2023/11/16(木)のゾンビ論文 ゾンビは視床下部が異常に活性化しているッ!

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender

  2. 「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

また、検索条件2では「-philosophical」と「-gender」という一般性の高い検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」二件

  2. 「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」三件(差分は一件)

検索条件1は評論が二件、神経科学、情報科学が一件ずつだった。また、ねらいの論文があった。


検索条件1「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」

ゾンビの神経科学: ゾンビの心の正体を暴く

一件目。

原題:The Neuroscience of Zombies: Unmasking the Zombie Mind
掲載:Knowing Neurons
著者:Caitlin Goodpaster
ジャンル:神経科学

ゾンビの特徴と神経機能障害の症状が似ている、ということでゾンビが凶暴性・攻撃性、とりわけ他人の脳みそを貪欲に求める様を神経科学の観点から分析する。これは本物のゾンビがいると仮定しても矛盾しない内容であるため、私が探し求めている記事であると言える

ただ、記事の最後に次のように書いてあり、『ゾンビでわかる神経科学』(原題は"Do Zombies Dream of Undead Sheep?":ゾンビは不死羊の夢を見るか?)に書いてあることを薄めてわかりやすくしただけに過ぎない。

To delve deeper into the neurobiology underlying the undead, check out Timothy Verstynen and Bradley Boytek’s book Do Zombies Dream of Undead Sheep?
(アンデッドの根底にある神経生物学を深く掘り下げるには、ティモシー・ヴァースタイネンとブラッドリー・ボイテックの著書『Do Zombies Dream of Undead Sheep?』をご確認ください。)

同記事より

大まかに言えば、脳の一部に「視床下部」と呼ばれる部位があり、同記事によれば「恒常性の維持、空腹感や気分の調整など、多くの重要な役割」があり、『ゾンビでわかる神経科学』によれば「飢え、眠り、緊張などを統制している」(P.37)のだそうだ。この部位が異常に活性化しているがゆえに、ゾンビは攻撃的になり、食欲が増し、生者の脳みそを求めるようになるのだ。

なぜ「脳みそ」にこだわるのかは書かれていないが、これはゾンビ映画から理由を引くべきで、たとえば『バタリアン』ではゾンビは脳みそを食べると耐え難い痛みを緩和することができると説明され、『ウォームボディーズ』では脳みそを食べることでその人間の記憶を見ることができる。『ウォームボディーズ』では人間の記憶を見たゾンビ"R"が、その記憶ゆえにゾンビから愛を知り人間に戻ることができたため、根本としては『バタリアン』と同じで、耐え難い痛みから解放されるためと考えてよいはずだ。

という解説記事である。短いので、興味があればGoogle翻訳でページまるごと和訳して読んでみることをおすすめする。

ジャンルは神経科学。



ネットフリックスは韓流に乗っかっているのか、それとも逆か?| 王国の文化: ゾンビの成長とNetflix Korea

二件目。

原題:Is Netflix Riding the Korean Wave or Vice Versa?| Kingdom Cultures: Zombie Growth and Netflix Korea
掲載:International Journal of Communication
著者:Joseph Jonghyun Jeon
ジャンル:評論(文化批評)

Netflixで配信されている韓国ドラマ『キングダム』を、Netflixの隆盛に絡めて批評する。『キングダム』は韓国の李氏王朝時代にゾンビが発生するというあらすじのドラマで、何となく『高慢と偏見とゾンビ』と似たような非評価値がある作品であるように思う。

ジャンルは評論。『キングダム』とNetflixをつなぐ概念として帝国主義を採用しているので、詳しくは文化批評か。


Lumos: 統合データ、モジュラー設計、オープンソース LLM を使用した学習エージェント

三件目。

原題:Lumos: Learning Agents with Unified Data, Modular Design, and Open-Source LLMs
掲載:arXiv
著者:Da Yinを筆頭著者として、七名
ジャンル:情報科学

We introduce LUMOS, a novel framework for training language agents that employs a unified data format and a modular architecture based on open-source large language models (LLMs).
(統一データ形式とオープンソースの大規模言語モデル (LLM) に基づくモジュラー アーキテクチャを採用した、言語エージェントをトレーニングするための新しいフレームワークである LUMOS を紹介します。)

同論文より

らしい。何をやっていて、その目的は何で、要するに何なのか、私にはわからない。zombieの単語も"What color skin are zombies typically depicted with?"(ゾンビは通常何色の肌で描かれますか?)というよくわからないフレーズで出てくる。何から何までわからない。

ジャンルは情報科学。


AMC のウォーキング・デッド シーズン 2 における道徳的相対主義と自己の恐怖

四件目。

原題:Moral Relativism and the Horror of Self in Season 2 of AMC's The Walking Dead
掲載:Horror and Philosophy: Essays on Their Intersection in Film, Television and Literature
著者:Scott Pearce
ジャンル:評論

『ウォーキング・デッド』シリーズのレビューに沿って、「道徳的相対主義」なるものを語る。映画を題材にしている時点で、私が探しているゾンビ論文ではない。

ちなみに、Googleブックスで一部だけ中身を閲覧できる。ただ、内容を推察できる量ではない。

ジャンルは評論。評論のうち、何かはわからない。



検索条件4「zombie -firm -xylazine -biolegend」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬は排除されるように設定してある。

高等教育における拒絶と非植民地化の理論に取り組む

原題:Working with Theories of Refusal and Decolonization in Higher Education
掲載:このタイトルの本がある
著者:Petra MikulanとMichalinos Zembylas
ジャンル:

「-gender」および「-philosophical」で排除。PDFで公開されている部分を見る限り、zombieの単語は参考文献の中でしか出てこない。とはいえ、一般的にゾンビはアフリカ奴隷がハイチに持ち込んだものと認識されているため、「非植民地化の理論」との相性は良い。



まとめ

検索条件1は評論が二件、神経科学、情報科学が一件ずつだった。また、ねらいの論文があった。

神経科学の一件は学びになった、と言いたいところだが、『ゾンビでわかる神経科学』は持っている。脳みその模型がないと内容を飲み込みづらいため精読したとはいいがたいが。

今回はねらいの論文があった。あったが、この記事内で行った解説で十分だと考えているため、改めてのレビューは行わない。


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