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日刊さっちん(ゆるめ)

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さっちんこと入谷佐知が毎日のちょっとしたことや頭の中身を書いていくだけのマガジンです。ゆるめです。
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#NPO

「寄付があるから国の予算を減らせる」でよいのかな?

先日、この記事を読んで「そういうことになっちゃうのかあ」とすごく残念に思った。京都大学iPS細胞研究所で、国からの予算がゼロ、もしくは数年に渡って減らされていく方針であるかもしれないこと、そして、その議論がどのように行われているのかがわからないことが記者会見で指摘された。 iPS研からみて、政府側にあてにされたと感じるのが寄付金だ。山中所長がマラソンなどで訴えて集めた寄付金は143億円に達する。山中所長は「寄付金があるから国の予算を減らせるという人がいるようだ。そんなことで

「小さな違いに目くじらを立てない」を胸に刻む

この記事がすごくよかった。 わたしは大阪にある「こどもの里」を運営する庄保さんを、とても尊敬している。その庄保さんのクラウドファンディングをサポートされていた慎泰俊さんがこう評価されていた。 わたしはこれを読んで、すごく同意した。 その人との「差異」に注目し、「その人と共通するもの」を見出さない支援者や活動家はたしかに多い。 看護師をしている友人は「日々現場で頑張っていると、同僚のちょっとした違いが目に付いて嫌悪感であふれてくる」という。そういうことはNPOの現場でも

2030年の日本に18歳として送り出す

10年後にむすめは学校を卒業する。そのことにリアルさがでてきた。「2030年あたりの日本に、18歳として、送り出すのか」とおもったら、なんだかショックだった。その時の日本に、18歳か。31%が高齢者で、同年代が圧倒的に少ない。空き家が大量にあって、人のいない地域が生まれる。ものすごい量の負債。絶望したって不思議じゃない。この日本に彼女を産み落としたことを、彼女に恨まれてもぜんぜん不思議じゃない。    わたしはこの生活のしかたでいいんだっけ。もっと、人口減少社会に基づく暮らし

「国」に求めることと、「わたしたち」がやることの境界線

「それは国とか行政がやることなんじゃないかな。なぜあなたたちがやってるの?」 と言われて「そうだよねえ」と思う。 「福祉事務所に相談しにいったら追い返されてしまった」とか「ハローワークに行ったら"バイト経験もないの?”と言われた。サポステとかそういう場所は教えてもらえなかった」とか「生活保護申請に言ったら、"ご自身のご家族は稼いでるんですから頼ってください"って言われました。家族には暴言を吐かれるし、頼れないから来たのに…」とか、そんな話を無数に聞く。だからNPOや非営利

Pixel3a画面を壊す→修理店を見つけてGoogle Mapのレビューを書くまで。NPO広報の視点から

Pixel3aを壊した買ったばっかりのPixel3aを盛大に落っことして、画面を割ってしまいました…。 ええ、Pixel3aの発売日に買ったやつですよ…ショックがでかかったです。ショックがでかすぎて割れているPixelの写真も撮りませんでした。 (Pixel 3aはGoogleが出したスマホです。安いんだよ〜!) 「Pixel3a SIMフリー 画面 壊れた」で検索Googleが出したSIMフリーのPixelはどこに修理に出したらいいんだろう?ということで、即Googl

広報・ファンドレイジングをする人がざっくり知っとく法律まわり

これ、内部での研修用資料にちまちま書き溜めていたやつですが、まったく一向に終わらないので一部を公開します。。 広報表現基本的人権:あたりまえなんだけど「基本的人権」が憲法で保証されているので、人権侵害にあたる意味や表現はNGになります。 たとえば・・ ●女性/男性に偏った広報表現:「保母さん」→「保育士」、「オンブズマン」→「オンブズパーソン」といった正しい表現を使う。「家事してるから女性アイキャッチ」みたいな固定イメージで広報しない ●こどもに対する広報表現:「坊主」

「自尊心を尊重した寄付のお願い」と、自立した人としてみなすということ

雑誌『暮らしの手帖』に、佐藤雅彦さんの「考えの整とん」という連載がある。昨日図書館で佐藤雅彦さんの文章に久しぶり出会って嬉しくなってそのまま読み老けってしまった。そこにはこんな文章があった。 佐藤さんは20年以上前にこんなCMを海外で観たと言う。 わたしもこの文章を読んで震えるような思いだった。 でも、モヤモヤした思いも同時に残った。佐藤さんの言うように、それは「目の不自由な方たちの自尊心に配慮したコミュニケーション」だったと思う。そう思う。 でもわたしは、目の不自由

