死に焦がれる

昔枯らした筈の滴が頬を伝う。

幼い頃は、死が怖くて怖くて堪らなかったのに、
今は堪らなく愛しい。

生と死だけは貧しい者だろうが、富ある者だろうが、
どんな人間にも平等に与えられるもの。

この世に生まれ、疎まれ蔑まれ、全てを憎み呪った私。
復讐を果たすまで死にたくなかった。
誰よりも幸せになって生きてやるのだと心に誓っていた。

私を蔑すみ嘲笑った者は、身に余る欲を抱き、
罰が当たり悲惨な死を遂げたと噂を耳にした。

そして、生き残った私は不思議に死ぬことの出来ぬ体となっていた。

……嗚呼、誰か、どうか私を殺して。


『女は昔望まなかったものに焦がれて止まない』