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夢だったお仕事に終止符を打った理由

ボンジュール、皆さま。
自己紹介を読んでくださった方、ありがとうございました!
今日は、渡仏前に遡り、東京での生活について少しお話ししたいと思います。

マカロンから建築、全く違うスケールの世界へ
東京では、ファッションブランドの広報・営業担当を3年ほど勤めた後、フランス菓子のPR・ブランドディレクターとして10年間働いていました。そして現在は、設計事務所Communication & Administration担当。職種に関連性はあっても、業界が全然違うので、転職する度に驚かれ、理由を聞かれることもしばしば。確かに時間軸も扱うお金ももののスケールも全然違います。

自他共に認める私の趣味は「思考」、よく考えて物事を決めたり、着実に人生をプランしたりするしっかりタイプに思われがちです(同様にかなりのうっかり八兵衛なのも有名ですが…。)暇さえあれば考えまくる、ヨガで一番苦手なのは屍のポーズに瞑想とまさに思考型人間。違う業界へ転職するからには熟考を重ねた末の決断のようです。

でも、実際のところは…直感というか、好奇心というか、単純にやってみたい!という気持ちに突き動かされての決意で、ロジカルな理由は説明できません。ただ、どうやら私は、アウトプットの形が何であるかより、アウトプットされた“内にある何か”に強い関心があるようです。つまり、マカロンか住宅かより、どんな信念や哲学を持ってそれが生み出されたのか、そのプロセスにどんな物語が潜んでいるのかに触れた時、私が媒介者となってその世界をまだ知らない人たちに伝えたい!と思うのです。

G.W.の代わりにフランスの学校は4月最終週と5月1週目はパック休暇(イースター)。
パティスリーやスーパーはショコラで溢れ、時期を過ぎて売れ残っても店頭を占拠するのがフランス流。

「○ル○のさぁやさん」卒業
特に10年勤続したお菓子のメゾンでは楽しく働かせてもらい、達成感があります。パティシエのインタビューを読んで心踊り、そのお菓子を食べて心震え、そのまま求人を調べて締切を過ぎてからの面接。当時流行りの“スキを仕事に!”的な猪突猛進そのものですね。。。
そんな感じで得た職だったので、夢を叶えた気分で本当に幸せいっぱいでした。夢のお仕事を続けていたら「○ル○のさぁやさん」として、ありがたくも社内外に認められ、そのままでいればきっと40代も安泰でした、社会的には。でも、なぜか私自身がそのままでいる40代50代の自分を想像できなかったのです。だからと言って、確固たる理想の自分像があった訳でもなく、とても不思議。理由は他にも多々あったにせよ、とにかくこれが一番でした。

最初は単に慣れて刺激が減ったからか、最近プライベートが充実していない(アラフォーの焦り…キャー!)からかと、いつものイヤイヤ期?くらいに思っていましたが、その想いが日増しに強くなり、悶々と悩んだ末、ある日突然「あ、今だ。終わりにしよう。ちゃんと辞めよう」と、その瞬間が自分の内側から強く発せられました。そこから、次のお仕事は決めずに、半年かけてお世話になった方々へのご挨拶や引き継ぎを終え、円満退社したのが2017年5月末でした。今も当時の社長や同僚とは良い関係が続いています。

公園で友達とエッグハント。大人がショコラを隠して子供達が探します。
今年いちばん可愛かったのがこちら。ボンマルシェで購入とのこと。

決められないのではなくて、手放せない
ちなみに、優れた直観力と決断力で慣れた生活を断ち切った!と言いたいのではありません。どっちが良いという話でもなく。私の場合は、決断するまでにああでもない、こうでもないとグルグル考えるし、とっても優柔不断だし、決めた後でも不安はいつも隣り合わせです。(この時も転職先を決めていなかったので退職日が近づくに連れて焦りまくりました。)でも私には、このループは必要不可欠な時間なのだと思います。日々の筋トレのようなもので、このグルグル期を経て、いつの間にか到達する感じです。

私のように決断が苦手な人もきっといると思います。何かを決めることは、その他を選ばないことです。私たちはおそらく、決める(=選び取る)ことができないのではなくて、選ばない方を捨てること、手放すこと、あるいは諦めることが難しいのだと思います。でもきっと、どれを選んでも自分次第、つまり、それを良い方へ向かわせる意志次第なのだと思うようになりました。
2023年5月5日
さぁや、パリ。

モンマルトルにオープンしたばかりの最新ショコラスポット「dengo」
ブラジル発・国外初進出ヨーロッパ一号店で、パッケージや店内からもラテンのエネルギーが溢れます。

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