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無痛分娩、すったもんだ(3年前の記録)

子どもが3歳になった。誕生日当日になって、もうすぐ産まれた時間だよ〜といいながら起こす。産んだ方はすったもんだの1日だったが、生まれでてきた本人は全く覚えてないとのこと。

生まれる前日、夜8時半頃、里帰り先の実家で、夕飯を食べ終えてソファでくつろいでいると、なんとなくおなかがピクピクしだして、今までにない胎動から、これが陣痛というものか?と直感で思った。すぐに関東にいる夫に連絡するも、あと3分後に最寄り駅から出る電車に乗っても、ギリギリ東京駅で最終の新大阪行き新幹線に間に合わない、という残念な経路案内しか出てこなかった。仕方がないので、夫は翌日の始発で出発することになった。

私は産科に電話すると、まだ陣痛が始まったばかりなのでもう少し家で様子を見るように言われて、風呂に入った。出産が長丁場になるかもしれないのと、産後すぐには風呂に入れないと言われていたからだ。
しかし、トイレに行ったり風呂に入ったりしたら、予想以上に促進されたのか、あっという間に陣痛間隔が2分を切っており、猛烈な痛みが襲ってきて、家の中に緊張が走った。病院に再度電話して、タクシーで向かうことになった。
病院について、急遽分娩台に上がり、診察してもらうも、「うーん、まだ子宮口2センチだから一回帰ってまた来て」と医師から非情なコメント。てかこんなに痛いのにまだ2センチってどういうこと?(全開は10センチ)
下着を履き直して、真っ暗な廊下を通って待合室で母と話す。話し合っている間も絶え間ない陣痛で床に転がる私を見て、「今から帰っても家でどうしようもできないし、このまま入院させてもらうか、この待合室で待ったらどうか」と母から提案されたが、何となく動かないと、促進されないのではないか、という思いから、一度帰宅することにした。

タクシーから見える夜景を眺める10秒と、その次にくる陣痛で頭の中がお祭り状態で奇声をあげる私のアンバランスさに運転手さんがひたすらビビり、バックミラー越しに何度も目が合った。こういう状況、出産の本には書いてないんです。私も初。

家に帰ってひたすら陣痛に耐えること2時間、もうさすがに痛すぎて動けなくなり、ひよる実父に救急車を呼ばせる。支えてもらいながらなんとか救急車に乗り、大急ぎで病院に舞い戻った。静かな国道にサイレンの音。風の勢いで到着。

タクシーで来てねと言ったのに、いきなり救急車で来たので、待ち構えていた助産師から怪訝な目を向けられる。わざわざ救急車なんて…という目である。しかし、分娩台にあがって医師が診察してみると、なんと子宮口は8cmまで進展しており、全開はすぐそこ!。医師から横にいた助産師に、「めっちゃ進んでる」と伝えられると助産師のテンションが一気にあがった。帰ってもらった甲斐があったと大喜びの医師と助産師と、悶絶する私。早く産みたい。

事前の説明で、私が選んだ病院では365日24時間麻酔を用いた無痛分娩ができるということだったが、緊急手術が入ったり、夜中だと多少待ってもらうことになる、と言われていた。麻酔科医は病院から30分以内のところに住んでいて、緊急時出勤してくるとのこと。今の時間は深夜2時過ぎ。当然麻酔科医は病院にいない。

そこから1時間近く待って、麻酔科医が準備にかかる。もうぐったり。麻酔のお金払うのに、もうこんなにお産が進んでいて、ずっと痛いし、なんだか損な気分だな、と思う余裕あり。絶え間なくやってくる陣痛の合間に、背中の硬膜外に人の手先の感覚を頼りに麻酔針を入れる。動くとかなり危ないので、実母に押さえつけられる中、無事に麻酔は始まった。

「なんかもうめっちゃ快適ですぅ~」

と言ってしまった。事前に聞いていた通り、直前の痛みが10だとすると、麻酔投与後の痛みは2-3ぐらい。なんなら仮眠もできそうな勢い。この時点で3時半ぐらい。全身麻酔ではなく、お腹周りだけ麻酔をかけるので意識もはっきりしており、実母と話す余裕も出てきた。

しかし、これまた事前に聞いていたのだけれど、麻酔でリラックスしてしまうと、脱力気味になり、踏ん張ることが難しくなってきた。眠いし疲れているのも原因だ。朝5時をすぎたあたりで様子を見に来た医師の判断で陣痛促進剤を打つことになった。その場での判断のため、書類が持ってこられ、説明を受けるが眠くて何度か意識を落とし、目の前でパン!と手を叩かれて「しっかり起きてくださいね!」と言われた。難しい注文だ。

陣痛促進剤のおかげで、痛みが増してきたので、麻酔科医が麻酔の投与量を増やして対応してくれたが、赤ちゃんは無事出てきてくれた。朝8時。夫はまだ新幹線で京都駅を出たあたり。間に合わず。

胎盤の処置をされたり、赤ちゃんを抱っこしたりした後、麻酔が聞いたまま、縫合される。どうやら裂けたらしい。でも感覚がないのでどれぐらい裂けたのかはわからない。針がチクチク自分に刺さる感覚だけがかすかにあった。

総じて無痛分娩は快適でした。費用は10万円です。今度もし出産することがあれば、また無痛分娩を選びたいと思います。でも麻酔科医不在の夜中に陣痛が来ると、待ち時間が発生するので、朝、できれば外来があって、夫が移動できる新幹線がある時間帯に陣痛を呼びたいと思います。え、そんなの無理だって?



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