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【趣味と娯楽】なぜ映画「ハケンアニメ!」は自分に刺さったのか?

こんにちは。すうちです。

しばらくPythonのTkinterで作る画像編集ソフトの連載を書いてましたが、ひと区切りついたので今日は別の話です。

こちらでちょっとだけ触れたのですが、

映画「ハケンアニメ!」を観ました。

個人的に色々と心に響いた作品でした。今回はその映画の感想をネタバレなしで書きたいと思います(これから観られる方もいるかもしれないので)。

※タイトル画像はAomy.さんのイラストを使わせて頂きました。有難うございます。

◆作品の魅力

概要

アニメ業界を舞台に2つのアニメ制作を通じて「覇権」を争う話が主軸にありますが、その制作に関わる人達の苦悩や葛藤。そしてそれらを乗り越えていく過程が本題ではないかと思います。作品では最終的にどちらが覇権を取ったか!?まで描かれています。

原作は辻村深月さんです。

数年前に小説を読んでとても熱い物語だなと思っていましたが、今年映画化されたと知ってようやく観に行きました。

小説の方は、登場人物が章ごとに順番に描かれる形でそれぞれの視点から物語が展開していき、最後に全体が繋がる構成だったと思います。結構長い話なので映画でどういう風になるかもとても興味ありました。

時間の制約で削られている話も当然ありましたが、原作の主要なエピソードは全て盛り込まれていたと思います。

映画で登場するアニメ

サウンドバック奏の石運命戦線リデルライト

実際に2つのアニメ制作を監督や脚本など別の方が担当されています(声優の方々も豪華です)。アニメの出来が素晴らしく、実際に放送されたら本当に観たいと思うほどです。

映画では断片的に観れる形になりますが、それでもストーリや映像には引き込まれます。

ちなみに「サウンドバックのキャラの絵スゴイいいなあ」と思っていましたが、窪之内 英策さんでした。

私の世代だと「ツルモク独身寮」とか学生時代に結構読んでいたので、びっくりしました。

役者陣

主要キャストにあたる王子監督役の中村倫也さん、プロデューサー有科香屋子役の尾野真千子さん、行城役柄本佑さん、アニメーター並澤和奈役の小野花梨さんらは原作のイメージとも重なり、もちろん素晴らしかったですが、やはりこの映画は斎藤瞳監督役の吉岡里帆さんの演技が特に良いと思いました。

最近あまりテレビやドラマを観ないので知らないだけかもしれませんが、記憶にある吉岡さんのイメージは、どちらかと言うと少しクセのある役が多い印象があったのですが、今回の斎藤瞳は完全にどハマりな役ではないかと個人的に思います。

吉岡さんもこれまで俳優のキャリアを積んで来られて色んな経験もされているんだと思いますが、斎藤瞳から発するセリフは演技というより偽りないリアルな感情がまっすぐ伝わってくる気がしました。

たまたま先日ラジオも聴きましたが、しっかりとした考えを持っていたり、とても落ち着いた印象で自分のイメージはかなり変わりました。吉岡さんが出演されている別の作品も観てみたいと思っています。

◆映画を観て感じたこと

ここからは、映画と直接関係ない話もありますがご容赦ください。

人に認められる

映画の中で人の名前を覚えないとか名前を呼ばれることに関する話があります。この作品のキーワードの一つとして「人に認められる」というのがある気がします。

私は普段ソフトウェア開発の仕事をしていますが、入社6年目の頃、炎上したプロジェクトに投入されたことがあります。

後発組で参加したので最初はわからないことも多く「自分が居ても大して変わらないんじゃないか」とか職場の重苦しい雰囲気に「早くここから抜けたい」と本気で思ってました。

ただ、そんな生活も半年ほど続くとできることも増えるもので、ある時常駐していた顧客の担当者の方から「この作業はあなたにお願いしたい」と名前で指名されたのです。

進捗報告で顔合わせの機会はありましたが、まさか自分の名前を知ってくれていて、指名して任せたいと言ってくれた事に驚きとこれまでやってきた事が認められたと感じて当時とても嬉しかった記憶があります。

