2024/5月第四週のゾンビ論文 「わかりみ」はゾンビで幽霊だ

本物のゾンビについて書かれた論文を探すべく、Googleスカラーのアラート機能を使い、ゾンビについて書かれた論文を収集している。

アラートの検索条件は次の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI

  2. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」(取りこぼし確認用)

  3. 「zombie narrative」(さらに取りこぼし確認用)

「zombie」をキーワードにゾンビ論文を探しているのだが、比喩としてゾンビを使う論文も多いため、「-◯◯」で比喩としてのゾンビを扱うが論文を排除している。排除したいゾンビや論文は、以下の通り。

検索条件1には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを条件2で確かめる。ただし、「-narrative」で排除される論文の中にはねらいの論文が含まれている可能性もあるため、条件3も設定してある。

今回、5/20~5/26の期間で収集し、以下の通りの論文を得た。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」三件

  2. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」七件(条件1との重複を含めれば十件)

  3. 「zombie narrative」53件

検索条件1は医学、エッセイ、精神医学が一件ずつだった。


検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」

ゾンビ: 形成と機能のメカニズム 彼らの頭脳

一件目。

アラート日付:5月20日
原題:ZOMBIES: MECHANISMS OF FORMATION AND FUNCTIONING OF THEIR BRAINS
掲載:?
著者:Sorokotyaga A.
ジャンル:医学?

ゾンビの脳の機能に関する、A4サイズ1枚程度の論考。ゾンビといってもいわゆる走るゾンビのような凶暴なゾンビではなく、ヴードゥー教の魔術師が使役する操り人形のこと。ゾンビについて、以下のように述べている。

One hypothesis is the use of the tetrodotoxin poison, which can cause a state of paralysis and reduced consciousness, turning a person into a controlled creature. Other studies point to the possibility of using other poisons or microorganisms that affect brain activity.
(1 つの仮説として、麻痺状態や意識低下を引き起こし、人を制御された生き物に変えることができるテトロド​​トキシン毒の使用が考えられます。他の研究では、脳の活動に影響を与える他の毒物や微生物を使用する可能性を指摘しています。)



The zombie brain may lack higher cognitive functions such as language, thinking and memory, making them capable of only basic instinctive reactions. Some researchers believe that the zombie brain can be inverted into a state of hypnosis or control through manipulation of the influence on neural networks.
(ゾンビの脳は、言語、思考、記憶などの高次認知機能を欠いているため、基本的な本能的な反応しかできない可能性があります。一部の研究者は、神経ネットワークへの影響を操作することで、ゾンビ脳を催眠状態または制御状態に反転できると考えています。)

同論文より

他にもいくつか書いてあるが、残念ながら特に珍しいことは書かれていない。おそらくだが、大学一年生くらいが医学知識を集めて書いた論考なのだろう。訓練を積んだ学者が書いたものと考えるには、どこかで見た話しばかりだし、深掘りもない。

ジャンルは医学としておく。


インディーランドからのレポート: 今日の自費出版

二件目。

アラート日付:5月22日
原題:Report From Indieland: Self-Published Lit Today
掲載:Kirkus Reviews
著者:TOM BEER
ジャンル:エッセイ

自費出版グループが学術雑誌を出版しており、今回はその報告。2014年にゾンビ小説『Bulletin of ZOMBIE Research: Volume 1』を出版したらしい。

ジャンルはエッセイ。


ゾンビ、吸血鬼、狼男:アンデッドに対する青少年の発達システムと生者に対するアンビバレントな依存、および技術的影響

三件目。

アラート日付:5月26日
原題:Zombies, vampires, werewolves: an adolescent's developmental system for the undead and their ambivalent dependence on the living, and technical implications
掲載:Psychoanal Review
著者:Nathan Moses Szajnberg
ジャンル:精神医学

不死生物に関する精神分析は事例が多く、過去には1915年にカール・アブラハムがジークムント・フロイトにあてた手紙にも書かれ、Psychoanalytic Electronic Publishingという精神分析系のジャーナルにも論文が439件もあるらしい。そして今回は不死生物と青年をテーマとした精神分析をするという。

