『サウナと粘土と、私』
こんにちは。サウナのサチコです。
今年もあとわずかですね。トップの粘土は、私がこのnoteを始めるにあたって、一番最初に作った粘土人形です。アイコンにも使ってますが。
今よりだいぶ、ふっくらしてる(笑)。
さて。
皆さんはもう、今年最後のサウナに行かれましたか?
私は先日の「相模健康センター」以来、サウナに行っていません。一番の理由は、12月半ばに帯状疱疹になったことでしょうか。自分の免疫力が著しく落ちていることに、私はまったく気がつきませんでした。
そもそも12月の初めに蕁麻疹が出たんです。私はよく出る方なので「また出たか」くらいの気持ちでいましたが、なかなかそれが良くならないので、しぶしぶ皮膚科に行きました。そしたら「腕のところは確かに蕁麻疹だけど、脇のところにあるのは帯状疱疹じゃないかな」と医師が言うんです。
帯状疱疹
私の職場でもこの病気になる人がよくいたので、病名や症状はよく知っていました。でもみんな60代の人だったし、「まさか私が?」と耳を疑いました。 医師は私の疑念を感じ取ったようで、こう説明してくれました。
「今は結構、サチコさんのような20代でもかかる人が多いんですよ」
・・・言ってません。嘘つきました。
でも「若い人でも帯状疱疹になる」と、医師からもらった『帯状疱疹こんな病気』というミニ冊子には書いてありました。帯状疱疹をご存じない若い方に簡単に説明しますと、「ストレスや過労を引き金に免疫力が落ちると、体の中に潜んでいる水ぼうそうのウィルスが活動を始める。それが神経を伝わって体の左右どちらか一方にだけ、帯状に赤い斑点と水ぶくれを作る。ピリピリするような強い痛みが特徴で、水ぼうそうにかかったことのある人なら誰でもなる可能性がある病気」です。先ほども申し上げた通り、若い人がかかることも珍しくない病気ですが、一番多いのは60代。加齢も原因の一つなのです。言いたくないけど。
「私は帯状疱疹特有の痛みなど、まったくないんですけど!」と一応医師に食い下がってみましたが、医師はそれには答えず、おもむろにピンセットを持ち出しました。そして「ちょっとごめんなさいねー」と、私の脇に出ていた湿疹をブチッ!!
痛い! 今痛い!
思わず声が出そうになりましたが、大人なので堪えました。医師はそのピンセットの先を怪しい液体に浸けました。それから奥に引っ込んで、しばらくしてから妊娠検査薬みたいなものを手に戻ってきました。そして「ほら、ここのところにうっすら縦の線が出ているでしょう? 間違いありません」と、したり顔。
私、妊娠してました。
いや、違う。帯状疱疹に間違いありませんでした。かなり初期に見つかったようで、1週間薬を飲むだけで終了しました。湿疹もわずかでしたのですぐに消滅し、帯状疱疹特有の痛みも最後まで感じることはありませんでした。
軽くて良かったと喜ぶ私に医師は「帯状疱疹自体は人には感染しませんが、水ぼうそうのウィルスは感染します。免疫力が著しく下がっている人や高齢者、水ぼうそうのワクチンを接種していない乳児のいるところにはしばらく行かないように」と釘を刺してきました。
それを聞いた私の頭に真っ先に浮かんだのは、サウナ。
サウナ施設には高齢者が多い。
それからの私は、湿疹が消えてもなかなかサウナに行く気になれませんでした。水ぼうそうの件だけでなく、自分で気づかないうちに疲れ切っていて、免疫力が下がっていたことも気になっていました。もしかしたら知らないうちにコロナに感染しているかもしれない。それを人に移してしまうかもしれない。そうした危険性が急に目の前に現れた気がして、動けなくなりました。
でも。
サウナに行けないとnoteの記事が書けない。粘土も作る気がしない。心の置き場所が見つからなくて、メンタルもどんどん落ちていく。サ活でなくても「ことわざウナ」や「サウナウタ」があるじゃないと思っても、その元気がどうしても出てきません。私はどんだけサウナに依存してるの。
そんな時、一通のメールが届きました。
シナリオの学校に通っていた時の恩師からでした。現役の脚本家です。メールの内容は、あるシナリオのコンクールに応募してみないかというものでした。函館を舞台に恋愛ドラマを描いてみたらどうかと。
私は先生にまだ、シナリオをやめたことを言っていませんでした。学校をやめてから1年が経過しているのに、まだ私が書き続けていると信じている先生。どう伝えたらいいのか散々悩み、数日経ってからようやく返信しました。「夢は諦めました。10年間必死で書いてきたので悔いはありません」と。
先生からはすぐに返事が来ました。いろんなことが書いてありましたが、最後はこんな風に終わっていました。
「シナリオは今、何かと不自由です。だからやめていい。でも小説の表現だけは自由です。楽しんで主人公の物語を書いていれば、結果はついてくる。物語を書いて。いつでもアドバイスするから恋愛小説を書いて!」
いつもは冷めている感じの先生なのに、「!」で終わっているところにちょっと胸が熱くなりました。でも、
このメールに私はまだ返信していません。こんなに真っ直ぐな先生に「もう書かないと決めましたから」と重ねて言うことも、「ちょっと考えてみます」「頑張ってみます」と適当に答えて逃げることもできなくて。
