さちこ

静岡県在住 いつだって家でゴロゴロしたい

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最近の記事

透明な言葉と不安定な物語『九月と七月の姉妹』デイジー・ジョンソン

もう物語の中にいる。 世界が創られた。 この冒頭部。それだけで、涙が薄っすら溜まる。 久しぶりに感じた、物語に溶け込む。 本を手に取った時から、やばい感じがした。 この本は、一人きりで時間のある時に読もう。 そう思って、取っておいた。 外で雷が鳴ってる。雨も降りはじめた。 よし、読もう。そう思い、本を開く。 私は雨の音が好きだ。 雨の音を聞きながら本を読むのが好きだ。 端的な言葉が続く。 詩を連想させる文章。 詩のことは、あまり分からない。 透明でみずみずしい言葉と

    • 前川貴行『ともに生きる 山のツキノワグマ』写真から圧を感じる

      『ともに生きる 山のツキノワグマ』 写真•文 前川貴行 絵本コーナーで見つけた。 子ども向けの本、写真集だ。 わくわくしながら開く。 圧倒される。 圧が凄いのだ。 1枚1枚の写真から、圧を感じる。 圧力かな?なんか違う。圧倒されつつも立ち上がるような力。こもった力が写真にある。 執念、信念、強い感情 動物かわいー見て見てー、なんていう私の写真とは、根本が違う。 もちろん私はど素人で、比べるなんて失礼極まりない。それでも、全く違うんだから違う。 クマの瞳、クマの毛並

      • 通り過ぎて気になって、もう一度探した虫の話

        公園に入って少し歩くと、道で何かキラキラ光ってる。明らかに何か違う。遠くからでも分かる。石じゃない。ものすごく光を反射する何か。緑色の光。緑のライト?きっと子どものオモチャだろう。 いつもは静かなこの公園も、学校の宿題だろうか、紙や筆記具を持って大人と歩いてる子どもをよく見る。 光る何かに近づいてきた。ペンのキャップだろうか、それくらいの大きさだ。何だろう。まだ分からない。 たどり着いた。何だろう、顔を近づける。オモチャの虫? 拾いあげてみる。手のひらにのせ、じっくり見る

        • 1対1の感覚

          こんなに見つめられるなんて、いつぶりだろう。今までに、あったか? 動物園に来た。 浜松市動物園 久しぶりだ。 入ってすぐに、馬のお出迎え。 立ち止まり、写真を撮る。 しゃがみ込んで、写真を撮る。 なんだ、すごい見てくる。ぐいぐい来る。 目が大きい。こっち見てる。 さわりたい。がまんする。 ペンギンも 白くまも レッサーパンダも カピバラも トラも こっち見てる。 すごい見てくる。 見られて見られて、たくさんの目に見つめられて、びっくりした。 そうだった、

          【富幕山】山野草に迎えられ山頂を目指す

          山歩きが好きです。 浜松市在住。 周りには、低山がたくさんある。山歩きを日課にしている人も多い。 富幕山は私のお気に入りの山歩きルート。 山野草が多く、山道もなだらかで歩きやすい。 今日はどんな山野草が見れるのか。 残念ながら、何度も何度も山野草の盗掘に遭っている富幕山。 「山野草を取らないで」 こんな看板は至る所にあります。 エビネも沢山咲いていました。 今はない。 さぁ、登ろう。 目指せ山頂。 山の中は、ほんのり涼しい。 山頂に着くと、やっぱりうれしい。 山頂

          【富幕山】山野草に迎えられ山頂を目指す

          キミに会いたかったんだよ

          親戚のにいちゃんに貰ったデカいスイカをむしゃむしゃ食べた。スイカのにおいから、樹液のにおいを思い、昆虫のことを思い出した。 樹液のにおい!昆虫探しに行こう。 いつもの公園、いつもの神社、いつもの森。 樹液を巡る。 何年か前にも樹液巡りをした。 その木へ向かう暗い一本道。道の入り口で、もう子どもではない若者、男の人に会った。 「いっぱいいますよ。スズメバチもいっぱいいます。」 手ぶらだった。笑顔で私に話しかけた。 首にタオル、短い髪、顔いっぱいに流れる汗。 あぁ、同

          キミに会いたかったんだよ

          いつの間にか自転車

          いつの間にか自転車に乗ってる。 私の移動手段は、ほぼ自転車です。 気がついたら、自転車になってた。 まあまあ田舎に住んでいるので、車が無いと、かなり不便。免許持ってる、車も持ってる。なんで自転車? なんで?って、あったから、自転車が。 白くてかっこいいんよ。私が買った‼︎息子の自転車を買おうと自転車屋さんへ行ったら、自分の自転車が欲しくなっちゃって、買っちゃったー!わーい! ばかですねー。完全に衝動買いですねー。 その自転車も、たまに散歩がてら乗る程度だっだ。なんとなく気

          いつの間にか自転車

          『夏への扉』猫哲学をどうぞ

          住居と食と天気の世話はぼく任せ、それ以外のいっさいは自分持ち 物語の冒頭部で披露されるピート哲学。清々しい。なんて勝手な哲学。最高。ピートは猫だ。天気の世話をぼくである飼い主にさせるあたり、まさに哲学的。見習わなければ。 彼は、その人間用のドアの、少なくともどれかひとつが、夏に通じているという固い信念を持っていたのである。 彼=猫のピートだ。 タイトル「夏への扉」 素敵な響き。昔懐かしいような、何か楽しいことが始まりそうな期待を含んでる。懐かしくて楽しくて、始まりを待

