芳松静恵

民間の資産運用会社での勤務と、国際公務員の経験があります。仕事柄、今起きていることを経…

芳松静恵

民間の資産運用会社での勤務と、国際公務員の経験があります。仕事柄、今起きていることを経験知という道具を使って見てみたり、新しい情報を調べたり、そして先の予想をする習慣がついた気がします。それを小説の形にしてコミュニケーションできたら嬉しいなと思っています。

マガジン

  • 黎明の蜜蜂

    バブル末期、日本株式市場の熱狂をよそに市井の人々は9%の金利のついた債券に向かうのを見た時から「蜜蜂の智恵」のことを考えています。これから「蜜蜂の智恵」が大事な時代が来る。そんなお話を、週刊で書いて行ければと思っています。

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神秘とロマンに満ちたウナギを通して人を知る話

最近読んで、もう何年かぶり位にすごくワクワク、感動した本について書きたいと思います。本の題名は「ウナギが故郷に帰るとき」です。この記事は「だ・である調」で書きますね。 先日Noteに掲載した「迷霧の虹」という小説に私がウナギを重要な役で登場させたのを知った友人が、こんな本もあるよと教えてくれた。という訳で、このワクワク感は個人的な思い入れから来ているところもあるかもしれないが、「アウグスト賞」「ナショナル・アウトドア・ブック・アワード」を受賞し、34か国で翻訳され、ニューヨ

    • 黎明の蜜蜂 (お知らせ)

      「黎明の蜜蜂」をここまでお読みくださった皆様、ありがとうございます。この小説を書くことは私にとっては最優先課題であり、真剣に取り組んでいます。  当初の計画では週刊で少しづつ掲載を続けていく予定でしたが、あるアドバイスを頂き、NOTEへの掲載はいったんお休みすることにいたしました。書くことは止めません。  書き上がれば何らかの形で外に出したいと思っています。ここまでお読みいただいた読者様の中にもし次回を楽しみにして下さっている方があれば、大変申し訳ありませんが、しばらくお

      • 黎明の蜜蜂(その4)

         駅まで皆で歩いて別れ、電車に乗って乗り換え一回、30分ちょっとで最寄り駅について結菜が自宅に着いたのは午後11時過ぎだった。玄関のドアを開けて目を見張る。玄関の土間には革靴やスニーカーが散乱し、短い廊下の突き当りのドアが開けっぱなしで物の散乱したリビングが目に入った。ひろむ、だ!靴を脱ぐのももどかしくリビングに走り込む。  椅子が倒れ、食器が床に落ちて壊れており、奥に置かれたソファのクッションもあちこちに飛んでおり、壁には食器ごと食べ物を投げつけたのか茶色い大きなシミとし

        • 黎明の蜜蜂 (その3)

          結菜の口からMMTという言葉が突然出てきたので、真一がちょっと驚いたような顔をして結菜の方を見た。 「お、櫻野結菜も知ってるんだ」 結菜は驚かれたことが残念な気もする。つい先ごろまで一支店の若手として日常業務に追われる身だったから、実際MMTの話は偶然聞いたのだが、やはり銀行員としてそういうことには情報通でありたい。 「MMTって、Modern Monetary Theory, 確か日本語訳では現代貨幣理論って言うんでしょ? 何年か前に発表された時はちょっと話題になって、

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        • 黎明の蜜蜂
          5本

        記事

          黎明の蜜蜂 (その2)

          結菜が急ぎ足気味に席に戻ると、役職席の多くが空いていた。先ほど片山玲子に渡したパワーポイントをチェックするために皆で会議室に詰めているようだ。今回の資料はゆうゆう銀行の現状をまとめたもので、それを役員に提示し、今後の進むべき道への議論につなげる目的だから、ここで大きく手直しが入るとは思えない。 結菜は次の四半期報告書の作成に取りかかった。結菜の役職名は主任で、役職者の内部会議といえばその上の係長クラス以上に召集がかかることが多い。今回のパワーポイントも片山玲子の指示で作業を

          黎明の蜜蜂 (その2)

          黎明の蜜蜂 (その1)

          パワーポイントに向かって目を凝らし、パッドの上で無線マウスの頭をコンマ・01ミリの角度で下に押しつつ前後左右に微妙に動かしている結菜の耳にパンプスのヒールの音が響いてきた。カッカと床にあたるヒールの音に苛立ちが混じっている。 「櫻野さん」と頭上で呼ばれるまでスクリーンを凝視してマウスの操作を止めなかった。 「今朝お願いしたこと、まだやってるの」 顔を上げた結菜に二歳上の先輩、片山玲子は畳みかけてくる。 「後2ページほどで完成します」と緊張の面持ちで答える結菜の手を払うよう

          黎明の蜜蜂 (その1)

          Noteを始めて1年半で気づいたこと

          こんにちは。今日は、「Noteでよかったこと」の第二弾を書こうと思います。最初の6か月で発見したことを以前に「Noteを始めて半年余り。。」に書きましたが、それから1年経ち、新たに発見したことを書きとめて、ここに置いておきます。もしも何かの参考になれば、また一段と嬉しいです。 今日は、だ・である調で書きますね。 Noteを始めるきっかけ、続ける理由は? Noteを始めた理由は以前の記事にも書いたけれど、たまたまの成り行きだった。小説を書いていた。テーマが面白い、と言って

          Noteを始めて1年半で気づいたこと

          キャリア生き残り術

          昔、男は一歩家の外に出れば7人の敵がいるって、聞きました。世間に出ると何かと闘いの日々だという意味ですね。それは生存競争なので、人は皆ある意味、そうなのかもしれません。今まであまり意識しなかったですが、これまでの道を振り返るとそう気がつきました。 それで、今日はそんな昔の話を記事にしてみようと思っています。術ではないかもしれませんが。 だいたい、キャリア昔話って自慢話か愚痴話で、話す本人はカタルシスを得られるかもしれないけれど、聞く方はそのための‘ご協力’をしている感じに