This paper presents a young adolescent's extensive play and fantasies about the undead, and his sophisticated intrapsychic model for the undead, developed prior to treatment, that kept him in psychical equilibrium, yet also kept him from feeling alive. This model has developmental implications for handling three types of transferences. Also, we may shed light on both contemporary preoccupation with the undead in contemporary American popular culture, and its endurance over time in Western culture.
(この論文は、ある青年のアンデッドに関する大規模な遊びと空想、そして治療前に開発された、彼を精神的な平衡状態に保ちながらも生きている実感を失わせる、アンデッドに関する彼の洗練された精神内モデルを紹介する。このモデルは、3 種類の転移の処理に発達的な意味を持ちます。また、現代アメリカの大衆文化におけるアンデッドへの現代的な関心と、西洋文化における長年にわたるアンデッドの永続性の両方に光を当てることができるかもしれません。)

同論文より

いまいち文章の意味をつかめないが、不死生物を中心とした青年の妄想がどのように構築されたかを分析したと言えそうだ。それをその青年以外の文化の解釈へ広げるのははなはだ疑問だが。

ジャンルは精神医学。



検索条件2「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」

上記の条件でねらいのゾンビ論文を誤って排除していないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPC、哲学的ゾンビおよび評論系の論文は排除されるように設定してある。

ダイヤモンドを磨く

アラート日付:5月23日
原題:Polishing the Diamond
掲載:Publishing and Writing: Critical Thinking and Strategies for Business Scholars
著者:John Dumay
ジャンル:言語学?

「-AI」で排除。内容不明。Googleアラートのメールによれば、"Zombie Nouns"(ゾンビ名詞)という文字列が見られる。意味を理解したければHelen SwordのYoutubeを観ろ、とのこと。探したらTED動画が見つかった。

また、以下の記事ではゾンビ名詞に関して以下のように述べられている。面白い。私も他人の書いた書類を呼んでいると「名詞化して体言止めしていればコンパクトになると思っとるんかいな」とよく感じる。

What are nominalizations? Well, have you heard of a zombie noun? The phenomenon of turning a verb or clause into a noun or noun phrase is really called “nominalization.” International writing expert Helen Sword coined the term “zombie noun” because nominalizations suck the life out of sentences.
(名詞化とは? ゾンビ名詞って聞いたことありますか? 動詞や節を名詞や名詞句に変える現象は、実際には「名詞化」と呼ばれます。国際的な文章の専門家であるヘレン・ソードは、名詞化が文章から生命力を奪ってしまうことから「ゾンビ名詞」という用語を作り出したのです。)

BKA CONTENT
Lisa Garnier著
『ZOMBIE NOUNS: WHAT ARE NOMINALIZATIONS?』より


ネクロフィクションと文学的記憶の政治学

アラート日付:5月23日
原題:Necrofiction and the politics of literary memory
掲載:Modern & Contemporary France
著者:Sonja Stojanovic
ジャンル:評論

「-philosophical」および「-narrative」で排除。necro(屍)-fictionというタイトルからわかるように屍をテーマにしたフィクションの評論。政治学的観点から批評をするようだ。


「Sine Qua Non」として重要なメディア リテラシーを伝える上でのソーシャル メディアの役割を評価する。ポスト真実デジタル コンバージェンスにおけるインドにおける情報に基づく市民権の育成に対して

アラート日付:5月23日
原題:Evaluating The Role of Social Media In Imparting Critical Media Literacy As a “Sine Qua Non”; For Developing Informed Citizenship In India in the PostTruth Digital Convergence
掲載:Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease
著者:Shiv Satchit
ジャンル:社会学

「-philosophical」および「-drug」、「-gender」、「-narrative」、「-network」、「-AI」で排除。"digital zombie"というゾンビが定義されている。

