映画感想文「アット・ザ・ベンチ」旬の才能が集結。瑞々しい5編のオムニバス映画は必見だ
チャーミングな煌めきのある作品だった。
今をときめく脚本家、俳優が集まった五編のオムニバス形式。仲良しが集まって楽しんで作った感あり、わちゃわちゃ感が伝わり、観てる方も楽しい。
二子玉川の川沿いにある古いベンチ。そこに集う人たちの会話劇。それぞれテイスト違うのが、飽きずに最後まで観ることできて、めちゃくちゃ面白かった。
【エピソード1】幼馴染の妙齢男女。お互いに淡い好意ある同士の甘噛み。を、広瀬すずと仲野太賀で描く。あるある、な瑞々しい会話が秀逸。脚本は生方美久。男女の心の機微を描かせたらいまいちばんの脚本家。
【エピソード2】安定期に入ったカップルの「ちょっと違うんだよね」のすれ違いを絶妙な例えで描く。岸井ゆきの、岡山天音という、演技派のふたり。更に通りすがりのおじさんとして、そこに絡むのは荒川良々。脚本は蓮見翔。何度もくすりと笑った。
【エピソード3】今田美桜と森七菜の姉妹。家出した姉を追いかける妹。ふたりの掛け合いが緩急ついてて楽しい。え、どう終わるの?と思わず聞き入る。脚本は根本宗子。
【エピソード4】ベンチを撤去するか検討するためにやってきた、役所の上司部下に草彅剛と吉岡里帆。途中で神木隆之介も参入。派手で華やかな会話劇。脚本は監督の奥山由之。
【エピソード5】エピソード1の広瀬すずと仲野太賀のその後を描く。脚本は生方美久。
どれも良かったけど、やっぱりエピソード2が秀逸。セリフがまるでお笑いのボケ、ツッコミになってて最高。完璧なシナリオだ。お笑い芸人、脚本家、演出家、俳優の蓮見翔。天才すぎる。
キャスティングも、最高。岸井ゆきのと岡山天音、やっぱりうまいわー。この2人は一生応援したい。ということでこの一編みるだけでも映画館に行く価値あり。
監督は写真家、映像作家として活躍。テレビCMも数多く手がけ、来年松山北斗主演の実写映画「秒速5センチメートル」公開される奥山由之監督。初の映画。
これだけ旬の才能集めるって、すごい。
限定公開。すぐ終わっちゃうかもだが、可能であれば一刻も早く映画館で観るべき作品である。