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映画をみて広がる世界。

年明けから映画ばかり観ている。
出かけるには寒すぎるし、引きこもっているだけだとSNSに余計な時間を溶かしてしまうから、最近は本を読む量と映画を観る時間が増えた。

とりわけ洋画を観ることが多い。
人生最愛の推しが銀幕で活躍しているし、もちろん邦画も大好きなのだけれど、異国の景色や言葉で物語を追うことで非日常に浸りやすい気がするのだ。
一月の週末に観た映画の感想をまとめる。



1.アナザーラウンド  

https://anotherround-movie.com

北欧の至宝ことマッツ・ミケルセン主演。
彼の故郷であるデンマークを舞台に、冴えない高校教師4人で「血中アルコール度数を常に0.05%に保つと仕事も人生もうまくいく」というノルウェー人哲学者の理論を実証していく。
ヒリついていた妻との関係や、惰性でやり過ごしていた授業からくる学生たちとの気まずさが改善され効果を体感して喜んでいるかわいいおじさんたちに癒された。というかマッツ・ミケルセンがひたすら酒を飲んでニコニコご機嫌になってるのを観ていられるすごく幸せな映画。
だけれど、そのまま調子に乗って度数を上げ、量も増えて制御不能になっていく様子は4人それぞれの事情も相まって悲しくなってしまう。
お酒を飲んで失敗した経験も過って同情が芽生えるものの、灰色の画面の中でかっこよさげに佇む姿にはちょっと笑えた。
この映画が教えてくれることは「人生を豊かにするものはそばにいてくれる人との関係」だと思う。

デンマークに行きたい夢が膨らんで、ついツアーを調べたりして、希望ももたせてくれた。


2.君の名前で僕を呼んで

むちゃくちゃファンが多いし、流行っていることは知りながらもずっとスルーしてきた作品。
ティモシー・シャラメの美しさは間違いないだろうけどわざわざ観なくてもいいかな〜なんて横目で。
でもこの映画の美しさは、景色と言葉だった。夏のイタリア、青と緑とオレンジと白が混ざり合って、頬に睫毛の濃い影を落とす。
永遠にも感じられる濃密な日々が終わりを迎えるときの儚さは、展開が読めていてもグッとくるというもの。
詩的で美しい同性愛の作品といえば
『太陽と月に背いて』
この作品も想起させられて観たくなった。
若きレオ様の危うさと瑞々しさ……つい頭を抱えてしまうのが、かつて20代になるかならないか、の頃に愛する藤原竜也さんがこの映画を日本版でやるかもという話が上がったことが……。監督のご指名もありご本人もノリ気だったよう。うう。観たかった。


3.赤と白とロイヤルブルー

primeのオススメに表示されて、タイトルに惹かれて観てみたら結構ガッツリなBLもので驚いた。
昨年公開だったこともその内容も知らなかったのでブロマンスどころの話ではない濃厚接触、つい背後を気にしてしまうような描写に、目が点になった。

英国の王子様と米国の大統領の息子が、だなんて、フィクションでも描かれて許されるのかぁと平和な感想が第一だったけれど、王室を背負うヘンリーの覚悟や、それを包もうとするアレックスの熱情には胸を打たれる。
ただのBLと思うなかれ……いや、とってもBLなんだけれど。美しい2人のイチャイチャ下ネタトークとか微笑ましくて仕方がないけれど。
音楽もビジュアルもとても良かったし、英語の聴き取りやすさが勉強になった。
日本語訳もすてきなイラストで出版されているけど原書も読んでみようと思う。



4.哀れなるものたち

https://www.searchlightpictures.jp/movies/poorthings

絶賛公開中のこちら、予告から気になっていたので週末の混雑にも負けずスクリーンで。
映画館で観てよかった! と思うのは、絵画の如く美しい映像で魅せられるグロテスクさ。R指定なのでもちろんアダルトシーンも多いのだけど、コメディにも思える人間の愚かさには笑ってしまった。
ネタバレを恐れずに書くと、赤ん坊の脳みそを移植された状態で成長していくなかで性的興奮に対する興味が湧くの早くないかと思わないでもなかった。でもそれ以上にエマ・ストーンの無垢な瞳、すべてを見透かされているようなその恐ろしさに惹きつけられて、登場人物たちと同様に虜になってしまう。

舞台となる場所によって色を変える音楽もまた素晴らしく、ベラの頭の中でも同時に流れているような動きが癖になる。カメラワークも独特で、引き摺り込まれるように物語に没入していく。
こうゆうリズムの良い映画は大好きだ。

小児性と哲学への関心を演じ分ける表情。
美しさを武器に冒険することで成長していく大胆さには勇気をもらえたし、倫理観や道徳なんてものも無視した童話をみている感覚が新鮮で良い。

日曜日の昼間はとても賑やかで笑い声が聞こえたりするのも楽しかったけれど次は静かに観てみたい。



洋画はぶっ飛んだ作品が多いのもまた魅力的だし、ぶっ飛びながらも人間そのものを俯瞰した深いものが多くて、見応えがある。
基本ヒーローものは観てないけれど(シリーズが長いから)、ハッとさせられるような言葉や、観るものを釘付けにする情景の美しさは、邦画とはまた違った味があり、良さだと思う。

洋画でBL作品を観るのは『太陽と月に背いて』以来初めてのことだったので、個人的に少し冒険もあった。(邦画は『エゴイスト』しか観てないけど……。)

冒険したことでまた観てみたい作品も増えた。
今年もサブスクと映画館を楽しみながら、いろんな映画を観て感想を残していきたい。


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