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メンバーに、部下に、仲間に、そして自分に「ねぎらいの言葉」かけていますか?


はじめに

すこし哲学的な導入ですが、人は一人で生きていくことはできません。仕事の場面でも、プライベートの場面でも、誰かと何かしら共に関わり合いながら日々時間を過ごしています。また、人によってはリーダーやマネージャーとして、メンバーをまとめる立場にいる方もいるかと思います。

今日は、みなさんにぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは「ねぎらいの言葉(Recognition)がもつ重要性」です。この記事を読んでくださっているみなさんは最近、共に働くメンバーや後輩、部下に「ねぎらいの言葉」をかけましたか?または、周りのメンバーや先輩・上司などからそんな言葉をかけてもらったでしょうか?

Gallup社の世界規模調査の結果によると、一週間前にねぎらいの言葉をかけてもらった人はたったの4人に1人とのこと。ほめることがそんなに得意ではない日本ではもしかしたら更に少ないのかもしれません。

ねぎらいの言葉をかけるのは、ただ職場やチーム間の雰囲気を保つため、場を和ませるため程度に思っている方も多いのかもしれません。今日は、それだけではない効果について、Gallupの調査結果を交えながら紹介していきたいと思います。

調査結果からわかったこと

Gallup社がWorkhuman社と共同で行った調査結果レポートは以下の言葉で始まっています。

「From Praise to Profits」称賛こそが利益を生み出す

「Employee recognition isn’t just a nice-to-have. It also supports your organization’s bottom line.」
社員へのねぎらいは「推奨」ではない。ねぎらいこそが組織の底力を引き上げるためのビジネス戦略だ

こんなメッセージでレポートがまとめられている背景には、以下に示したようなデータがあるからです。おそらくみなさんが感覚的に「何となくそうなのかもしれない」と感じていた部分も多いのではないでしょうか?

仮に、これまで4人に1人しかねぎらいの言葉をかけられていなかったのが、4人に2人になった場合、先のパーセントを経済換算した時、アメリカで10000人規模の企業でおよそ9900万ドル(日本円換算でおよそ130億円)の効果になるとの試算があります。一人当たり換算にしてみると、その額およそ130万円。この結果からも、レポート冒頭で「From Praise to Profit」と書かれているのも納得です。

ねぎらうことの重要さが分かったところで、次にどのようにねぎらっていけばよいかについて触れて行きたいと思います。

ねぎらい「Recognition」に効く5つのヒント

いきなりねぎらおうと思っても、ただ「いいね」というだけでは十分ではありません。特にリーダーやマネージャーの方に参考にして頂きたい、5つのヒントを紹介させていただきます。

①戦略的なねぎらいの場を作る

「各自積極的にねぎらいの声かけをしていこう」という号令だけでは、ねぎらう文化が定着するのはかなり難しいと思います。やはり、ねぎらうための場を積極的に仕掛けていくことが大切です。P&Gには、「Power of you」という、部署を越えてお互いの貢献を称え合うシステムがあり、グレードによって報奨金も設定できるものがあります。

上司と「この人の●●についてRewardを送りたい」という話をして了承が取れると、Rewardを送る相手とその功績を記入し、システム上で送信するというものでした。もしかすると、みなさんの職場にも類似のシステムがあるかもしれませんし、例えばスターバックスコーヒーのeギフトでもいいでしょう。各自毎月誰かに一つはねぎらいの言葉とギフトを渡すというちょっとしたルールもあれば戦略としては完璧ではないかと思います。

