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今読んでる本『カルト資本主義 増補版』

こんにちは、湿度と圧力に弱い冬野です。

映画『ミッドサマー』の感想記事でも少し触れたんですが、私はオカルト、特にカルト的思想みたいなものに昔から興味がありました。

しかも民族学的な方面じゃなくて、現代におけるカルト、それが、企業や国家と結びついた時に興味があるんですね。

だってこんなに科学が発達して、一般社会ではオカルト的なこと言ったら白い目で見られるのに、人々を動かす側の企業や国家がオカルトにハマってたら「?」ってなるじゃないですか。でも、実際にそういうことって起こるんですよね。

ということでこの本はジャケ買いしました。

本の帯には書いてないですが、この本には特定の人物、経営界の著名人や思想家の名前がわんさか出てきます。

有名どころでいえば稲盛和夫氏や船井幸雄氏。

こちらは所謂「商売人」側の人ですが、宗教家の名前に、ここ数年気になってる人の名前がありました。

谷口雅春。

「生長の家」の教祖で、もう1985年には亡くなっているので、今更気になるっていうのは、私が知ったのがここ数年ってことです。
で、なぜこの人が気になっていたかというと……


新宗教(始まってからまだ歴史がそんなに長くない宗教のことを便宜上こう呼びます)って、立ち上げが大変だと思うんです。宗教法人をあえて目指していない団体もありますが、とにかくでかくしようと思ったら、そりゃもう大変なわけです。ざっくり言うと、「救済や死生観を伴う思想」という業界の、仏教やキリスト教、イスラム教が多国籍企業だとしたら、数人下手するとひとりで始めるベンキャー企業なわけですよ。
勿論ある新宗教に所属してて、そこから独立するケースも多いわけですが(谷口氏も「大本」という新宗教の活動家だったが脱退)それでも啓示を受けて仕事辞めて独立っていうのは相当リスキーです。なんせ、飛び込む先がそもそも「救済や死生観を伴う思想」という業界なのですから。

もし私が啓示受けて、仕事辞めて執筆活動をして自費出版をして……みたいな谷口雅治氏のやり方で布教しようと思ったら、相当な「スポンサー」がいてくれないと無理だな、と思ってしまいます。

(余談ですが、現代はTVやSNSや動画を使った布教も盛んのようです。この辺はノルウェーの映画『ディスコ』(2019年)という映画に詳しいそう。まだ観てないので早く観たい)

まあその立ち上げの頃はさておき、谷口雅春氏が現代新宗教史で最も名を残した点といえば、「財界人の信者が多い」という点です。

新宗教の教祖で、これが達成できればもう「身分・経済的にはめっちゃ安泰」なんですよね。(宗教世界での評価はここでは措きます)
ちなみにキリスト教の始祖で有名なイエス・キリストは国家権力と民衆の力によって30歳くらいで磔刑で一度命を落としていますから、新しい宗教を立ち上げるときはめちゃくちゃリスキーです。(しかしあれは別に立ち上げようと思って立ち上げたものでもないし、磔刑による死とその後の復活がないとそもそも「キリスト教」が成り立たないのですが……)

政治はそもそもまつりごと、占いでその方針を決めるのが古の「祭祀」ですが、現在でも占い師さんに鑑てもらう政治家先生もいらっしゃるとは聞きます。大決断を迫られる政治家先生や、経営者であれば、宗教家に傾倒するのもまあ分からなくはない。

しかし、なぜこんなにも財界人に谷口雅春氏が人気なのか。
谷口雅治氏のことを漠然と捉えていて、ここ数年なぜか引っかかっていました。

さて。ようやく感想文に入ります。
「なぜ谷口雅春氏の思想が財界人にウケるのか」が、『カルト資本主義』に明確に書かれていました。

その答えは敢えてここには書きませんが、ただこの本がひたすらに伝えていることを挙げるならば、前述した「常に大決断を迫られる政治家先生や、経営者であれば、宗教家に傾倒するのもまあわからなくはない。」を前提とした上で、

「経営者や立場的に人々の上に立つものが、利他思想を押し付けて、人々から搾取するのは、如何なものか」

に尽きます。

あれ?この構図、どこかで見たような……

まだこの本も読んでないんでした。

さっき、理系で数字が強い人の方が豊かな人生送れる、みたいな記事読んじゃったんですけど、確かに数字が強いことは素晴らしい。せいぜい稼いでくれって感じです。

でも、敢えて私は文系の道を選んだし、人間にはまだ数値化できない部分もたくさんある。そして「人々が数字に追われる努力をしているとき、ちゃんと心や悟性は付いて行っているのか?」ってチェックって、どこが、誰がやってるんですかね。
「人や社会の役に立つ」ってことが素晴らしいのはわかりますが、その時自分や他の人(の心)を殺していたら、それってどうなの?ってなりますし。(ちなみに、「社会の役に立つ」ことが良しとされる社会で、探検家・角幡唯介のインタビューがとてもいい指摘、批評になっていると思いました。)

企業や団体が人々に吹き込む思想、国家が人々吹き込む思想、そして人々が作り出す同調的思想というものは、常に監視しておくべきポイント。

それは日本の歴史や、個人的にカルト思想に興味を持つきっかけになったオウム真理教に関連する事件を考えるとき、再三言われていたことだし、これからも考えなきゃいけないことだと思います。

あまり本自体の感想を書けませんでしたが、まあ読み途中ということで……!

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