A 'Digital Zombie' is a person using digital technology and/or social media to the point that it takes control of their life for the worse, to the point that they become fixated only on that faux reality.
(「デジタル ゾンビ」とは、デジタル テクノロジーやソーシャル メディアを使用し、生活のコントロールを悪化させ、その偽の現実だけに固執するようになる人のことです。)

同論文より

ゾンビ以外に適切な単語があるように思う。


世界は最後にもう一度終わる

アラート日付:5月23日
原題:The World Ends One Last Time
掲載:English Honors Theses
著者:Winter Qiu
ジャンル:小説

「-gender」で排除。ゾンビが出てくる小説らしい。


深層学習技術を用いた映画レビューの感情分析

アラート日付:5月24日
原題:Sentiment Analysis of Movie Review Using Deep Learning Techniques
掲載:International Journal of Intelligent Robotics and Applications
著者:Sweta Solanki と Krutika Trivedi
ジャンル:情報科学

「-network」で排除。タイトル通り映画レビューから感情の分析をする論文。ゾンビ映画のレビューにも対応している。


ゾンビテスト:SATは死から復活したのか?

アラート日付:5月25日
原題:Zombie Tests: Is the SAT Back From the Dead?
掲載:CounterPunch
著者:Sonali Kolhatkar
ジャンル:教育学

「-network」および「-gender」で排除。SATはアメリカの大学進学のための試験のこと。日本で言うところのセンター試験か。コロナ騒ぎで除外されたが、復活が危惧されるため、SATを過去に否定されたにもかかわらずしつこく復活するゾンビアイデアだと述べているのだろう。


はじめに: 人種差別は民主主義にも無関心

アラート日付:5月25日
原題:Introduction: racism doesn't care about democracy either
掲載:Communication and Critical/Cultural Studies
著者:Eric King Watts
ジャンル:政治学

「-network」で排除。大統領選挙にあたり、アメリカの政治を取り巻く状況を分析?している。その中で何がゾンビに喩えられているかはよくわからないが、大体はリベラル勢が保守派、特に宗教保守をゾンビに喩えることが多いからきっとそうだと思う。


多様なアイデンティティを受け入れる: 言語、民族、文化、性別

アラート日付:5月26日
原題:Embracing a Diverse Identity: Language, Ethnicity, Culture, and Gender
掲載:Children’s Literature Aligned with SDGs to Promote Global Competencies
著者:Angela K. Salmonを筆頭著者として、四名
ジャンル:教育学

「-gender」で排除。「グローバルな視点を持つ幼児教育において言語が果たす重要な役割」を考察する論文。そんな教育を達成するための児童書を選ぶことが重要なのだとか。ところが取り上げるグローバルな視点とはジェンダー平等と不平等の是正である。そしてアブストラクトには「偏見なく教える」「多様な視点」「思慮深いグローバル市民の教育」「子供たちのユニークなアイデンティティ」といった言葉が並ぶ。し、思想教育~!

Googleアラートのメールによれば、zombie veggie(ゾンビ野菜)なる概念に言及されている。



検索条件3「zombie narrative」

検索条件2の「-narrative」がねらいの論文まで排除していないか調べる。

以下、53件のゾンビ論文が見つかった。そのうち、「-narrative」で排除したかった評論・比較文化学・社会学など(太字で表示する)は計36件だった。つまり、残りの17件は意図せず排除してしまったゾンビ論文である。ただし、この中にねらいの論文はなかった。

まず、5/20の分。不気味の谷の論文だけ、ちょっと興味がある。

  1. How to Set up and Run a Bad Bugs Bookclub group: resources and recommendations(バッドバグズ読書会グループを立ち上げて運営する方法: リソースと推奨事項 教育学)

  2. “THE PICTURE OF DORIAN GRAY”: MIRRORING THE UNCANNY VALLEY EFFECT(「ドリアン・グレイの写真」: 不気味の谷効果を反映 哲学)

  3. Can Driverless Transport Be Sustainable? A Triple Bottom Line Problematisation(無人輸送は持続可能か?トリプルボトムラインの問題化 情報工学)

  4. Dispelling Educational Neuromyths: A Review of In-Service Teacher Professional Development Interventions(教育に関する神経神話を払拭する:現職教師の専門能力開発介入のレビュー 教育学)

