山﨑世理

脚本家の卵。猫好き。犬も好き。 静岡県。好きな言葉「秋の夜長」、好きな絵本『きみがしら…

山﨑世理

脚本家の卵。猫好き。犬も好き。 静岡県。好きな言葉「秋の夜長」、好きな絵本『きみがしらないひみつの三人』、好きな児童書『おねがいはウィッシュボーンで』『合言葉はフリンドル!』、好きな小説『チルドレン』、好きなシットコム『フレンズ』、好きな映画『サマーウォーズ』

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#2000字のドラマ 恋愛 学生 プロット  『~コチカメ~』

4月下旬、桜の花びらが散り始める葉桜の時期。 体育館ではバスケ部が猛練習中。 体育館裏の手洗い場。 女子生徒三人がキャッキャしながら歩いてる。 一人が何かとぶつかる。 驚いて振り向くと、クラスメイトの岸田舞香が真顔でつっ立っている。 少女A「あ、ごめん岸田さん!」 舞香「別にええよ」不愛想に言う。 少女B「あんた影薄いねんもん。もっと主張せな」 舞香「別にええけど、今動いたら怒るで」 困惑顔の三人。 舞香が地面を指差す。 舞香「勘吉が散歩中やろ」 三人の足元を小

    • 『アンパンマンが好きだ』

      「アンパンマンが好きだ」 この言葉には二通りの意味がある。 小さい頃は文字通り、『アンパンマン』というキャラクターが好きだった。 優しいし、空も飛べるし、とにかく強い。 なによりあの、あんこがたっぷり詰まった美味しそうな顔。 一度は食べてみたいと、憧れたものだった。 でも、大人になった今は少し変わって 『アンパンマンの生きる世界』が好き、になった。 アンパンマンの世界では、生まれたその瞬間から自分の役割がはっきりと決められている。 生まれた瞬間から、天丼の人もいるし、

      • 『もう一度、選んでくれますか?』

        数年前までの私は、後悔ということをしない人間だった。 やり直したいことも、戻りたい過去もない、そんな人間。 某むぎ焼酎のCMで《一生に何回後悔できるだろう》というフレーズがあった。 それを聞くたびに、このCMは何を言っているのか、後悔なんてしないほうが良いに決まっているのに、と思ったものだった。 そんな私が、いつからだろう、後悔することが出来るようになった。 やり直したいこと、戻りたい過去が見つかった。 簡単に言えば、成長したのだと思う。 自らの過去を見つめ、過ちに気づ

        • 『猫と遊ぶこと、それすなわちスポーツ』

          猫と遊ぶとめちゃくちゃ疲れる、こう言うと猫との生活を知らない人たちからは、まず理解を得られず、「どれだけ運動不足なの?」と呆れられる。 だが、彼らは知らない、猫と遊ぶこと、それはスポーツだ。もはや一つの競技なのだ。 それはまず、相手にとって最も良きタイミングを見計らうことから始まる。 遅すぎてもダメ、早すぎてもダメ。 試合開始のホイッスルが鳴りそうだ、と察すれば、すみやかに〈カシャカシャぶんぶん〉を手に取り、私の体は臨戦態勢に入る。 相手は、ふだん切れ長の黒目をまん丸く

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        #2000字のドラマ 恋愛 学生 プロット  『~コチカメ~』

          #2000字のドラマ 『ねえ、しあわせ?』

          「ねえ、キミはしあわせ?」 ふとした瞬間に問いたくなる。 キミと初めて出会ったのは、海の近くのまだ何も植えられてない砂地の畑。 熱くも寒くもない時期だった。 当時のキミは今より二回りくらい小さくて、 ビー玉みたいなキラキラした緑色の目で私を見つめて、にゃあ、と鳴いた。 それから小走りで一目散に私のほうに寄って来て、 どう接すればいいものか戸惑っている私の人差し指を夢中でぺろぺろと舐めた。 元来、「一目ぼれ」という言葉には縁のない人間だった。 あの人かっこいいな、あの人

          #2000字のドラマ 『ねえ、しあわせ?』

          #2000字のドラマ『おじいちゃんが天国へ行くので、ダイエット始めます』

          このたび、わたくし本格的にダイエットをはじめます。 理由は単純。 おじいちゃんが天国に行くことになったので。 私はこの年まで、ありがたいことに身近な人の死にぶちあたったことがほぼない。 ほぼ、というのは、実際にはひいおばあちゃんのお葬式に出たことはあるのだけれど、かなりの年だったし、老衰で、良くここまで生きたな、というのが当時中学生だった私の正直な思いだった。 というわけで、わたくし恥ずかしながら(なのかはわからないが)礼服というものを持っていない。 持っていないものは買わ

          #2000字のドラマ『おじいちゃんが天国へ行くので、ダイエット始めます』

          ショート『「自殺線あるね」と彼女は言った。』

          「死にたい」と言ったことがある。 まあ、実際にはそんな露骨な言い方ではなく、知り合いの彼女がいわゆる見える人で、手相も見れるというからその場のノリで見てもらったら、「自殺線がでてるね」と彼女がぽつり。 で、否定をしなかった。 自殺線なるものが存在することは知らなかったが、別段驚きもしない鑑定結果だ。 「でも自ら首を括るとかではなくて、自然死的なかんじ」、そんな鑑定人の言葉が妙にしっくりきた。 自分が自死を選択するとすればまさにその方法を取るだろう、と思った。 特別何かをするの

          ショート『「自殺線あるね」と彼女は言った。』

          #2000字のドラマ『「ニート」にも年齢制限があるらしい』

          『ニート』にも年齢制限があるらしい。 もともとは気になる社会学者をフォローするために始めたInstagramで、そんな雑学的投稿が流れてきた。 ニートでいるにも条件があるとは知らなかった。 ただ何もしていないだけでずっとニートでいられると思っていた。 だがそんな俺の考えは甘かった。 何もしなくても年はとる。 年をとればニートではいられない、らしい。 言い訳しろと言われれば、まあいくらでも言葉は出てくる。 鬱だから、発達障害だから、HSPだから、元不登校児だから。 コミュ障で

          #2000字のドラマ『「ニート」にも年齢制限があるらしい』