映画感想文「大河への道」伊能忠敬の偉業を軽やかに綴る脚本が最高
志が乗り移ることがある。
それは自分より大きいビジョンに触れた時。
まるで昔からそう思っていたかのように、enrollされる、そんな瞬間がある。
千葉県佐原の地で名手として名を馳せた後、家業を引退。50歳を過ぎ二まわり年下の天文学者高橋至時に弟子入りし、測量を学ぶ。それから20年かけ日本中をまわり実測による日本地図を完成させた人、伊能忠敬。
地図完成前に73歳で没するが、残された者達が志を継いだ。
そんな偉業をコメディタッチで描く快作。大河ドラマに取り上げてもらうことでの町おこしを狙う現代の市役所の面々と江戸時代の伊能忠敬をめぐる登場人物の一人二役を演じる中井貴一や橋爪功の芸達者達が魅せる。
北川景子の華やかさも効いている(美しさも才能だ)。
どんな景色を視ていたのか。それとも尽きることのない好奇心だったのか。いずれにしてもでっかい。
偉業を軽やかに語る脚本が秀逸。
後世にドローンで地上から測定した結果と違わぬ地図の素晴らしさに、日本を植民地にしようと目論んでいた英国が諦めたという逸話が好き。
気軽に観れてほろりとさせられる快作。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?