確かに学校に通っていた頃は、シナリオが私の心の拠り所でした。でも求められるものがどうしても書けない。好きだった本屋に行くのも映画を観るのも、ネタ探しのためになり楽しめない。書くことがいつしか、苦しいだけのものになりました。それでも諦めたくなくて10年もしがみついてしまったんです。辞めると決めた時、心からほっとしました。もう徹夜しなくていいんだ、何度もダメ出しされて謝って書き直してを繰り返すこともないんだと。私がずっと苦しんでいたことを先生は知っているはずだから、返信しなくてもわかってくれる。そう思い、スマホを閉じました。
いま、
私にはnoteというサ活を書く場がある。インスタもある。ここにいると落ち着く。実際に起きた出来事だけを文字にして、実際に出会った人たちだけを粘土にするのは本当に楽しい。事実をどう伝えようか、それを考えるのがすごく面白い。もうこれだけでいい。楽しいことだけするんだ。それが私の本心なのだと改めて思い直しました。そして私は自分のインスタ投稿を見直してみました。最近ハマっているストーリーズ。自分のこれまで作ったそれを再生してみて・・・ハッとしました。
私、物語を作ってる。
あいみょんの『裸の心』を使ってミニドラマを作ってる。この時はまだ自分が主人公のつもりだったけど、クリスマスに投稿しようとその時準備していた『星の世界』のストーリーズは、完全に架空の人物が主人公です。三幕構成だの、トリガーだの、ターニングポイントだの、忘れていたシナリオ用語が急に目の前に飛び出して来ました。
私は結局、
ずっと物語を書いていたのかもしれません。事実しか書いていないnoteだって、箇条書きではありません。時系列に書いていても無意識に構成を考えています。伏線も張ったりして、読んでくださる方に少しでも楽しんでもらおうと何度も書き直しています。そしてネガティブな「私」という主人公が、noteの中で最後には生き生きとして終わります。すべて事実であっても、文字にしていくうちに主人公は確かに成長している。これは私が主人公の、物語なのです。
「楽しんで主人公の物語を書いていれば、結果はついてくる」
私はずっと、「サチコ」という主人公を楽しんで書いていました。だから始めて1年足らずで、こんなにたくさんの読者がついて来てくださった。物語から逃げたはずの私が、物語を書く楽しさを自分で証明してしまったのかもしれません。
帯状疱疹からこんな話になるとは、自分でも思いませんでした(笑)。シナリオに興味がない方にはまったく関係ない話かもしれません。でもどれだけ枝葉があちこちに伸びていても、私の話の根っこのところはいつも同じ。
サウナです(無理やり)。
サウナがいつも私を私らしい方向に導いてくれる。勝手に自分の人生の中で溺れている私を、熱いサ室に閉じ込めて、冷たい水風呂に投げ込み、ととのい椅子に縛り付けて・・・これじゃ地獄みたいだけど(笑)。つまり人生はいろんなことがあってこそ、「ととのう」のだとサウナが教えてくれました。苦しかったからこそ、この一年たくさんの記事が書けました。いろいろなことに気がつきました。人の優しさ、忘れていた幸せを、心から感じることができました。
私はまだどこか不安定で、今も踊り場のない螺旋階段にいるような心持ちがすることもありますが、それでも少しずつ上っています。立ち止まり顔をあげれば、見える景色が少しずつ違ってきていることに気がつきます。それはきっと私が幸運だから。人に恵まれているからです。
今年1月26日から始めたnote。3月9日から始めたインスタグラム。たくさんの方に応援していただきました。本当にありがとうございました。6月に寝込んでしばらく投稿できなかった時、復活した時、待っててくださったフォロワーさんに救われました。実際にお会いした方もいたし、必ず会いましょうと約束している方もいます。顔も知らない「裸の粘土サウナー」の私に、皆さん本当に偏見なく?声をかけてくださいました。コメントもたくさんいただきました。何よりこの長いnoteを毎回読み続けてくださって、本当に本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。お一人お一人に、心よりお礼を申し上げます。
もう少し状況が落ち着いたら、私もサウナに行きます。相模健康センターにも閉店する前に絶対行きたいし。自分なりにルールを作るなどしてサ活を楽しむつもりです。そして記事も投稿していきます。サウナと「書くこと」は、おそらく一生やめないでしょう。シナリオの先生には、今後の自分についていつか返信するつもりです。
なんだか話がまとまらないのですが、私らしく最後までバタバタして一年を終わります。落ち着け、サチコ。
どうぞ皆さんも自分の身体や心を大切にして、健やかで楽しいお正月をお過ごしくださいね。
私はきっと、お正月も粘土こねてます。
2020年12月29日
サウナのサチコより
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