  5. The Liquid Arctic and Digitalization(液体の北極とデジタル化 メディア学)

  6. Teachers’ Perceptions, Knowledge, and Interactions with Scripted Curriculum(教師の認識、知識、およびスクリプト化されたカリキュラムとの関わり 教育学)

  7. Negotiating Space: Stigma and the Strategic Management of Ethnic Identity among Second-generation Haitians in The Bahamas(交渉の場:バハマ諸島のハイチ人第二世代におけるスティグマと民族アイデンティティの戦略的管理 歴史学か比較人類学?)

  8. Compton in My Soul: A Life in Pursuit of Racial Equality(私の魂のコンプトン:人種平等を追求する人生 社会学)

  9. JUST BLOOD?(ただの血? 社会学)

  10. Advances in Digital Marketing in the Era of Artificial Intelligence: Case Studies and Data Analysis for Business Problem Solving(人工知能時代におけるデジタル マーケティングの進歩: ビジネス上の問題解決のためのケーススタディとデータ分析 情報工学)


次に、5/21の分。

  1. Gendered Practices: Gender Order(ジェンダー慣行: ジェンダー秩序 ジェンダー学)

  2. The Commercialisation of Massive Open Online Courses(大規模公開オンライン講座の商業化 教育学?)

  3. Tea, Automatons, and Time Machines(お茶、オートマトン、そしてタイムマシン 芸術学)


次に、5/22の分。

  1. Invasive Species: Immunity and Community in Contemporary Outbreak Narratives(侵入種:現代の感染症流行の物語における免疫とコミュニティ 社会学)

  2. Celestial Bodies(天体 ジャンル不明)

  3. Hell, He Was Even More Punk Than Me!(いや、彼は私よりもさらにパンクだったよ! 社会学)

  4. Raisin Fingers(指を上げる 芸術学)


5/23の分。この日から戦争に言及した論文が出始めている。それって社会学なんだろうか政治学なんだろうか。

  1. An Antidote to the Necropolitical Path of Logic: Ice Pick Lodge's Pathologic Classic HD(死政治的論理への解毒剤:アイスピックロッジのパソロジッククラシックHD メディア学)

  2. Necrofiction and the politics of literary memory(ネクロフィクションと文学的記憶の政治 評論)

  3.  Evaluating The Role of Social Media In Imparting Critical Media Literacy As a “Sine Qua Non”; For Developing Informed Citizenship In India in the Post-Tru(ポスト・トゥルー時代のインドで情報に基づいた市民権を育成するために「絶対条件」として批判的メディアリテラシーを授けるソーシャルメディアの役割を評価する 評論)

  4. Exploratory talk in times of globalisation and digitalisation: a narrative review(グローバル化とデジタル化の時代における探究的な対話:物語的レビュー 教育学)

  5. Human, or Its Native Other? Peter Jackson’s King Kong (2005) as Tragic Romance(人間か、それともその原住民か?ピーター・ジャクソン監督の『キング・コング』(2005年)は悲劇のロマンス 評論)

  6. Technologies of information and psychological influence on people in modern war(現代の戦争における情報技術と人々への心理的影響 戦争学?)

  7. “Steam Wars,” the Special Edition: Steampunk on the Move in Philip Reeve's and Christian Rivers's Mortal Engines(「スチーム戦争」特別版:フィリップ・リーブとクリスチャン・リバーズの『モータル・エンジン』に登場するスチームパンクの動向 評論)

  8. Variant of Concern: University Theatre Pandemic Production through the Zoom Lens(懸念される変異体:ズームレンズを通して見る大学演劇のパンデミック制作 芸術学)

  9. Crediting Invisible Work: Congress and the Lawmaking Productivity Metric (LawProM)(目に見えない仕事を評価する: 議会と立法生産性指標 (LawProM) 政治学)

