①「一石二鳥」に相当する英語やスペイン語での表現はどんなもの?
どうも腑に落ちないことわざがあります。それは、一石二鳥。
結構、日常会話などで普通に使われているけど、かなり無理な状況ではないか?!
ひとつの石で、、、、鳥を二羽も?!
それは、一回投げた時に、二羽しとめるのか、ひとつの石を二回使いまわしているのか、どっちなのか。
どっちでもいいとはいえ、気になります。
そんな、石でしとめられることのできる鳥は、大きさからして小鳥は考えにくいので、ある程度大きいと想像するにしても、そこそこどんくさい種類の鳥でないといけない。
じゃないと、当たらないよね?うーん。。。
謎が深まる。
その再現性は、棚からぼたもちより低く評価されて然るべきなのに、むしろ一挙両得の類義語と位置付けられています。
一挙両得は、ひとつの行いで、ふたつのものを同時に得ることを指し、合理的でスマートな印象です。
でも、日常会話で人気を誇るのは、一石二鳥の方です。
なぜ。。。?
一石二鳥にあって、一挙両得にないのは、ビジュアルに訴える強烈な表現力かもしれません。
スマートなものより、熱量のあるバカっぽいものに親しみを覚えるのが、人間の性ともいえます。(少年ジャンプの人気主人公の定番で実証済み)
一石二鳥ということわざは、各地で簡単に再現できるような普遍的な事柄とは思えないのに、似た表現が英語にもスペイン語にもあります。これは、奇妙です。語源は一つと考えるほうが、自然です。
Wikipediaにはこう書いてあります。
鳥が2羽集っていたところで、1羽の鳥を狙って石を投げたら、鳥が2羽とも落ちてきたという、17世紀のイギリスのことわざ「kill two birds with one stone.」(一つの石で二羽の鳥を殺す)の訳語である。 四字熟語として世間一般に広く定着しているが、イギリス発祥なので漢籍の言葉ではない。
イギリス発祥。。。?
”kill two birds with one stone, origin” でググると、
It is to be believed that the phrase was originated from the story of Daedalus and Icarus from Greek Mythology. Daedalus killed two birds with one stone in order to get the feathers of the birds and make the wings. The father and son who escaped from the Labyrinth on Crete by making wings and flying out.
ギリシャ神話のひとつである、『ダイダロスとイカロス』に語源のヒントがあるらしいです。イカロスといえば、学校で歌ったのを思い出します。
♪むーかーし、ギリシャーのイカロースは~、ろうでつくった、とりのはねー♪(勇気ひとつを友にして)
そんなに、切羽詰まった状況でたくさんの鳥の羽が必要なら、一石で何羽しとめていてもおかしくない気もします。
さらに、同じ疑問を抱く人は英語圏にもいるようで、ググったときに、こんな文章も目に入りました(いわゆる知恵袋系サイト)。
Has anyone ever actually killed two birds with one stone? That would be incredible.(誰か、実際にひとつの石で二羽の鳥を殺したことある?ちょっと信じがたい。)
でも、いまいち納得がいかないのは、わりと普及している、そのことわざのスペイン語版。
Matar dos pájaros de un tiro(一発で二羽の鳥を殺す)
おや?いつの間にか、石ではなくなっている!
技術の進歩?!
このスペイン語のことわざの語源がどこなのかは、はっきりしないのだけど、同じイギリス発祥の文献がスタートだとすると、どこかの時点で、「は?石?!ありえん。銃でしょ、銃!」とpiedra(石)から tiro (射撃)に変わったと想像できます。ある意味、合理的な近代化です。
実際、あまりメジャーではないようだけれど、スペイン語で、Matar dos pajaros con una piedra(一石で二鳥を殺す)という言い方もあります。
スペイン語の銃バージョンが日本に輸入されていたら、一石二鳥というよりも
一発二鳥!
個人的には、まだ銃で二羽を一度にしとめるほうが、可能性があると思えます。石は、きびしい。。。(百歩譲って古代ギリシャ人にできたとしても!)
でも、その圧倒的なインパクトゆえに、一石二鳥の表現は今後もなくならないでしょう。
具体的な使用例を参考までに載せておきます。
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We want to shop for food and clothes. Since the supermarket has both, we can kill two birds with one stone by shopping there.
Queremos comprar comida y ropa. Como el supermercado tiene ambas cosas, podemos matar dos pájaros de un tiro comprando allí.
食料品と衣料品の買い物をしたい。スーパーには両方あるから、そこで買い物をすれば一石二鳥。
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今回のひとつ分かったことは、「人は、スマートな印象より、バカっぽくてもインパクトがあるものを選ぶ」ということです。(一挙両得<一石二鳥)
トリリンガル的思考でのことわざ考察でした。
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