2023/09/28(木)のゾンビ論文 インドネシアのゾンビの見方
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical」(取りこぼし確認)
「zombie -firm -consciousness」(取りこぼし確認その2)
検索条件は次の意図をもって設定してある。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」/「-consciousness」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS」/「-botnet」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する
「-viability」/「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
また、検索条件4と5では、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。
今回、それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnett -xylazine -biolegend -gender」ニ件
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」ニ件
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」ニ件
「zombie -firm -philosophical」ニ件(差分ゼロ件)
「zombie -firm -consciousness」ニ件(条件4との差分ゼロ件)
検索条件1-3は水産学と評論が一件ずつだった。
検索条件1「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
Exopalaemon carinicauda の「ゾンビ病」に関する予備研究
一件目。
原題:脊尾白虾“僵尸病”的初探
掲載:水产学报
著者:赵然ら
ジャンル:水産学
中国のジャーナルに掲載された論文。掲載ページに飛ぼうとするとNortonが止めてくるため、リンクは貼らない。ページに飛べないので著者も全員はわからない。興味があれば、下記の英語タイトルで検索すれば出てくるはずだ。
原題:A preliminary study on the" zombie disease" of Exopalaemon carinicauda
掲載:Journal of fisheries of China
Exopalaemon carinicauda (Ridgetail White Prawn, テナガエビ科の一種)はゾンビ病という病にかかる。これまでも二回、ゾンビ論文として紹介しており、そのすべてが中国からの報告だった。
「2023/03/30(木)のゾンビ論文」より、Metschnikowia bicuspidate 感染に応答した Exopalaemon carinicauda の肝膵臓のプロテオーム解析
「2023/05/02(火)のゾンビ論文」より、病気にかかったウナギシロエビ Exopalaemon carinicauda から分離された病原性 Metschnikowia bicuspidata MQ2101 株の完全なゲノム解析
上記のうち一件で「ウナギシロエビ」と訳していたが、これはGoogle翻訳がやったことで、そういうエビはいない。中国語では「脊尾白虾」、英語では"Ridge-tail White Prawn"と呼ばれるため、直訳して「オネシロエビ」とでも呼ぶことにしよう。
掲載ページに飛べなければアブストラクトも読めない。したがって内容は不明だが、予備研究と呼ぶからには深く突っ込んだ論文ではなく、ゾンビ病をよく知るための論文だと思われる。
ジャンルは水産学。
インドネシアの 3 本のホラー映画における支配的な神話と対抗神話の衝突の記号論的分析
ニ件目。
原題:The Semiotic Analysis of the Collisions Between Dominant Myths and Counter-Myths in Three Indonesian Horror Movies
掲載:Jurnal Komunikasi: Malaysian Journal of Communication
著者:Muhamad GibraltarとHamedi Mohd Adnan、Mohamad Saleeh Rahamadの三名
ジャンル:評論(宗教的批評)
三本のホラー映画を宗教的観点、インドネシアなのでイスラム教の観点、から読み解く論文。紹介されているのは次の三本。リンク先はIMDbだ。
レビューから想像するに、後者二者がゾンビの出てくる映画だろう。一番上のものしか日本語化していないのは残念だ…。
ただ、評論系の論文には珍しく、私は論文のアブストラクトを全く読み取れなかった。インドネシア固有の単語や文化、そしてイスラム教の思想がわからないからだ。映画も観ていないし。
ただどうも、二つの神話が存在するというのはわかった。その辺にしておこう。ジャンルは評論。イスラム教的観点からの評論だから、細かく言えば宗教的批評か。
検索条件1-3の差分(差分なし)
「DDoS/botnet」と「viability/biolegend」で検索結果に差異が生じるか調べる。
今回は差分がなかった。
検索条件4と5「zombie -firm -philosophical / consciousness」(差分なし)
上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業と哲学的ゾンビは意図的に取りこぼすこととする。
また、哲学的ゾンビのみを排除するには「-philosphical」(哲学的な)と「-cousciousness」(意識)のどちらが良いかを探るために、検索条件の4と5を比較する。
前者は哲学的ゾンビが英語でphilosophical zombieとつづることから、後者は哲学的ゾンビが人間の意識の有無に注目した概念であることから、それぞれ排除可能と想定している。
今回は、検索条件4も5も、検索条件1-3と差分がなかった。
まとめ
検索条件1-3は水産学と評論が一件ずつだった。
ゾンビ病はエビ以外で出てこないようだが、たとえば「-prawn」を検索キーワードに加えれば少なくともエビのゾンビ病は排除できるだろう。本物のゾンビの論文にエビが出てくるはずもなし。
また、キリスト教の観点からゾンビ映画を扱う論文は多々ある(そもそもアメリカ人の精神の根っこにキリスト教があり、ゆえにキリスト教的思想をバックボーンにした映画が多いためキリスト教の観点が多くなるが)が、イスラム教の観点から読み解く論文は初めてだ。異なる文化から同じジャンルの映画を批評するのは非常に興味がある。ゾンビでつながる世界を感じることができるからだ。
読んで己の血肉にしたいのはやまやまだが、そもそもイスラム教がわからない。ある程度の勉強では太刀打ちできないのはキリスト教の観点から読み解く論文で経験済だ。どうしたらきちんと読むことができるだろうか。
今回はねらいの論文がなかった。
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