ああ

私はきっといい奥さんになる

らしい。

こうかくと結婚願望の高い女子に見えるかもしれない。

けど、これは私ではなく他人に言われてきたことだ。


なんでだろうか。

料理ができるから?
なんだか穏やかそうだから?
真面目そうだから?


多分、いろんな理由がある。

でも、私は全然そんなふうに思わない。

料理をするのは自分が好きなものをコスパ良く食べたいからだし、

人当たり良くしているのも
そのほうが人間関係がうまくいくからだ。

真面目なのも、
自分ではよくわからない。

寝るのが大好きで、仕事に遅刻しそうになったことも何回かある。

結婚も子供もまだまだ考えられない。

「いい奥さんになりそう」
「いいお母さんになりそう」

そういったイメージを持たれるのは嬉しいけど、
自分自身では全く想像できないのだ。

結婚して子供を持つことで、
自分の人生が終わってしまうのではないか。

どこかでそう思ってしまっている自分がいる。





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つい最近、私が滞在している宿に一組のスペイン人夫婦がやってきた。

彼らは休暇で日本に遊びに来たらしい。

本当は東京に3日間いる予定だったのだけど、
都会がどうにも合わず、急遽予定を変更して
田舎に移動してきたそうだ。

よく見ると、妻の方は妊娠していた。

多分、5、6ヶ月目だろう。
少し、お腹がぽっこりしていた。

妊娠している時期に海外旅行に、
しかも、大きなバックパックを何個も担いででくるとは。

私には想像できないし、海外ではこれが普通の文化なのかもしれないが
なんてタフなんだと少し驚いた。

スペインの観光場所、
日本でオススメの観光場所、食べもの、、

他愛のない話を彼らとしている中で
ふと気になったことがあった。

「赤ちゃんができて嬉しい?」

そう聞くと、

「もちろん!素晴らしい体験よ。
 どんな子が生まれてくるか楽しみだし、
 何より、彼とより深いところでつながりができた気がするの。」

と、うっとりと夫の方を見つめていた。

なんだか衝撃的だった。
「子供ができてしまったらもう終わり」
そう、考えていたから。


少し話は変わるけど、
昔から外国人カップルに共通して感じていることがあった。
彼らはなぜかすごく"自由"そうに見えるということだ。
実際、彼らはそんなふうに感じていないかもしれない。


でも、日本で生まれ育って日本の習慣に触れていると
どんどん自由が利かなくなってくる気がするのだ。

結婚したら女はこうあるべき、というような。
もちろん、時代は変わってきているし、
古い考えはどんどん払拭されてきている。

けれど、どこかまだ
みんな昔の古い考えに苦しんでいるような気がする。


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「素晴らしい宿ね。
 子供が産まれて自分で歩けるようになったら、また必ず来るわ。」

そう言って彼らは次の目的地へと去っていった。


そのとき、私はこの宿にいるかどうか分からないけど
彼らが元気な子供をつれてきてくれるといいな。

それまで、私も自分の人生を精一杯楽しむ。

仕事も、旅行も、趣味だって。
まだまだやりたいことはたくさんあるんだから。


"いい奥さん"になるのはまだまだ先のようだ。


ちょっと豪華な、美味しいキッシュを作りたいと思います。