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百円玉で、会いに行く

娘が先日、小学校に入学し、
初めて、バスに乗りました。

そうだ、小学生から、
小児運賃が必要なんだった!
気づいて慌てて、財布を探します。

お金なんてほとんど触ったことのない娘。

その場で百円玉を1つ、娘の手に握らせます。

「もう小学生のお姉さんだからね、
自分で運転手さんの横の箱に入れるんだよ。
お金だからね。
乗るまで大事に持っててね。」

「うん」


バスが来るまで時間があったので、
渡された百円玉を手のひらに乗せたり、
指で挟んでみたりして、観察している様子でした。

「お母さん。百円玉はどこまで行くんだろうね」



突然、そんなことを言い出します。

「色んな人が使うんだよね。

 遠くまで行けるのかな。

 京都のじーじばーばのところまで行けるかな。」


とびきりの笑顔を向けられました。

じーじばーばの顔を思い出して、嬉しくなったのでしょう。

逆に私は、1年以上会っていない両親の顔を思い出し、不覚にもバス停で泣きそうになりました。


「そうだといいね」

バスが来て、
真っ先に中に入り、運賃箱にカランと1つ百円玉を入れました。
そして、ズンズン大股で席まで行って、早く早くと私を呼びます。


会えない状況でも、
楽しい想像で胸を膨らませる娘を、
強く頼もしく思うのでした。


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