名前を呼ぶ=存在を認めるという気がしますが、映画を観ていてその頃を思い出し胸が熱くなりました。

そこに覚悟はあるのか

もう一つこの映画の中で「覚悟」というキーワードがある気がします。
それぞれの登場人物が自分と向き合ったり人に触発されて覚悟を決める場面です。

再びある炎上案件に投入された時の話ですが、最初は「自分は関係ないのに、、」と考えて、どうしても後ろ向きな姿勢でした。

たぶんそういう態度が現場でも出てたと思います。後から入ってチームメンバには温かく迎入れられた訳ではなくどちらかと言うと冷たい反応(最初からやっていた人は既に疲弊していたと思います)。決定的だったのは顧客から「個人の発言ではなく会社として責任ある発言をして下さい」と言われた事です。

その時自分の甘えに気づき「この開発を最後までやり遂げて1日も早く終わらせてやる!!」と覚悟を決めたことがあります。

それからはチームメンバとの関係は良くなりましたが、当時マネージメントだったのでリリースに間に合わせるため、かなり厳しいこともチームに伝えたり調整していた状況でした(時には徹夜したり、深夜まで働いて家に帰れない日も)。

その後、なんとか開発が終わってチーム解散の際、ある人から「一緒に働けて良かったです」と言われたことがありました。

もちろん半分お世辞もあったかもしれません。ただその時は「お互い大変でしたね、お疲れさまでした」など会話した程度でしたが内心は嬉しさで涙が出る寸前でした。「立場上、結構厳しいことも言ったけどわかってもらえてたんだな」という気持ちもありました。

何かをやり遂げようとする時、その人に覚悟があるか問われることがあると思います。そんな時、本気や覚悟を持った姿に周りは共鳴したり、はじめて動いてくれるのではないかと私は思います。

一人の力ではやれることは限られますが、多くの人の力を借りることで大きく前に進めることもあります。

映画でもそれを思わせる場面がいくつかあり、自分は心を動かされたのかもしれません。

作品作りの苦悩(ゼロから生み出す)

華やかに表舞台で活躍されている方も表に見えるのはほんの一部。何かを生み出したり大きな事をやり遂げるには、その裏では計り知れない苦労やプレッシャーの中で地道にやっていくことが求められることも映画を観て感じました。

人や物事を否定するのは簡単ですが、最近思うのは「じゃあ、自分が同じことを果たしてやれるのか?」ということです。

「少なくとも自分にできてないこと」や「1歩でも半歩でも先に行動した結果」がそこに見えるのであれば、リスペクトを持つべきではないかと考えたりします。

また別の視点からエヴァンゲリオンの庵野監督のドキュメンタリーでも言われていた「作品が良くなるためなら命を削っても良い」というコメントも思い出しました。

映画に登場するアニメ「サウンドバック」で「なんでもあげる」という言葉が出てきますが、それは作品を完成させるためなら命を捧げても良いという斎藤監督をはじめ多くのクリエーターの方々が持つ思いや覚悟を代弁したものかもしれません。

個人的に残念なこと

先週くらいから上映館が減っていることです。映画を観た人のレビューや評価は高いと思うのですが、自分でも良い作品と思うだけに少し残念です。

映画館で観たい方は、早めの方が良いかもしれません。

こちらの公式アカウントに上映館やタイムテーブル情報が流れています。

映画『ハケンアニメ!』公式Twitter

◆最後に

映画「ハケンアニメ!」は、なぜ自分に刺さったのか?

まとめると

仕事を通して感じる喜怒哀楽の全てが映画に詰まっていたから。
そして、その一部が自分と重なっていたから。

私の場合、少なくとも3回は心に刺さったシーンがありました。

働いていると楽しいだけじゃなく時には理不尽な出来事にムカついたり、最初は到底無理だと思ったことをやり終えた達成感だったり、人によって色んな経験や感情があるはずです。

おそらく私だけでなく、働いている方であれば何かしら共感できる場面も多いのではないかと思います。

ここからは、余談です。

じつは「ハケンアニメ!」を2回観ました。
初回は最後の方でどうしてもトイレが我慢できず、途中退席して肝心のラストを見逃してしまいました。戻ってきた時はエンドロールが流れていて、この時やってしまった後悔は先に立たず。。。

いつか配信やBD出たらもう一度観ようかと思いましたが、どうしてもラストが気になって再度観に行きました。

2回目だと落ち着いて観れて「あ、この話があったからこの展開で繋がってたのか」など新しい気づきもあり、結果的にやっぱり観て良かったです。

「ハケンアニメ!」を観ようかどうか迷っている方、次の映画候補を探されている方など何か参考になれば幸いです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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