腹をくくる広報/誰かを傷つける発信

発信するとき、わたしは毎度めちゃめちゃ腹を括っている。信じがたいかもしれないけど広報は覚悟と納得ないと全然できなくて、寄付する人のお金を受け取ること、ボランティアする人の人生の時間を奪うこと、の重圧をモロに受け取りつつ、それでも絶対にこの事業は必要なんだと思ってやっと発信できる。 誰も傷つけない発信は不可能で、誰かを傷つける覚悟をもって発信している。「おはよう〜」でも誰かを傷つける要素はある。不特定多数になにかを言うということは、そういうことで。誰かを傷つけてでも成したいこ

ひと括りにすることとしないこと。専門性を持つということ。

先日こんなツイートを書いた。 平野啓一郎さんの小説『ある男』の登場人物・城戸(きど)は、弁護士であり、妻子のいる男性であり、在日三世だ。「在日だ」と敵視されたり差別に出くわすのと同じくらい「同胞だな」と同じ在日コリアンに肩を組まれるのも違和感がある。同じように「弁護士の先生だから」と言われるのも違和感がある。 ひとくくりにすることは、暴力的にはたらくときがある。ひとくくりにせず、「在日」でも、「弁護士」でもなくひとりの人間として関わられた経験は、その人の心に深く残る。だか

公式発表ってだいじなんだな

はじめて研修というものをやった。 ただしくは、自分の広報部門のインターン生にはしてきたけど、現場の部門含めたスタッフに研修をするのは初めてだった。 わたしは話してみて、いち意見でなく公式発表するというのは、だいじなことなんだなと気づいた。 「実は組織において、帰り道や食事時や給湯室で話される社員の提案や違和感や愚痴は、その9割が新規性はなく、すでにトップマネジメントの思考のなかに入っている。過去に議論したことがあったり、過去に結論づけられたことがあるものなんだよ」と、あ

ふだん聞いてる英語ポッドキャストまとめ

わたしはNPOのファンドレイジング(資金調達)とか、NPOに限らずマネジメント・経営・PR・その他ビジネスに興味があるのでそれに関わる英語のポッドキャストを聞いています。普段聞くことが多いものをまとめました。 Simon Scriver's Amazingly Ultimate Fundraising Superstar Podcast アイルランドのファンドレイザーサイモンが、様々なスーパーファンドレイザーに話を聞いていくPodcastです。ダイレクトメールやFaceb

「新規顧客1人の獲得費は既存顧客1人の維持費の5倍が必要」はホント?

「新規顧客1人を獲得するためには、既存顧客1人を維持するために必要な費用の5倍を要する」 この言葉を、聞いたことがあるマーケッターは多いと思います。また、NPOのファンドレイジング(資金調達)を担う人も、聞いたことがあるかもしれません。この法則に従うと、新しいサポーターを獲得するよりも、既にサポートしている人を維持するほうが低コストだから、既存寄付者の維持率を気に留めて様々な施策を打っているNPOのファンドレイザーも多いかなと。わたしもその一人です。 このnoteでは、そ

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広報・ファンドレイジング部門ではたらくみんなへのおすすめ本(2022/02/23更新)

こんにちは、入谷佐知です。わたしは、認定NPO法人D×P(ディーピー)という若者支援のNPOで、広報と資金調達のマネジャーの仕事をしています。 毎度推薦図書をスタッフみんなに共有するのに、それを取りまとめたドキュメントがどっかにいってしまう(おい)という状況なので、広報と資金調達の部門でともにはたらくスタッフにおすすめしたい書籍をnoteにまとめてしまおうと思います。また、おなじような仕事をしている方の参考になれたら嬉しいです。 このnoteはなるべく随時更新していきます

寄付がそれをさせてくれた

わたしはNPOで働いている。高校生をサポートするNPOで、寄付を集めたりPRする仕事をしている。(NPOにはいろいろあるけど、企業のような事業型や行政委託型ではなく、寄付型NPOにあたる。) わたしは以前、「高校生にとっての価値はこれです!」「彼はこの段階のステップを踏んでこうなりました!」「お金にするといくらです、費用対効果これ!(SROI)」と言えたほうが、寄付につながりやすいんだろうな、とも思っていた。寄付する人が何に寄付したのか見えやすい。でもわたしたちが日々垣間見