今だからお話ししますが、私自身も褒めることはただ気持ちのいいこと、雰囲気がよくなるだけかなと思っていたことがありました。正直、P&G在籍時代、Power of youはもらう専門という感じで、もらえないとちょっとがっかりということも実はありました。そんな中、2年近くリードしていたある組織横断プロジェクトの最後に、関わっていた部署の方たちに初めて自分からPower of youを渡したことがありました。ちょうど退職を決めていた時で、その前に私の感謝の気持ちが伝えられたらなという軽い気持ちだったのですが、送った直後に、プロジェクト中あんなに対立し、協力を得ることができなかった関係部署の課長の方たちから「自分たちの部署のメンバーにこんな温かいメッセージとRewardを送ってくれて本当にありがとう」という言葉が次々とメールで送られてきたのです。もちろん、仕事のことなので情けだけで対立を回避できることはありませんが、もう少しお互い意見を出し合い生産的に進めることができたと思います(つまり、プロジェクト中は相当バトルをしていたということです)。もう少し早く知っていたら、P&G内でのバトルをかなり減らして、スムーズなキャリアを歩めていたかも?と感じています(辞めて今、充実しているので戻りたいというわけではありませんが)

②今のねぎらい方を見直す

すでに何かしらのシステムはあるよと言う方は改めて今のやり方を見直してみてください。そのやり方は、属人的になっていたりはしませんか?また、だれかに偏っていたりせず公平でしょうか?そして、そのやり方は、組織が大切にしている価値に遵守したものになっているでしょうか?ただやればいい、その場しのぎになっているようであれば、是非一度見直してみる時間を持ってみてください。

③まず自分がロールモデルに

あなたが組織やチームのリーダー・マネージャーであるならば、まず自分がお手本になり、率先してスタートすることが大切です。あなたのメンバーや部下たちは、あなたが何に価値を置いてねぎらっているのかを見ています。ねぎらいを組織の文化にしていくためには、トップがその姿を見せていくことが何よりも重要です。

④その人それぞれにカスタマイズ

同じ基準で誰にでも言える言葉でねぎらうのではなく、その人それぞれに最適なねぎらいをしていくことが何よりも重要です。とはいえ、どうすればいいかは難しい所かと思います。こんな時こそ、ストレングスファインダーの出番です。お互いの上位資質をチーム内で共有することで、その人がどんな部分で成果につながる強みを発揮しているか理解でき、自然とその人それぞれに対したねぎらいの言葉をかけることができると思います。

⑤何をしたかよりもその人自身にフォーカス

ねぎらいの言葉をかけるのが苦手な人の理由の一つに、「大切なのは痛感しているが、プロジェクトが終わっていない・状況が収束していない段階ですることが果たして良いのか躊躇してしまう」という部分があるかもしれません。ねぎらいは「何かをした」からするものではなく、「その人自身」が「どのように」貢献したかに対して提供されるものだと捉えてみてはどうでしょうか?その人が良い働きをしたからと言って、良い結果に直結するとは限りません。ましてや状況が大変な場合は、結果になかなか現れないことも多々あるでしょう。そんな時こそ、メンバーがエンゲージメント高く、業務にあたっていくためにも、ねぎらいが重要になってきます。「何の結果を出した」ではなく「その人」が「どんなふうに」にフォーカスし、ねぎらうということを意識してみてほしいなと思います。

最後に

今回は「ねぎらい(Recognition)」について少しまとめさせてもらいました。この記事を書いていた5月は、皆様もご存じの「五月病」という言葉もあるように、どうしても憂鬱になってしまう人が多い時期。データにもあるように、ねぎらいの言葉をかけることで、休職・離職者を22%減らすことができるということで、この記事を読んでいただいた方には、ぜひみなさんの周りの方に「Recognition」を心がけてみてほしいなと思います(英語ですが、こちらにもわかりやすくまとめてありました)。

そしてこれは、職場だけに限らず家庭内も同じと言えるでしょう。この記事を買い得ていた5月は新学期で少し疲れが出てきやすい時期、子どもたちの日々の小さな成長に目を向けた声掛けや、新年度であわただしい中、家事育児をこなしているパートナーに対して「ありがとう」という声掛けひとつからでもいいと思います。明確な分担表や完璧なTo do listももちろん効果的ですが、その中にぜひ、「相手を思ったねぎらい」という要素もぜひ取り入れてみてくださいね。

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