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「修善寺紙」の伝統を次世代へつなぐ―修善寺紙谷和紙工房(伊豆市地域おこし協力隊 舛田拓人)

修善寺の伝統工芸「修善寺紙」の再興と文化継承に取組んでいる舛田拓人さん。地域おこし協力隊に応募する経緯や、今後の展望などについてお伺いしました。

修善寺移住までの経緯

出身は富山県。修善寺に来る前は、大阪でものづくりの会社に勤務していた舛田さん。組織でものづくりを行うことは、なかなか自分の考えを具現化する上で、しがらみや葛藤を感じることも多かったとのこと。「積み重なる歴史に勝るものはない」という想いから、伝統工芸の道に興味を持ち始めます。
しかし、伝統工芸をやる上では、修行の期間の生計を成り立たせることが課題。そんな折、伊豆市の地域おこし協力隊で伝統工芸「修善寺紙」継承の募集があることを知り、応募を決意しました。

修善寺紙の歴史と特徴

「修善寺紙」の歴史は古く、文献で最初に登場したのは、室町時代ですが、それ以前から存在したともいわれています。しかし、明治~大正時代になると、西紙技術の輸入がきっかけで和紙の生産はストップ。1985年、文化継承のために、地元市民の協力のもと、鶏小屋を建て替え、工房を建設。そして、2021年9月に舛田さんが地域おこし協力隊として大阪から移住し、工房に入居を開始します。
和紙の三大原料は、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)。他産地の和紙では、楮を和紙の原材料として使うことが多いのに対し、修善寺和紙では三椏を和紙の原材料として使うことが多いとのこと。紙は薄く、簾目の模様があり、薄紅色の色合いが特徴的です。
当時の「修善寺紙」の再現を目指しながら、修善寺紙の伝統をどのように継承していくのか、試行錯誤しながら工房での制作や、ビジネスプランの構想に日々取組んでいます。

修善寺での和紙作りの今後

「修善寺は関東圏からのアクセスも近く、観光客も多いため、和紙工房体験の場所としては、親和性が高い」と舛田さんは話します。
現在、和紙の原材料は四国から調達していますが、今年の春には修善寺での原材料の栽培にも挑戦。楮と三椏をあわせて100本植え、100%修善寺産の和紙の制作を目指します。

  • 修善寺紙谷和紙工房HP