アイドルオタクの『終活』① 推しメンに葬式に来てほしいですか?
以前この記事を書きました。多くのオタクの皆様に読んで頂いて非常に感慨深いです。しかし個人的には、当該記事の欠点として「オタク」という広い括りで書いたためにテイストとしてはかなり軽めなものになったことが不満に感じています。言い換えれば、骨董品コレクターからガノタに至るまでの「オタク」という最大公約数を前提にしていたので、内容に深みがなかったという反省があります。
私はアイドル、もっと言えば地下アイドル界隈のドルオタであり、日頃は葬祭業に従事しています。1級葬祭ディレクターという資格もあるので葬儀屋さんとしての知識と経験をある程度もっています。
今回は以前の終活記事とは逆に、アイドルオタク向けにターゲットを絞り「ニッチかつディープ」な内容にしたいと思います。よろしくお願いします
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まず、端的に聞きます。
「今あなたが死んだら…自分の推しメンに葬式に来てほしいですか?そうでなくとも、自分の死を推しメンに伝えたいですか?」
これは単純にYESとNOで割り切れないと思います。多様な意見があって然るべきです。突き詰められるようなこの問いには「アイドルオタクとしてどのような心持ちで推しメンに向き合っていたのか」「自分の人生における推しメンとは何か」が問われているのです。
しかし自分の死について推しメンに連絡するにせよ・しないにせよ、自分以外の誰かを頼る必要があります。その人に大事なことを託せるだけの信頼関係が日頃から構築できているかという問いも生まれます。じゃあ一体どうしたら…となります。
ここで私が強調したいのは、終活とは限りある人生を豊かにするものであるということです。
終活という言葉はネガティブな響きを持ちます。しかし決してそうではありません。むしろ我々ドルオタこそ、ある意味において終活の本質を体感として理解していると考えます。
思考実験として推しメンの卒業やグループの解散が全くないと想定してみてください。ライブなんてやってもやらなくても同じなので非常に味気ないものになりますし、「めざせトップアイドル!」というような目標設定も意味がなくなります。応援する必然性もなくなります。
アイドルがアイドルとしていられる時間に限りがあり、オタクもオタクでいられる時間に限りがあります。リミットをポジティブな前提として捉えるなら、限られた時間やリソースのなかで最大限目標に近づくために、アイドルにはどんなパフォーマンスやファンサービスが求められるのか。オタクにはどんな応援の仕方が求められるのか。
終活の本質はここにあります。繰り返しになりますが、自分の人生を見つめ直して、そこから残りの時間を最大限よいものになるように努力することです。推し活はコミットすればするほど人生に重複する部分が大きくなるものですからドルオタの方には伝わるはずです。
ここでドルオタが臨むべき終活のステップをまとめてみました。
人生の卒業(= 死)を考える
現状(≒ 現場)を見つめ直す
見通しを立てて「もしも」に備える
終活のプロセスを踏まえて全力で推し活を楽しむ
次の記事から、上記プロセスについてそれぞれ掘り下げたいと思います。
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