          『夏への扉』猫哲学をどうぞ

          内職面談1ヶ月待ち、ダブルワーク禁止にカルチャーショックを受ける

          実は今、長期休暇中です。 大人になって夏休みを貰えるなんて、なんて最高なんだ! まとまった休みの間に何したい?って考えた。旅行?食べ歩き?イヤイヤ、私、家で引きこもりたい。ほんとバカみたいに家が好きなんです。それでもなぁ、それじゃ絶対一日中家でゴロゴロしてるぞ。と考え考え、内職やってみたい!とひらめいた。 よしっ、私ってば天才!と内職についてネットで調べ、市が斡旋している『内職センター』なる場所を見つけた。そういえばここ、この建物、知ってる。気になってたんだよね、と思いつつ、

          内職面談1ヶ月待ち、ダブルワーク禁止にカルチャーショックを受ける

          装丁に溜息『注文の多すぎる患者たち』そして目次にビビる

          見てすぐ手に取った。 『注文の多すぎる患者たち』 そそられる。 動物たちの写真。 文字の配置。 いい。 表紙をめくり数ページ、写真が続く。野生動物たち。 たまらない。時間を堪能する。 表紙とそこからの数ページ。 圧巻の野生動物写真が続く。 ヘビ ホッキョクグマ ヒョウ ゾウ フクロウ ゴリラ もっと見たい。もう一度、、、 そして目次へ続く。 目次を前にして固まる。 いや、待ってくれ。違うだろ。 セイウチの自殺願望って、セイウチが自殺を願う? 靴と交尾って、な

          装丁に溜息『注文の多すぎる患者たち』そして目次にビビる

          なぜかホワイトアルバムを思わせる「真・英文法大全」

          「真・英文法大全」にビートルズ・ホワイトアルバム(The BEATLES)を感じる。 山積みになった白のパッケージ。 少ない装飾。 思わず足を止め手に取る。 ホワイトアルバムが目に浮かぶ。 ちがう。これは英文法の本だ。 訳分からん英文法の本だ。 のに、表紙をめくってみる。一転、黒い見返しが出迎える。 いゃー、読みたい。読みたくなった。 困った。 私は英語が分からない。 英文法なんて、さっぱりです。 こんなこと言ってますが、ホワイトアルバムについて物凄い語れる、とかじゃあ

          なぜかホワイトアルバムを思わせる「真・英文法大全」

          ハイキューのヒロインは研磨だと思ってる

          研磨、可愛すぎん? 「劇場版ハイキュー‼︎ゴミ捨て場の決戦」感想 私、前々から、ハイキューのヒロインは研磨だろ、と思ってます。 男じゃん! とか関係ありません。 もう、登場の仕方から語り口調まで完璧ですから。 そっと佇む登場 囁くような語り 主人公との約束 どうです。 キュンキュンさせてきます。 ヒロインですね。 「少女マンガを思わせるような、細やかな心理描写」 これこそハイキュー。

          ハイキューのヒロインは研磨だと思ってる

          時代は変わったって言うけど、君はどう思う?『タスマニア』

          まえがきと言っていいのか、目次の前にあるこの言葉が、この本をよく表していると思う。 この本ってどんな本?と聞かれたら 時代は変わったって言うけど、君はどう思う?って本、と答えたい。 さらに付け加えるなら、 時代は変わったって言うけど、君はどう思う?という作者からの問いかけの本、となる。 新しい本に出会った時、どうしますか? 私は「とりあえず何も調べず読んでみる派」です。 この本もそう。 そして「とりあえず何も調べず読んでみて」よかった。 タスマニア旅行記、楽しそう!違うの?

          時代は変わったって言うけど、君はどう思う?『タスマニア』

          節約と倹約は同じですか?『モモ』ミヒャエル・エンデ

          倹約・倹約・節約・節約、もっと節約、まだまだ節約、、、 どこにでもある節約 いいことしかない節約 何でも解決してくれる節約 伝染病のような節約 こいつは一体何なんだ、何者なんだ。 節約って何だっけ? これが、この本を読んだ感想。 読んだ本は ミヒャエル•エンデ『モモ』 時間の節約を町の人たちに薦める「時間どろほう団」をモモがやっつけていくお話。 物語の途中、町の人たちが時間の節約をしていく。 読んでて苦しかった。この節約、やったことある。この節約魔は私だ。 節約

          節約と倹約は同じですか?『モモ』ミヒャエル・エンデ

          みつしり、が怖い『魍魎の匣』京極夏彦

          京極夏彦『魍魎の匣』 分厚いミステリ。 私にとっては 「とにかく怖い」 作中、「みつしり」という言葉が度々使われた。 私は、このみつしりが怖い。 怖くて怖くて気持ち悪い。 みっしりーみつしり これだけのことなのに、すごく息苦しく感じる。 あぁ、息継ぎを忘れてしまう。 あの忌ま忌ましい隙間風は、実は必需品だったか。 と、登場人物/木場による語りがあるが、その通り。隙間風が恋しくなる。 余白が欲しい。 塗りつぶさないで。 と思ってしまう。 こんなたわいもない事で、

          みつしり、が怖い『魍魎の匣』京極夏彦

          つきぬける光の彫り『君は隅田川に消えたのか』駒村吉重

          『君は隅田川に消えたのか』ー藤牧義夫と版画の虚実 読みました。 この本を一言で言うなら 「若くして行方不明になった版画家・藤牧義夫にまつわる謎を追う長編ノンフィクション」 なのだけど、 この本はミステリーなのか、、、 藤牧義夫ってすげーぞ!、と藤牧義夫作品を絶賛してるのか、、、 私は、藤牧義夫作品の 鋭さ 光の表現ー突き抜ける光・ぼーっとした光 単純な美しさ に惹かれた。 もっと藤牧義夫作品を見たい。 まぶしくて、単純で、あたたかく、美しい 印刷ではなく、直接

          つきぬける光の彫り『君は隅田川に消えたのか』駒村吉重