2023/05/11(木)のゾンビ論文 ゾンビドラッグ…その名はキシラジン

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDos」(経済学・哲学・情報科学のゾンビ論文避け)

  2. 「zombie」(取りこぼしがないか確認する目的)

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDos -company」(-companyの効果を図るため)

このうち、「zombie -firm -philosophical -DDos」の内容を主に紹介する。ただし、この検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないか、「zombie」の内容も確認する。また、4月まで経済学のゾンビ論文の排除を目的として「-company」を設定していたが、その効果があるのか改めて測定する。

それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDos」二件

  2. 「zombie」三件(差分一件)

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDos -company」二件(排除なし)

「zombie -firm -philosophical -DDos」の二件は化学、映画感想文が一件ずつだった。


検索キーワード「zombie -firm -philosophical -DDos」


キシラジン:ゾンビドラッグは薬物乱用の危険性への警鐘を鳴らす

一件目。

原題:XYLAZINE: ZOMBIE DRUG PROVIDES A WAKEUP CALL FOR THE DANGERS OF DRUG ABUSE
掲載:Journal For International Medical Graduates
著者:Prajwala NagarajappaとManeeth Mylavarapu、Sree Mahathi Chavaliの三名
ジャンル:化学

5月6日の記事でも扱った化学物質、キシラジン。ゾンビドラッグとして、その分野では強く認知されているのだろうか。

前回も薬物乱用という単語がタイトルに入っていた。どうやら、キシラジン、ゾンビドラッグ、薬物乱用はセットで語られるものらしい。今回の論文には、前回と比べて詳しくキシラジンの効果が書かれているので、長めに引用して紹介しよう。

… The non-opioid tranquilizer is known to cause skin ulcerations, rotting, and even limb amputations, earning itself the name 'Zombie Drug.' … Over the years, Xylazine has been used as an adulterant with other drugs like fentanyl, cocaine, and heroin to lengthen and intensify the euphoric effects caused by these drugs [1]. Heroin has now been replaced by fentanyl & Xylazine combinations as the drug of choice for abuse by addicts in the United States.
(…この非オピオイド精神安定剤は、皮膚潰瘍、腐敗、さらには手足の切断を引き起こすことが知られており、「ゾンビ薬」と呼ばれています。…長年にわたり、キシラジンは、フェンタニル、コカイン、ヘロインなどの他の薬物の混ぜ物として、これらの薬物によって引き起こされる多幸感効果を延長および強化するために使用されてきました[1]。米国では現在、ヘロインはフェンタニルとキシラジンの組み合わせに取って代わられ、中毒者による乱用に選ばれる薬物となっている。)

XYLAZINE: ZOMBIE DRUG PROVIDES A WAKEUP CALL FOR THE DANGERS OF DRUG ABUSE
本文より

「皮膚潰瘍、腐敗、さらには手足の切断」に始まり、「フェンタニル、コカイン、ヘロインなどの他の薬物の混ぜ物として、…多幸感効果を延長および強化する」化学物質。しかもこの物質は家畜用麻酔として使われているため、比較的手に入りやすい。ということで、「中毒者による乱用に選ばれる」ようになってしまった、と。

この化学物質がゾンビドラッグと呼ばれるのは、摂取した人間がゾンビのような挙動を示すからである。化学物質を摂取してゾンビになる映画といえば、『バタリアン』や『ゾンビ・ホスピタル』、『ゾンビーバー』などが挙げられるが、ほかにはあまり記憶がなく、非常に少数である。

(『ZVS ゾンビvsスナイパー』や『最強ゾンビハンター』もそうだったかもしれない。ある時期の低予算ゾンビ映画で数えれば、化学物質でゾンビになるケースがそれなりに見つかる気がしてきた)

論文の内容に話を戻すと、zombieの単語が出てくるのは上記の引用部分で最後、あとはキシラジンの脅威?について述べるのみ。

ジャンルは前回と同様に、化学。


コロナウイルスの時代にデヴィッド・クローネンバーグを再訪:同じ恐怖、同じ不安

二件目。

原題:Revisiting David Cronenberg in the Age of COVID-19: The Same Fears, the Same Anxieties
掲載:Quarterly Review of Film and Video
著者:Joshua W. Katz
ジャンル:映画感想文

中身を見ることができず、Googleアラートのメールにもzombieの単語が含まれる文章が表示されていない。ゆえに、なぜこの論文がゾンビ論文としてヒットしたのかわからない。

David Cronenbergは映画監督。ホラーSFの巨匠。有名どころは『スキャナーズ』に『ザ・フライ』。困ったことに私はどちらも観ていない。また、彼のWikipediaで映画作品をざっと確認したのだが、ゾンビ映画は制作していなさそうだ。

しかしzombieの単語を使わなければここには引っかからないはずだ。謎は深まるばかり。表紙しか読めないので、内容も不明。掲載誌名より、とりあえず映画感想文にしておこう。


検索キーワード「zombie」

このキーワードでは「zombie」ゾンビ論文がアラートに入ってくる。誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。

9th Vintage of the CompNet Datasetのユーザー ガイド

原題:User Guide for the 9th Vintage of the CompNet Dataset
掲載:CompNet
著者:ー
ジャンル:経済学

"zombie firm"の文字列があるため、こちらの検索条件に引っかかった。9th Vintage of the CompNet Datasetというのは研究者用のデータベース。経済学に限定したものかは不明だが。

Twitterアカウントもある。


検索条件「zombie -firm -philosophical -DDos -company」

ゾンビ企業には"zombie company"という表記もあることから、そういったゾンビ論文を排除するために設定した検索条件。

この検索条件では「zombie -firm -philosophical -DDos」にヒットした論文のうち、「company」の単語を含むゾンビ論文が排除される。その排除される論文が経済学の論文であれば、目的を果たしていることになる。

排除はなかった。二件のゾンビ論文が化学と映画感想文一件ずつであったことから、妥当な結果と言える。


まとめ

「zombie -firm -philosophical -DDos」の二件は化学と映画感想文が一件ずつだった。

キシラジンについての知識が増えた。今回は、ただそれだけであった。

今日はねらいのゾンビ論文なし。


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