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サトウキビ NiN24

農林24号 (母本:F167 父本:CP57-614)

生い立ち

 1990年に南アフリカで生まれ,1991年、種子島に播種された.1994年に系統名KN91-49と命名.鹿児島県で2007年に品種名Ni24と命名された.品種登録は2009年であった.鹿児島県全域および沖縄の一部に普及された.茎重型だが株の萌芽性が良い「秋植え秋収穫」品種である.既存の品種よりも可製糖量が高いことが評価され、鹿児島県の奨励品種となった.NiNの「Ni」は日本,これに続く「N」は南アフリカにあるナタール州の頭文字である.

時代背景

 播種されて品種になるまで19年という歳月があった。その間にサトウキビと農家が減り始め、沖縄本島にあった製糖工場も数が徐々に減っていった。そのため1月から開始していた操業も2005年には12月に前倒しされた。サトウキビ産業を取り巻く環境が少しずつ変化していた。世界的に見ても温室効果ガス削減にサトウキビが注目された為、日本でも国策で植物由来のバイオマスとしてサトウキビが使われた。それは育種でも同じで飼料用品種や資源用品種などの作出が盛んにおこなわれ、サトウキビ=砂糖という価値観に変化が起きていた時代である。製糖用品種にも影響があり植付け時期や収穫時期などについて、既成概念にとらわれず、価値観を変えていく試みがあった。価値が変われば評価の仕方が変わるということで、過去に交配された系統の中から有毛系統が選ばれる運びとなった。その中で早期高糖性品種を約一年かけて栽培すれば収穫できるであろうという考えに基づき作出されたのが「秋植え秋収穫」品種である.

草型と特徴

 未展開葉は直立し,先端は上を向いている.その上,未展開葉が長いので草高が高くなる傾向にある.最上位展開葉も直立し,先端は弧を描きながら横に倒れ先端は下を向く.分げつはやや斜めに出てきて葉は直立する.茎に対して直立するので分げつは畝の上の方に葉を展開する傾向にある.葉が多い位置は最上位展開葉周辺となる.



以下,参考にならない勝手な考察
 1997年の京都会議において日本は京都議定書に批准した.バイオマスニッポン総合戦略が閣議決定されサトウキビもバイオエタノールの原料として注目された.バイオエタノールは燃料として毎日消費される.だとしたらその原料が入手できる期間も長い方がいい.工場の稼働時期を10月スタートにしたかったのはそんな理由も見え隠れしている.しかしながら現在11月に収穫開始を積極的に行っている製糖工場はない(11月開始したケースはある).
 受光態勢はとても良い.なのに高い位置に葉が多いので地際は暗くなる傾向にある.分げつは横に伸びるので畝の上でも同じ傾向になる.茎数は多い方がLAIが確保しやすいのである程度密植したほうが良いだろう.だが,秋植えはいつ茎数を増やす方がいいのだろうか?夏植えは,密植しすぎると相互遮蔽が起きるので生産量が落ちる時期が出来てしまう.春植えは生育期間が短いのでよほど広葉型の品種でなければ密植に頼る方が良い.秋植えはその中間なのだ.NiN24ha受光態勢が良いのに葉(というか茎)は横に伸びるという特徴があるため茎数さえ揃えば冬季のLAIは確保できているのではないだろうか?

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