  10. The Russian political elite and power image constructing peculiarities in contemporary video games (on the Metro Exodus materials)(ロシアの政治エリートと権力イメージが現代のビデオゲームにもたらす特異性(メトロ エクソダスの資料より) メディア学)


5/24の分。

  1. Enter Your Chambers and Shut Your Doors behind You: Bodily Containment, Proliferation, and the Right to Privacy in American Law and Gothic Horror(部屋に入り、ドアを閉めなさい:アメリカの法律とゴシックホラーにおける身体の封じ込め、拡散、プライバシーの権利 評論)

  2. Doges go to war–The influence mechanisms of NAFO memes in Russia-Ukraine conflict(ドージェが戦争に突入 - ロシア・ウクライナ紛争における NAFO ミームの影響メカニズム コミュニケーション学?)

  3. The Cambridge Companion to Video Game Music(ケンブリッジ・ビデオゲーム音楽ガイド ゲームデザイン学)

  4. Students we label international: an urgent call to reconceptualise research with international students(国際的とみなされる学生たち:留学生を対象とした研究を再概念化するための緊急の呼びかけ 社会学)

  5. On Failing to Get Out(ゲット・アウトに失敗したことについて 評論)

  6. The trustification of AI. Disclosing the bridging pillars that tie trust and AI together(AIの信頼化。信頼とAIを結びつける橋渡しの柱を明らかにする 情報科学)

  7. BIOLITERACY, BITTER GREENS, AND THE BIOECONOMY.(バイオリテラシー、ビターグリーン、そしてバイオエコノミー。 生物学)

  8. Polished, primitive, or sophisticated: What videogame graphics can tell us about colonial and postcolonial aesthetics(洗練された、原始的、または洗練された:ビデオゲームのグラフィックが植民地主義とポスト植民地主義の美学について教えてくれること 社会学)

  9. Faggot: An Autoethnographic Exploration ofa Bear in Education and Bearspace(Faggot: 教育とクマの空間におけるクマの自伝的探究 教育学)

  10. Temporal Changes in Depressive Symptoms Among Goodville Farm Game Players: A 6-Week Observational Study(グッドビルファームゲームプレイヤーのうつ症状の経時的変化:6週間の観察研究 ゲームデザイン学)


5/25の分。

  1. A cultural history through the comics of Donald duck and friends(ドナルドダックと仲間たちの漫画を通して文化史を学ぶ 比較文化学)

  2. Social AI and the Equation of Wittgenstein's Language User With Calvino's Literature Machine(ソーシャル AI と、ウィトゲンシュタインの言語使用者とカルヴィーノの文学機械の等式 情報科学)

  3. The Impact of Creative and Performing Arts in the Chicago Public School System(シカゴ公立学校システムにおける創造芸術と舞台芸術の影響 評論)

  4. KOREAN RADIO DRAMA(韓国のラジオドラマ メディア学)

  5. A Memetic Pandemic: COVID-19 Memes As Tactical Risk Communication(ミームパンデミック:COVID-19ミームを戦術的リスクコミュニケーションとして コミュニケーション学)

  6. Markets in absence of pricing and qualification mechanisms: past, present and future warnings(価格設定と資格付与のメカニズムが欠如した市場:過去、現在、そして将来の警告 経済学)

  7. Poetry as a Means of Adding Depth to Character in Memoir(回想録の登場人物に深みを与える手段としての詩 文学)

  8. A Phenomenological Study of Compassion Fatigue, Burnout, and Secondary Traumatic Among Welfare Workers, Educators, and Nurses on Grand Bahama Island After Hurricane Dorian and During the COVID-19 Pandemic(ハリケーン・ドリアン後および新型コロナウイルス感染症パンデミック中のグランド・バハマ島の福祉従事者、教育者、看護師における思いやり疲労、燃え尽き症候群、二次的トラウマに関する現象学的研究 コミュニケーション学) 

  9. “Benderites,” “UkroNazis” and “Rashizm"(「ベンデラ主義者」、「ウクライナナチス」、「ラシズム」 社会学)


