ずかしさが抜けなくて、昔からお母さんに「この服欲しい」って言うのが苦手だった。いまも、メイクカウンターで自分の顔をじっと見るのも照れくさいし、チークつけるときに笑顔をつくるのも恥ずかしい。自撮りとか絶対無理。「可愛くなりたい!」って気持ちを自分が持っていることに、そういう欲求に、素直になれない。だってそれは「自分が人から見て、どうなのか」ってことを、自分で客観的に評価しなきゃいけないってことだから。本当は自分が世界で一番可愛いし、もっと可愛くなりたいと思ってる。でも「あ、私はこういうところがイケてないんだ」って思わないと、可愛くはなっていけない。辛い。
そういう自分の背中を自分で押して、服を買いに行ったり、コスメを試したりもするんだけど、そこでもまた問題がある。自分の顔や服装が、「人から見て可愛い状態に仕上がっているのか」「これとこれならどちらが可愛いと言えるのか」っていうことの、判断力がない。新しい口紅を試しても、自分に似合っているのか似合っていないのか、自分でわからない。
「モサい」から「らしい」へ
私が自分のダサさモサさを自覚したのは中学1年生のとき。それまでも自分の好きな服とかはあったけど、自分が世界で一番可愛いと思っていたので、中高時代は自分とまわりの友人たちのファッションセンス、知識、経験、研究意欲に圧倒された。あ、私モサいんだ。私、ダサい。素材も、センスも、技術もないと「勝負」にならないんだってことを、理解した。
いつもいつも、まわりのきれいな、可愛い女性を見て、「負けたな」って思う。「私、自分のこと世界で一番可愛いと思ってます!」っていうジョークを、その人の前で言えないなって思ったら、負け。可愛い偏差値が低くてもいいんだと思う。あくまで「私らしい」「世界で一番の可愛さ」がほしい。
「可愛い」自分でいるためには、そもそも「可愛くなりたい」とか「こうなりたい」「こういう服が好き」みたいな、ファッションに対するモチベーションというものが必要。そのうえで、服だったら色、素材、形、流行、などなどの知識を仕入れ、それを自分が身につけるとしたらっていう観点で試行錯誤のうえ、自分と服の相性についての経験則を導き出していく。まわりの反応で似合う・似合わない、評判がいい・悪いを検討する必要もあるだろうし、何より自分が着ていてハッピーな服を身にまといたい。
ここで「私も自分なりに研究して、今では自分の好みで、かつ自分が一番可愛く見える=似合うファッションのマイルールを持ってる」とか言うと「モサいオタクとは違うアテクシwww」マウンティングになるけど、おしゃれかどうかは別にして私は「さちこっぽいよね~」と人に言われる自分なりのファッションや髪型が固まっているので、そういう意味では「自分らしいファッション」を持てているほうだと思う。
ただ、自分のモサさを自覚して以来、雑誌を一生懸命読んだり、人に服を選んでみてもらったりしたこともあるけど結局、研究熱心でもないし、お金をやりくりしながら試行錯誤を繰り返すような地道なこともできず。何事も「気に入った少ないパターンを繰り返し愛でる」タイプなので、私はこれが好き!しかもたぶん似合ってる!と思っているもので固定された。
※大学生の頃の「さちこらしいファッション」はパーカー+ショートパンツ+ニーハイ+リュックでポニーテールかおかっぱ、だったので、そういう路線のそういうレベルだと思ってください。
愛されないなら、可愛くたって意味がない
よく「おしゃれは自分のためにするもの」って言うけど、私にとっての「自分のため」は、「私ったら今日も世界で一番可愛い~!」って自分で思えること、かつ、まわりの人にも「あの人可愛いな~」って思ってもらえること。その両立があってはじめて成り立つ。
だから「自分にとって可愛い」だけじゃ嫌。まわりの人から見て「それなり」でいいから可愛いかどうか、いつも不安。そのくせ大した努力はしない・・・。現在地を考えたら、もっと頑張れば「可愛い」の伸びしろはあるんだろな・・・と思いたいな。
どこで見た言葉だったか忘れてしまったのだけど、「アタリの女」になりたい、これがまさに私のファッションへのモチベーション。別に街中を歩くだけで振り向いてもらえるほどの美女にはなれなくていいから、買い物したお店の店員さんに「さっきの子、わりと可愛かったな」って思ってもらえたりする、その程度の、可愛い女になりたい。
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