幸嶌

思い付いたままに文をダラダラと

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最近の記事

死に焦がれる

昔枯らした筈の滴が頬を伝う。 幼い頃は、死が怖くて怖くて堪らなかったのに、 今は堪らなく愛しい。 生と死だけは貧しい者だろうが、富ある者だろうが、 どんな人間にも平等に与えられるもの。 この世に生まれ、疎まれ蔑まれ、全てを憎み呪った私。 復讐を果たすまで死にたくなかった。 誰よりも幸せになって生きてやるのだと心に誓っていた。 私を蔑すみ嘲笑った者は、身に余る欲を抱き、 罰が当たり悲惨な死を遂げたと噂を耳にした。 そして、生き残った私は不思議に死ぬことの出来ぬ体となっ

    • 黒の惑わし

      ふと、鈴の音が耳を木霊する。 音の鳴る方を振り向くと、其処には黒い猫がいた。 てっきり、猫の首輪に鈴が着いているのだろうと思ったが、 猫に首輪はない。 野良のようである。 鈴の音はどうやら私の空耳だったようだ。 耳が可笑しくなったか。 そう思っていると、猫が私に近寄ってくる。 そして、まるでついてこいとでも言うかのように、猫の金の瞳が私を映す。 猫の瞳につられ、惑わされたかのようについて行ってみれば、 其処には見事な桜が咲き誇っていた。 「綺麗」 思わず見惚れて感嘆

      • 飲み会嫌い

        会社の終業は17時。そして一時間半後には、会社の忘年会が始まる。 ……嗚呼、憂鬱だ。 飲みニケーションだ云々と、面倒極まりない。 普段会社じゃ話せないからと酒を飲み、酒の力を借りて紡がれる言葉は大抵会社の愚痴ばかり。 そもそも、酒を飲まなきゃ交流出来ないとはどういうことなのか。酒の力を借りなければ言えない台詞など、言わずに黙っておけば良いのに。 本当に交流したければ、昼の休憩時間なり、三時休憩なりに時間を見つけてしたら良いのだ。 下っ端は、上司や先輩の話に角の立たぬよう

        • 花吐き病の少女(1)

          少女の咽びと共に口から花弁が溢れる。 咽ぶ度に溢れる花弁は、まるで血のように真っ赤であった。 少女は『花吐き病』と呼ばれる奇病に侵されていた。 花吐き病は、体を花に侵される病であり、徐々に内蔵を花に侵し蝕まれ、最期には花の苗床となる。 そして、花吐き病で死した者の骸は、高値で売買され、特殊な保存処理をされ鑑賞物にされるのだ。 特に苗床となった者の見目が良いと価値は跳ね上がり、オークションでは500万はくだらないというから驚きである。 花によっても値段は異なり、一番人気は薔薇

        死に焦がれる

          毒吐きの彼女

          彼女は毒を吐く。 彼女とカフェに来ていた時のこと。 彼女はマグカップの中を見詰めながら、グルグルとティースプーンで紅茶を混ぜていた。 かき混ぜ始めてから、軽く10分は経っている。悩み事や考え事をしている

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