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【あらすじ】 地球生物は地球資源を使うことで繁栄できる。では人類の爆発的繁栄はなぜ成し…
前回の飲み会で環奈と健斗の「実験」話を聞いてから2週間後、午前9時10分前に結菜はゆうゆう銀…
涼子は大阪環状線の天満駅を降りると駅前の比較的広い道を横断し、右に歩き出す。3分も歩くと…
例の居酒屋の引き戸を開ける時、結菜はここに来るのは何回目だろうと思った。最初の日からまだ…
支店に戻ったのは午後五時前だ。担当者を呼ぶ。 「例の不動産案件ね。うちは手を引くわよ」 …
スナックの木のドアを開けると、奥のカウンター・チェアに涼子が座っているのが見えた。声を掛…
いつものようにシャワーを浴びて髭を剃っている時に、スマホ・ニュースの着信音がした。 「M銀行が不動産取引で詐欺か」という見出しが画面に映し出されている。章太郎は右手に電動シェーバーを持ったまま、スマホ画面を急いでタップした。 M銀行の大阪浪速支店で、富裕層向けアドバイスの一環で不動産物件を紹介する際、価格が不正に吊り上げられた物件の販売に加担した、という内容だ。 銀行には「他業禁止」のルールが課され、今でも不動産業を営むことは許されていない。しかし、富裕層へのアプローチ
涼子の机上の電話が鳴ったのは、他の部員がほとんど食事に出かけた昼過ぎだった。行内からだ。…
その居酒屋談義の一週間後に結菜は部長に呼ばれた。『ゆうゆう銀行再生案募集』で役員賞を取っ…
もうすっかり慣れた手つきで表のガラス戸をガラガラと引くと、店員たちの聞きなれた声に迎えら…
月曜日の朝、結菜はいつもより早めにオフィスに着いたが、部次長以下、主だった人たちの姿はす…
章太郎は玄関の鍵を開け、ドアノブをゆっくり回した。音をさせないようにそっとドアを開く。も…
その上司とは日本にいる時も、バーゼルに来てからもほとんど話などしたことはない。職位ランク…
章太郎は駅の近くのスナックでウイスキーのシングルを注文し、一口喉に送り込んだ。熱い液体が食道から胃に流れ込んで血液に溶け込み今日一日張り詰めた神経を弛緩するのを快く感じる。 カウンターしかない小さな店だ。しかしカウンターは、端に座り低い声で話すなら他の客の相手をするバーテンには聞こえないくらい長い。またバーテンも、そういう席を選んで座る客には気を利かせてあまり話しかけてこない。隣の席は手荷物を置いて確保してある。 十分程度してドアが開いた。高島涼子だ。章太郎は肘をついたま