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スウェーデン 困窮している人への財政支援 

お久しぶりです。
転職活動やら義家族との日本旅行(3週間も…!!!)やらでなかなかNoteの更新ができませんでしたがまたぼちぼちと書いていきたいと思います。

今回は、5月になってどんどん申し込みが増えている困窮している人を対象とした財政支援についてご紹介します。
生活保護とはまた別の仕組みになります。


困窮している人への財政支援 

今月5月は ストックホルム市の財団(Stiftelseスティフテルセ)への支援金や奨学金の申し込みをしたいから手伝って欲しいという市民の方がよく市民事務所(Medborgarkontor)来ます。
いろいろな財団が 経済的に厳しい子供家庭や女性、高齢者、障がい者を対象に助成金や奨学金を提供していて、財源は地方自治体や政府、市民団体や教会です。今回紹介するのはストックホルム市が母体の財団が提供する財政支援について。

申込用紙

ストックホルム市が財源になっている各種財団への申し込みは、

申請用紙1枚
財政状況を裏付ける資料(確定申告書類、過去3か月の家賃支払い証明、戸籍謄本のようなもの、などです。申し込みする人によって状況が異なるので他に追加資料を準備しないといけないこともあります。)

をストックホルム市役所の担当課に送付します。ちなみに非課税です。

ストックホルム市の財団各種は、4/1-5/31が応募期間
1年に一回この期間だけ応募できるものなので、5月も中頃を過ぎてどんどん応募用紙を印刷中。
ホームページに応募用紙があるので自宅にパソコンがあって各種書類の手配に慣れているなら自分でも申し込めます。
https://start.stockholm/om-stockholms-stad/organisation/ovriga-verksamheter/stiftelser/

が、自宅にパソコンがないと応募用紙の印刷や記入ができないし、スウェーデン語ができないと提出書類を準備するのも一苦労。なので、多くの方が市民オフィスに来ます。

応募要件

18歳に達しているか、高等学校を卒業している。

ストックホルム市内に過去3年間居住している。

経済的に困窮している

特に支援が必要な対象

以下のグループは積極的に支援を受けられます。

ストックホルムで販売員をしていた元女性店員または60歳以上の女性で過去に販売員をしていた方。

40歳以上の女性店員で、傷病手当金が50%以上支給され、ストックホルム市内で店員として12年以上勤務していること。 

 失業した元事務職、できれば生計維持者、病気の影響を受けた方。 

セーデルマルム地区在住の60歳以上の未婚のキリスト教徒女性。

Maria教区またはHögalid教区に住む60歳以上の女性。

お針子さん

ドイツ生まれの65歳以上の男女。

ストックホルム市児童福祉委員会が接触した、または接触したことのある困窮児童のいる家庭。 

困窮している子どものいる家庭

実際に申請を手伝うことで見える現状

申請書には支援金を何に使うのか記入する欄があってそこの代筆をよく頼まれます。
よくあるのは冬用防寒服や靴、子供の教育費用、夏の間のこどもの余暇費用、メガネ、歯の治療費など。
冬服もメガネも高いし歯の治療費は18歳以上になるとドンッと高額になるので…
Majblomman という財団によるとMajblomman  の財政支援をもらった人の多くは、支援金をこどもの交通費に当てるそう。
使途目的は書かなくてもいいんですが書いたほうが財政支援を受けやすくなります。が、ここの記入は英語かスウェーデン語。これがなかなかハードルが高いんですね。
私がはたらくストックホルム市ヤルヴァ行政区リンケビー市民事務所は、中卒以下の移民・難民家庭が多く スウェーデン語で書くのはまだまだ難しい市民が多いです。子どもが5人とか8人とかいてスウェーデン語の勉強も仕事もしていない女性やワーキングプアでスウェーデン語の勉強の時間が取れない方、勉強はしているけど初等教育すら受けたことがないためスウェーデン語習得に時間がかかる方など事情はさまざまです。

https://start.stockholm/om-stockholms-stad/organisation/stadsdelsforvaltningar/

↑ヤルヴァJärva行政区はストックホルム市の一番北にあります。

また、申し込みをする人はやっぱり母子家庭が多いなぁという印象です。
あとは65歳以上の単身女性ですね。
インスタの方でいくつかジェンダー平等庁の講演を紹介しましたが、スウェーデンでも母子家庭と高齢単身女性が経済的な弱者になってしまっています。その現状がここでも見えます。日本と同じ。

