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東京駅とグミとお誕生日

「ああ、間違えちゃった。」

足が疲れて歩けないよ、って泣いちゃうかなと思って、子供達を見上げた。

「ママ、道間違えちゃったの。
今来た道を戻らないと、新幹線に乗れないや。
チケットの時間にも間に合わない。
あぁ、ごめんね。」

泣きそうなのは私だった。


夕方の東京駅
忙しく歩く人達の波。

一時帰国。

東京駅の構造も忘れた。
いや、私はそもそも、方向音痴。
方向の勘なんて持ち合わせていない。

皆の邪魔にならない様にと
新幹線の指定席を予約していた。
子ども達が泣いたらすぐに通路へ出られる様に
なるべく人がいない車両を予約した。
それなのに、新幹線乗り場の入り口にも辿り着けないなんて。

ごめんね。


娘:5歳
息子:4歳 


赤ちゃんの頃から、息子はよく泣いた。
泣くと呼吸が止まるくらい泣くので
泣かせない様にと気を張った。



ごめんね。

ふと肩の力が抜けて
涙が出そうになった。


その時、2人は言った。
「ママ、大丈夫だよ。」

娘は言った「のりちゃんは地図あったら、道わかるから。見てあげるよ」
当時アニメのドラ(Dora)が好きだった娘は、地図を読むのが好きだった。

息子は言った「ママ、大丈夫だよ」


子どもを連れて東京へ行くんだって意気込んでいたのに
今、私、
励ましてもらっている。


私「足も疲れちゃったよね。どうしよう」


「ねえ、ナナ!」息子は娘の肩を叩いて閃いた様子

「オッケー!ママ、ラシュウディはグミが欲しいの。グレープ味の」という娘。



2人が見つめる先にあったのは、小さな売店。
グミか。
うんうん、グミ食べて元気だそう。


その後
その小さなお店は
ナナとドゥディとママと
世界で1番美味しいグミを売っている店として、
語り継がれる様になりました。

桃太郎のきび団子みたいに。
のりちゃんとドゥディのグレープグミ。
忘れられない味。



最近、この街にも、
アジアンスイーツを販売する店ができた。
日本のお菓子も売っている。

グレープグミは無いかもしれないけど、
見に行ってみよう。





2022年 3月21日 12歳になる君へ。

君に教えて貰ったことは、沢山あるけれど
その中でもとっておきの話を書きました。
いつか君が、これを読む日が来るかもしれないから。

君の「ママ、大丈夫だよ」に、
私は何度も救われました。

いつもありがとね。

お誕生日おめでとう。
料理が上手で心優しいドゥディ

今朝も言ったけど、
何度でも言う。

だいすきだよ。


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