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結婚するとか言わないで

 久しぶりに電話をする。声を聞くのは2年ぶりくらい。お互い忙しかったし、なかなか会えない状況だったし。こちらから会いたいと連絡する理由もなかったし。

 一つ年上の彼女は相変わらず優しくて、近況報告をすると褒めに徹してくれた。「彼女できんの?」と聞かれ「いないよ」と答えると「やっぱあんたには、お姉さんみたいな人がいいよねぇ」と少し意地悪な答えをするところも変わっていなかった。

 一方、彼女はかれこれ3年くらい付き合っている彼氏さんがいて、今でも仲良くやっているそうだ。「そろそろ結婚とかも考えてたんだけどねぇ、私が転職するかもで、まだちょっとどうなるかわかんないなぁ」とうれしそうな彼女の言葉に、チクチクと胸が痛んだことに自分でも驚く。仕事も恋愛も無理せず頑張り?と言うと、ありがとう、とだけ彼女は答えた。

 近頃、周りがどんどん結婚していく。子供が生まれている友達もいる。みんなドンドンそっちへ行く。マイヘアの歌詞を借りれば「みんなすぐ結婚するんだ ロックスターより遠く感じてる」状態だ。自分は未だモラトリアムの末端だし、正直どうでもいいと思ってたな。

 冷めきった珈琲と、3時間半。


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