財団からの支援について知らない市民の方も多いので、困窮してそうな方には情報提供して申し込み用紙を渡すようにしています。
冬服を買うために高利子の借金をしてしまったり、分割払いで無駄に利息をとられたりして首が回らないような状況になってしまうことも多々あるので、もらえる財政支援はしっかり利用してほしい。
申し込みに来た方にも 知り合いに財政支援が必要そうなひとがいたら渡してね、と多めに申し込み用紙を渡します。
ヤルヴァ行政区に住む市民の中には、行政が機能していない地域出身の方が多く、そういう方は行政を信頼しない傾向があります。その分、この地域は隣人同士での助け合いが密なので、公務員がわーわー情報提供するよりも市民同士のネットワーク経由で情報を届けるほうが効率的なことも結構あります。

支援金がいくらなのかははっきり書いてなかったのですが、Global Grantによると1000クローナ(14000円)スタートのようです。個人の人が受けられる財政支援の上限額については見つかりませんでした。

どんどん福祉や教育、文化、市民社会へのお金を削って、民間企業ががっつり稼ぐアメリカ的な市場社会になりつつあるスウェーデン。
ここでも、ジェンダー不平等や経済格差や構造的人種差別にさらされる人が困窮しています。この財政援助の仕組みは一時しのぎでしかないけれど無いよりはマシなんですよね

ストックホルム市以外の財政支援


Stockholms Stadsmission 貧困やホームレス、社会的孤立の解消にとりくむ市民団体

スウェーデン教会

Maj blomman 子どもの貧困解決に取り組む市民団体

FVO 財団


などなど多数。これらの財団への申し込みはよっぽど時間があるとき以外はしません。提出書類は基本的に同じなので、ストックホルム市の財団に申し込みをする人にはついでにやっておいたら?とアドバイスはします。

参考


Arena idé. Pengar och politik 
https://podcasts.google.com/feed/aHR0cHM6Ly9mZWVkLnBvZGJlYW4uY29tL3Blbmdhcm9jaHBvbGl0aWsvZmVlZC54bWw/episode/cGVuZ2Fyb2NocG9saXRpay5wb2RiZWFuLmNvbS9jZTY1ZjZmMS1iNDNlLTM4Y2EtOWFkOS1iNDYyZTgxNmUxYmQ?ep=14

FVO
Riktlinjer för bidrag till privatpersoner - Föreningen FVO (foreningenfvo.se)

Global Grant.MER OM STIFTELSER, STÖD OCH STIPENDIER
https://www.globalgrant.com/mer-om-stiftelser-stod-och-stipendier#:~:text=Hur%20mycket%20pengar%20kan%20du,f%C3%A5%20ur%20flera%20fonder%20samtidigt.

Maj blomman
https://majblomman.se/

Stockholms stad.Stiftelser.
https://start.stockholm/om-stockholms-stad/organisation/ovriga-verksamheter/stiftelser/

Stockholms Stadsmission
https://www.stadsmissionen.se/fa-stod/ekonomisk-radgivning-och-stod/ekonomiskt-stod-och-bidrag-barnfamiljer/faq-ansokan-och-bidrag-barnfamiljer#:~:text=En%20person%20betraktas%20som%20ekonomiskt,uppg%C3%A5r%20till%2096%20600%20kr.

Svenska Kyrkan
https://www.svenskakyrkan.se/sok-stiftelser-och-fonder#:~:text=Fr%C3%A5n%20den%2015%20maj%20kan,funktionsneds%C3%A4ttning%20och%20%C3%A4ldre%20och%20sjuka.



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