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映画感想『メリダとおそろしの森』(原題: Brave)

Disney+で観た。

テーマとしては『塔の上のラプンツェル』と『アナと雪の女王』のブリッジとなる作品。

テーマや大まかなアイディアはいいが、話の見せ方、演出、キャラがイマイチに感じてしまう(『アナと雪の女王』を先に観てると、余計にそう感じてしまう)ため、映画としての完成度はあまり高くつけられない。

言うて母娘の回想シーンや、クライマックスでは涙ぐんだ。(いい話、というのは当然抑えている)
私は心からディズニー・ピクサー作品を愛しているが、愛しているが故に期待度も高いし、敢えて言語化するとしたら、辛口な感想となってしまうのが本作。

※以下ネタバレを含む※

主人公のメリダが勝手に気付いて、自ら言葉で説明して、それによってストーリーが進んでいく節がある。

また、女性のための、更に言えば母娘のための映画なので、男性キャラクターが粗雑に見えてしまう。ともすれば野蛮なだけに見える。

(以下の感想は、私がプリンセスに憧れていて、バトルヒロインに全く興味がないから思ったのかもしれないが、付記しておく)

10世紀ごろのスコットランドが舞台らしいが、主人公のメリダはプリンセスであり、どの王や諸侯よりも智力と武力を備えている。

若いので当然未熟ではあるが、当時の戦士としては誰よりも強く賢い、むしろ現代的な合理精神と強さを兼ね備えた人物なのである。

そんなメリダが、色々勝手に気付いて勝手に喋っていくという感じで話が進むので、あまり感動しないし、話の展開も先が読めてしまう。

結局は、英雄譚の主人公(スーパーヒーロー)が女性で、その主人公が、保守的なエリート母親(男性を立てながら、実際の采配を取るタイプ)と揉めて和解するという、あまり共感が得られない話だった。

正直、刺繍など求められていない現代女性からすると、逆にメリダは完璧すぎるのである。身体が強く、知力もあるんだったら、現代の方が生きやすいから。

だがメリダは10世紀の人だし……と思ってみても、10世紀人としてのメリダの苦しみに感情移入できるほどの、ストーリーの伝え方、テクニックがないというのが非常に惜しかった。

封建的な母親との軋轢がある人は、思うところがあるかもしれない。

スピンオフの『モンデユーの伝説』は、本作と異なり(悲劇的に滅んだ)権力者男性の話のようで、神話的な雰囲気もあるので、機を改めて観たい。

※この文章は冬野のブクログに書いてあるものと同じものです。

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