          キャリア生き残り術

          時短、簡単、高コスパな煮卵作り

          絵とタイトルに関連性が見られませんが。。 今日は一つからでも簡単にできる、高コスパな煮卵の作り方をご紹介したいと思います。ラーメンに煮卵。魅力的ですよね! その他にも、ドライカレーなどに添えるのにも、普通のゆで卵より、煮卵の方が全体に美味しさがアップするように感じています。 そんな煮卵、でも、家で作るとなると、レシピを見ると4個分とか6個分とか書いてあり、そんなに要らないし、お鍋で醬油やみりんと煮たり、少し面倒な感じ。醤油やみりんも結構使うのだけど、煮た後は捨てちゃうのか

          時短、簡単、高コスパな煮卵作り

          人と仕事をするには - common ground & trust を国際関係にもジェンダー間にも

          こんにちは。今日は、ジェンダーの話を書きたいと思います。今まで、正面切って何か言うことを、どことなくためらってきた分野です。何故ためらうのか、についても言葉になりにくくて、ややスルーしてきた感のある分野です。 今回、あるきっかけから、‘何故’の形が文章にできるくらいに見えてきたように思えたので書きたいと思います。 その前にちょっと。 写真は数日前、散歩していた時に見つけた水仙の群生です。いつも通る道からすぐそばのところに生えているのに、今まで気がつきませんでした。日本の

          人と仕事をするには - common ground & trust を国際関係にもジェンダー間にも

          貨幣を考える旅に出ましょう(5)

          こんにちは。旅の最後の行程では、貨幣ってどうなって行くのだろう?貨幣を取り巻く世界はどう変わるのだろう?ということを考えることにしたいと思います。「貨幣を考える旅に出ましょう(1)」でスケッチした旅程の最後の部分を目次として下にコピーして、’何ができるんだろう?’という章を一つ加えますね。 XIII. 経済構造の変化と貨幣の将来 次のグラフは経済産業省が発表している「通商白書2020」の第二部第二章第二節.で、産業革命以降の世界経済の発展をデータで見てみよう、と示されたグ

          貨幣を考える旅に出ましょう(5)

          貨幣を考える旅に出ましょう(4)

          こんにちは。今日も旅を続けましょう。「貨幣を考える旅に出ましょう」の(2)と(3)で、貨幣の成立ちとか人間社会での位置づけを辿りました。今日は、そうして成立った貨幣の、いまも進化を続けている貨幣の姿とそこから沸き起こる疑問点について書きたいと思います。 まず「貨幣を考える旅に出ましょう(1)」で箇条書きにまとめた旅程の見出しだけを、下に目次としてコピーしますね。 VIII. 結局貨幣とは? 貨幣として成立つものは?  「貨幣」について調べようと色々な本を読むと、貨幣っ

          貨幣を考える旅に出ましょう(4)

          貨幣を考える旅に出ましょう(3)

          こんにちは。今日も貨幣を考える旅を続けたいと思います。 「貨幣を考える旅に出ましょう(1)でご紹介した旅の計画から、今日の行程の部分を下に写して目次としますね。 目次としては短いですが、中身的にはすごく広くて奥が深いところだと思っています。実際、調べ始めると、本を読み始めると、もっと調べるべき点や本が芋づる式に増えますし、それぞれの領域が限りなく広がっていく感じです。ワクワク、そして呆然としています。 今の私の持っている知識や情報量では、何か物申すなんてとてもできない感

          貨幣を考える旅に出ましょう(3)

          貨幣を考える旅に出ましょう(2)

          今日は、いよいよ旅を始めましょう。(1)で旅程はこんな風かなというのを目次風に書きました。その前半部分を、ここにコピーしますね。 「貨幣を考える旅に出ましょう」は、旅です。そして、この旅は出発点からすべてを網羅した形で順番に進むというより、貨幣ってそもそも何なの、これからどうなるの、という全体像を得てから各所を掘り下げるようにしたいと思っています。 貨幣というもののフロンティアが広すぎて、それぞれの分野が深すぎて、端から一つ一つ掘り下げて行くと、そこに没入にしてしまって全

          貨幣を考える旅に出ましょう(2)

          人と自然とお金(貨幣を考える旅に出ましょう!ー序章)

          近所を散歩していて、川の中州の草刈りをしているのを見ました。そこから、「お金のことについて調べる」ことに今、何故はまっているのかということにつながる(と思う)記事を書きます。キーワードは人の営みです。 近所に川が流れています。二級水系の本流だそうで、それなりの幅もあり両側の土手は石積みで作られています。普段は中洲が水面上にあり、たくさんの種類の草も生えています。 中洲に生い茂るススキやツタや、そういったのも含めてこの川の景観だと、私は感じていて楽しんでいたのですが、ある日

          人と自然とお金(貨幣を考える旅に出ましょう!ー序章)

          貨幣を考える旅に出ましょう!(1)

          お金って結局何? 今、追っているテーマです。調べ始めてすぐ、これは広大な大海原に乗り出したものだと気が付きました。 人類の活動、歴史や経済やその枠組み、思想などについての世界が万華鏡のように広がり繋がり、それぞれについて数多の人が研究し論じていると分かってきました。 その一つの分野について論られるほどの知識を積むだけでも、残りの人生をかけてもまだ時間が足りなさそうに思えます。大海原を前にして、ワクワクと興奮し、眠れないほどです。 でも興奮するだけで終わってしまっては、楽

          貨幣を考える旅に出ましょう!(1)