最後に、5/26の分。

  1. Queer Gothic: An Edinburgh Companion(クィア・ゴシック:エディンバラの仲間 評論)

  2. “You’re my people”: Accounting for the “Us” in The Last of Us(「あなたたちは私の仲間だ」:『The Last of Us』における「私たち」について 評論)

  3. Adjunct Faculty Experiences During the COVID-19 Pandemic: A Narrative Analysis(COVID-19パンデミック中の非常勤講師の経験:物語分析 教育学)

  4. Understanding Fear Responses and Coping Mechanisms in VR Horror Gaming: Insights From Semi-Structured Interviews(VR ホラー ゲームにおける恐怖反応と対処メカニズムを理解する: 半構造化インタビューからの洞察 ゲームデザイン学)

  5. Hidden schemes and suspicious constructions. Inversive moments of occult infrastructures in Madagascar(隠された計画と疑わしい構造。マダガスカルのオカルトインフラの逆転の瞬間 社会学)

  6. Imperfecta: Her brother's disease leads a writer to challenge how we conceive of human abnormality in the emerging era of gene editing.(Imperfecta: 兄の病気をきっかけに、遺伝子編集の時代が到来した今、人間の異常性を私たちがどう捉えているかという問いに、作家は挑む。 生物学)

  7. FIDELITY, REMIX, AND THE ADAPTIVE POTENTIAL: LEVERAGING AI AND ML TECHNIQUES IN LITERARY ADAPTATION THEORY(忠実度、リミックス、適応の可能性: 文学適応理論における AI と ML 技術の活用 情報科学)

  8. Reviving Rural America(アメリカの農村復興 法学)



最後に

検索条件1は医学、エッセイ、精神医学が一件ずつだった。

興味を引いたのはゾンビの精神分析とゾンビ名詞。ただ前者はフロイトとかいうほぼ妄想癖の変人から始まったものなので、どこまで興味を持つべきか良いのか測りかねる。しかしゾンビ名詞は面白い。日本語で解説している文献はないようだが、それらしいツイートが一件だけ見つかった。

また、ゾンビ名詞という表現こそないが、氾濫する名詞化について警鐘を鳴らす日本語の記事はあった。英語圏では「複雑で冗長な文章」を生み出すことになる名詞化だが、日本語ではちょっと面白いことが起きているようだ。

「主体の意志」が欠けている

まず挙げられるのが、「感情の温度を下げる」ということ。普通、動詞・形容詞などは、「私は行きたい」「僕はつらい」といったように主語を付けることができます。実際の会話では省略されることも多いですが、「行きたい」と言っただけで「(私は)行きたい」ということが伝わります。

しかし、シンプルに「行きたみ」とするとどうでしょうか。「行きたい」という感情が主体を離れ、それだけでふわふわと浮いているようなイメージになります。「めっちゃ行きたい」よりも「行きたみがある」の方が、どこかクールで、感情の温度が低くなっています。

『「”眠さ”しかない」「”わかりみ”が深い」→なんでも名詞に、どうして?』より

他にも「他人事っぽい言い訳になる」や「より共感を得やすい」といった論考があるが、それよりも上に引用した「主体の意志が欠けている」という着眼点に最も興味を引かれた。

"zombie nouns"は「名詞化が文章から生命力を奪ってしまうことから」ゾンビの名を与えられたらしい。日本語の名詞化も主体の意志の欠如が生命力のなさと解釈できるかもしれない。しかし、ゾンビに喩えられるものの中に「主体性の欠如」を条件とするものがある。私もゾンビ比喩を分類した際に「自由意思のないもの」を設けた。つまり、「主体の意志が欠け」ている日本語の名詞化の方が英語のゾンビ名詞よりもよっぽどゾンビと呼べるのではないだろうか。

ただ、「主体の意志が欠け」るというのは、話し手が意思を失うというよりも、話し手が突然いなくなると表現した方がしっくりくる。であればゾンビではなく幽霊か何かなのだろう。日本語における「ゾンビ名詞」は「幽霊名詞」でもあるのかもしれない。

と、色々と書いてしまったが、今回はねらいの論文がなかった。


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