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サトウキビ Ni13

農林13号 (母本:F175 父本:RF79-247 )

生い立ち

 1889年沖縄で産まれ,1989年に沖縄で播種された.1991年に系統名KY87-110と命名された.1999年に品種登録されNi13と名付けられた.主に沖縄本島北部,宮古島などの夏植えを好んでいた地域で栽培された.茎重型だが茎数は多くなる.台風・病気に弱いため徐々に淘汰されていった.夏植え向けなのに発芽が遅いという欠点でがあるものの,遅いのは発芽だけで,初期生育は良い.萌芽不良により株出しには向かないとされていた.湿地で良く育つ傾向にあったらしく,西表島の水田跡で長く栽培されたケースもある.

時代背景

 多収性,高糖性ということを念頭に育種されてきて既に様々な品種が出ている.特に株出多収性を持つ品種はそれを植えると数年間は植え変わらないため緩やかに増えた.夏植えを収穫した後,緑肥,野菜類,たばこなどを栽培しこれらを収穫した後で再び夏植えにする,つまり農家のニーズとして毎回夏植えをする農家がいた.農家のニーズとして糖度よりも重量という考えもあり重量取引時代の品種に傾倒する農家もいた.このような農家に対し夏植え専用の品種はないかという視点で活発に育種が行われたのである.

草型と特徴

 未展開葉は直立しており先端ではなく中程から横向きに垂れる.展開葉は直立するがやはり中程から弧を描きながら横に垂れ,先端は下向きになる.脱葉性が良く,中太の茎にしては,葉身は細めである.分げつが少ないわけではないが発芽・萌芽が悪いので株出し茎数が減ってしまい,株出収量は低下する傾向にある.横へ倒れる葉が増えてくるのは最上位展開葉のより少し下の葉であるが地際は脱葉してしまうので少ない.



以下,参考にならない勝手な考察
 Ni13は下葉が少ないので群落の上部で光を受け止めやすい形をしている.発芽が遅くても生長が早い特徴はLAIの増加も早いという事である.夏植にとってこれは重要で相互遮蔽が起きないのはもっと重要な要素である.多収性という一点において注目されたのも分かるような形質を持っている品種である.
 葉の形態以外にこの品種では茎長の長さが夏植え多収性としての特徴として重視された.倒伏しにくく茎が少なく脱葉性が良い特徴は機械刈りに適していると,当時から判断されていた.だがそれだけではやはりだめだったようで株出し低単収,ということで広く普及することはなった.株出し多収性となる要因は茎数である場合が多い.これを密植で補えばLAIが安定するので安定生産になるので
 しかしその場合,隣り合う茎が近すぎると本来の太さにならないこともある.さらには「芽の数に対する苗の重さ」が重くなる.したがって茎重型品種は「何本必要か?」をきちんと考えて,ビレットプランターの調整・開発を行うべきではないだろうか

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