2023/12/02(土)のゾンビ論文 ゾンビの世界でリーダーシップを磨く

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender -narrative -Netflix -network

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender

  3. 「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認用)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

  • 「-narrative」:ゾンビ映画・小説などを評論する論文を排除する

  • 「-Netflix」:ネトフリ限定ゾンビドラマなどを引用する論文を排除する

  • 「-network」:とにかく情報科学の論文を排除したい

検索条件2は、最後の三つの検索キーワードがないため、これらが排除した論文がねらい通りかどうか確かめる目的がある。また、検索条件3では「-philosophical」と「-gender」という一般性の高い検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender -narrative -Netflix -network」四件

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」六件(差分二件)

  3. 「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」六件(差分はゼロ件)

検索条件1は医学が二件、教育学、評論が一件ずつだった。


検索条件1「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender -narrative -Netflix -network」


ゾンビアポカリプスへようこそ: 大衆文化がチームの構築とリーダーシップの理解をどのように促進できるか

一件目。

原題:Welcome to the Zombie Apocalypse: How popular culture can facilitate team building and understanding leadership
掲載:Communication Teacher
著者:Alice Srugies と Vedran Maslic、 Benjamin Grumley
ジャンル:教育学

論文の目的を端的に表した文章を引用する。

The Zombie Apocalypse (ZA) learning activity is part of a second-year course in an international master’s program. The course introduces students to key concepts in strategic communication and leadership and encourages students to apply these in practice. The ZA aims to 1) prepares students for undertaking a complex group assignment (develop a strategic communications concept) in a diverse group.
ゾンビ アポカリプス (ZA) 学習活動は、国際修士課程の 2 年生コースの一部です。 このコースでは、戦略的コミュニケーションとリーダーシップにおける主要な概念を学生に紹介し、学生がこれらを実際に適用することを奨励します。 ZA の目的は、1) 多様なグループで複雑なグループ課題に取り組むための準備を学生に与えること (戦略的なコミュニケーションの概念を開発すること) です。)

同論文より

大学でゾンビアポカリプスが到来した世界を舞台にした授業があるらしく、戦略的コミュニケーションとリーダーシップを教えるのだとか。ゾンビの跋扈する世界でどう生き延びるか、そしてどう他人を導いていくのかを身に着けるということだろう。

こう表現すると本物のゾンビを仮定しても矛盾ないように思えるが、本文を読むとあくまで授業の内容やその成果について記述しているので、私のねらいの論文ではない。

ジャンルは教育学。


CYT-338 NK Cell Engager 多重特異性抗体による NKp46 活性化受容体の関与は、抗 CD38 Mab 媒介による NK 細胞の殺戮を克服し、がん免疫療法の強化に貢献

二件目。

原題:CYT-338 NK Cell Engager Mutispecific Antibody Engagement of NKp46 Activation Receptor Overcomes Anti-CD38 Mab Mediated Fratricide of NK Cells and Accords Enhanced Cancer Immunotherapy
掲載:blood
著者:Visha Khairnarを筆頭著者として、17名
ジャンル:医学

ゾンビ試薬を扱った論文。使った試薬はZombie NIR。「-biolegend」では排除できなかった。試薬を使った場合は生産元の会社も書いておいてほしい。


幹細胞、T細胞、骨髄系遺伝子の異常な共発現を示す初期のサブクローンをMYD88変異ワルデンストレームマクログロブリン血症患者のフローサイトメトリーで検出できる

三件目。

原題:Early Subclones Showing Aberrant Co-Expression of Stem Cell, T Cell and Myeloid Genes Can be Detected By Flow Cytometry in MYD88 Mutated Waldenström's Macroglobulinemia Patients
掲載:blood
著者:Maria Luisa Guerreraを筆頭著者として、15名
ジャンル:医学

ゾンビ試薬を扱った論文。使った試薬はZombie Yellow。これも「-biolegend」では排除できなかった。試薬を使った場合は生産元の会社も書いてくれ!


『オレンジカラー労働: 刑務所における労働と不平等』マイケル・ギブソン=ライト著(書評)

四件目。

原題:"Orange-Collar Labor: Work and Inequality in Prison" by Michael Gibson-Light (review)
掲載:Social Forces
著者:Erin Hatton
ジャンル:評論(書評)

過去にも扱ったことがある。刑務所における労働に着目した本の書評である。

zombieの単語は"zombie work"(ゾンビ作業)という文字列で出てきており、「低賃金、高レベルの監視、速いペース」の仕事を指す。

過去に扱ったときは、Social Forcesという雑誌に掲載されていたのがヒットしたが、今回はProject Museに掲載されたタイミングで検索に引っ掛かったらしい。

ジャンルは評論。


検索条件2「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」

「-narrative」「-Netflix」「-network」が排除した論文がねらい通りだったか調べる。


TCP/IP サイドチャネルを介した NAT ボックスに関するインターネット全体への侵入調査

原題:An Internet-wide Penetration Study on NAT Boxes via TCP/IP Side Channel
掲載:Arxiv
著者:Xuan Feng と Shuo Chen、 Haining Wangの三名
ジャンル:情報科学

「-network」で排除。情報科学の論文であるため、ねらい通りである。

zombieの単語は"zombie host"(ゾンビホスト)という文字列で出てくる。悪党のハッカーが他人のPCをハックしてDDoS攻撃に使うのがゾンビPCだから、ホストサーバをハックして攻撃に使った場合がゾンビホストだろうか。


ほぼ非同期の分散暗号化技術

原題:Techniques for Almost-Asynchronous Distributed Cryptography
掲載:UNIVERSITY OF CALIFORNIA IRVINEに提出された博士論文(UC Irvine Electronic Theses and Dissertationsに収録)
著者:Benjamin Terner
ジャンル:情報科学

「-network」で排除。情報科学の論文であるため、ねらい通りである。

内容はよくわからないが暗号化技術がどうのこうのな論文らしい。zombie partiesがどうのこうの…。



検索条件3「zombie -firm -xylazine -biolegend」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPCは排除されるように設定してある。

また、『ほぼ非同期の分散暗号化技術はなぜか検索結果から漏れていた。

ジム・ジャームッシュ監督『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』のメランコリックなモダニズム

原題:Melancholic Modernism in Jim Jarmusch's Only Lovers Left Alive
掲載:The Polish Journal of Aesthetics
著者:Michael Forest
ジャンル:評論(文化批評)

「-philosophical」で排除。

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』という映画の評論。モダニズム芸術やテオドール・アドルノ、資本主義と消費主義の二項対立などを観点に批評を行うらしい。

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』は日本でも観れるらしいし、観ておこうかな。主演がトム・ヒドルストンにティルダ・ウィンストンだし、評価も高いし…。



まとめ

検索条件1は医学が二件、教育学、評論が一件ずつだった。

ゾンビアポカリプスにおけるリーダーシップ教育は面白いと思った。ゾンビを題材に教育を行う例はプログラミングに数学に社会学と枚挙に暇がない…ほどではないが、とにかく少なくない例が存在する。とはいえ、高校か大学における教育がほとんどで、小中でゾンビを題材として教育は見たことがない。ゾンビ論文で小中学生が出てくる場合は、児童の発達や心理状態を扱う小児科学が主題で、むしろ子供たちの方からゾンビがどうのこうのと主張してくる。幼稚園児もでもあった気がする。

日本でもゾンビを題材にした教育はないのだろうか。日本ではゾンビ好きは一部の人間に限られるから中々難しいかもしれない。しかし、ゾンビにあたる何かがあるはずだ、きっと…。

今回はねらいの論文がなかった。


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